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公認会計士の短答式試験とは?合格率や試験対策を解説!

公認会計士の短答式試験とは?

公認会計士試験は、「短答式試験」と「論文式試験」の2段階に分かれています。そのうち一次試験として最初に受験する「短答式試験」マークシート方式の試験であり、1年に2回実施されます。

本記事では短答式試験の概要や合格率、対策法など、公認会計士の短答式試験に関して知っておいて欲しいことを解説するので、これから公認会計士試験を受験しようとお考えの方は是非こちらの記事を参考にしてみてください。

公認会計士の短答式試験とは?

公認会計士の短答式試験とは?

短答式試験とは例年12月と5月に行われるマークシート方式の試験です。それでは短答式試験の概要について詳しく見ていきましょう。

試験の役割と重要性

公認会計士の短答式試験は、基本的な専門知識の理解度を測る重要なステップです。

公認会計士になろうとする者に必要な専門的知識について、基本的な問題を幅広く出題することにより、論文式試験を受験するために必要な知識を体系的に理解しているか否かを客観的に判定します。

一度合格すると、以降の2年間の短答式試験が免除になるため、短答合格年度を含めて合計3回の論文式試験を受験できます。もし、3回の論文式試験を受験しても合格できなければ、4回目は短答式試験から再度受験する必要があります。

なお、公認会計士試験に受験資格は必要ありません。

試験の形式

公認会計士の短答式試験はマークシート方式を採用しています。試験科目は財務会計論、管理会計論、監査論、企業法の4科目で構成されています。

試験日程・受験料

公認会計士の短答式試験の試験日程は以下の通りです。
なお、受験料は各回19,500円です。

(令和6年公認会計士試験の例)

第Ⅰ回短答式試験
・試験期日: 2023年12月10日
・受験願書配布期間: 2023年8月7日 ~ 9月8日
・書面による出願期限:2023年9月8日
・インターネット出願期限: 2023年9月14日
・合格発表: 2024年1月19日

第Ⅱ回短答式試験
・試験期日: 2024年5月26日
・受験願書配布期間: 2024年1月12日~2月16日
・書面による出願期限:2024年2月16日
・インターネット出願期限: 2024年2月26日
・合格発表: 2024年6月21日

試験は年に2回実施され、いずれかの試験に合格すれば短答式試験は通過となります。なお、短答式試験には科目免除制度も認められています(司法試験合格者・会計専門職大学院修了者など)。
詳細は試験実施団体(公認会計士・監査審査会)のHPで確認できます。

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短答式試験の内容と過去問

短答式試験の内容と過去問

それでは短答式試験ではどのような問題が出題されるのでしょうか。出題科目と出題形式、過去に出題された問題の傾向を確認しましょう。

試験科目と出題形式

試験科目

  • 財務会計論

    簿記や会計処理の手続き、企業の財務諸表や財務情報に関する理論について出題されます。この科目だけで全体の4割を占める200点分が配点されているため、財務会計論の出来が合否を左右するといっても過言ではありません。

  • 管理会計論

    原価計算や管理会計について出題されます。原価計算は製品・サービスの売上原価の計算について、管理会計は経営管理や意思決定における会計情報の活用、予算やコスト管理に関する問題が出題されます。

  • 監査論

    公認会計士又は監査法人が行う、財務諸表の監査を中心とした理論・制度・実務に関して出題されます。具体的には、会計監査に関する規則や手続き、監査報告書の作成手順などが問われます。

  • 企業法

    企業法という法律は存在しておらず、実態は会社法・商法・金融商品取引法について出題されます。株式会社の設立や運営に関する法的な規則や取扱いについて問われます。

出題形式

試験はマークシート方式で行われ、1日で4科目すべての科目を受験します。配点と試験時間は次の通りです。

財務会計論:200点(120分)
管理会計論:100点(60分)
監査論:100点(60分)
企業法:100点(60分)

合格基準

合格基準は4科目の総点数の70%です。ただし各科目の得点比率において40%を満たさず、かつ答案提出者の下位から遡って33%未満となる科目がある場合、不合格になる事があります(いわゆる足切り)。

過去問の例と傾向

公認会計士の短答式試験の過去問は、幅広い論点にわたり、実務に即した問題も出題されます。例えば、財務会計論では、財務諸表の作成方法や会計処理の基本的な理解が問われます。監査論では、監査手続きや内部統制の理解が求められます。このように、科目ごとに異なる実務に関する理解が重要です。

過去問の傾向としては、幅広い論点から満遍なく出題される傾向にあります。細かい制度や会計処理方法を問われることもあり、正確な知識を元に問題の正誤判断を行える力が求められます。また、最新の法改正や会計基準の変更に合わせて、出題論点も変わることがあります。これに対応するため、最新の情報を取り入れた対策が必要です。

過去に出題された短答式試験の過去問は、試験実施団体のHPで閲覧することができます。ご興味がある方は、参考になさってください。

短答式試験の合格率と勉強時間は?

短答式試験の合格率と勉強時間は?

合格率データ

直近3年度分の合格率は次の通りです。
属人ベース合格率は、15~20%前後となっています。

短答式試験(1次試験)は合格率15%強

近年では会計士受験者が増加傾向にあるため、以前に比べると難易度が高まりつつあります

過去10年以上に遡って見る、短答式試験の合格率の推移は次の通りです。

                                    

年度 第 I 回 短答式試験 第 II 回 短答式試験 属人ベース
合格率
(実質合格率)
合格率
(実質合格率)
属人ベース
合格率
2010年 9.0%
(未公表)
4.6%
(未公表)
未公表
2011年 9.9%
(未公表)
3.5%
(未公表)
未公表
2012年 6.0%
(未公表)
4.2%
(未公表)
未公表
2013年 10.7%
(13.6%)
8.7%
(11.6%)
19.1%
2014年 13.0%
(16.8%)
6.1%
(8.2%)
19.4%
2015年 12.3%
(15.9%)
10.3%
(13.9%)
22.4%
2016年 12.3%
(15.8%)
10.1%
(13.5%)
22.1%
2017年 15.3%
(19.8%)
7.2%
(9.7%)
22.6%
2018年 13.0%
(16.6%)
13.6%
(18.2%)
25.7%
2019年 12.9%
(16.6%)
9.4%
(12.7%)
22.6%
2020年 12.1%
(15.7%)
9.7%
(12.9%)
21.8%
2021年 16.8%
(21.6%)
21.6%
2022年 9.4%
(12.1%)
6.1%
(7.9%)
15.7%
2023年 8.1%
(10.4%)
6.7%
(8.8%)
15.4%
2024年 8.3%
(10.8%)
7.1%
(9.5%)
16.2%

※実質合格率とは、願書提出者数から欠席者数を引いた答案提出者数を母数に、合格率を算定したもの。
※属人ベース合格率とは、同一年度の第 I 回短答式試験及び第 II 回短答式試験のいずれにも願書を提出した受験者を名寄せして集計した場合の合格率。
※2021年は新型コロナウィルスの感染拡大のため、第 I 回短答式試験の実施はなし。

合格までの平均勉強時間

公認会計士の短答式試験に備えるための平均勉強時間は、簿記知識などの事前知識に応じて多少異なりますが、一般的には、合計で1,500時間以上の勉強時間が必要とされます。この時間は、講義・問題演習・模擬試験の受験などを含みます。

相対評価の試験であるため、絶対的な勉強量に加え、受験生の中での自分の位置を把握することが重要となります。

短答式試験の効果的な勉強法・役立つ教材

短答式試験の効果的な勉強法・役立つ教材

勉強計画の立て方

以下は公認会計士の短答式試験における、勉強計画の立て方の一例です。ぜひ参考にしてみてください。

1.目標設定:
最初に現在の学習レベルを踏まえ、消化すべき講義や教材の全体像を掴みます。その上で、科目ごとの合格基準を明確にし、合格に必要な点数を目標に設定します。具体的には、カリキュラム内で受ける各種テストや模擬試験の結果を参考に、自分の目標点(順位)に必要な点数や偏差値を把握しましょう

2.時間の割り当て:
各科目ごとに必要な勉強時間を見積もります。各科目の重要度や難易度に応じて時間を配分します。過去の合格者の情報なども参考にし、各科目に割り当てるべき勉強時間を把握するのも良いでしょう

3.計画の具体化:
学習スケジュールを立てます。短期間で集中的に勉強する場合は、週や日ごとの学習スケジュールを詳細に設定します。科目ごとに学習範囲を設定し、無理や無駄の無い効率的な学習計画を作成します

4.学習教材と方法:
教材の選択や学習方法を決めます。基本的には、資格対策スクールで提供される教材を利用しますが、複数の教材が提供される場合、優先順位付けが必要です。講師のアドバイスや、合格者の体験談も参考にすると良いです。試験日が近づいてきたら、過去問や模擬試験を解いて、実践力を高めることも大事です。

これらのステップを通じて、短答式試験に向けた効果的な勉強計画を立てることができます。

勉強時間の配分

公認会計士の短答式試験の勉強時間配分は、科目ごとに考える必要があります。試験科目は財務会計論、管理会計論、監査論、企業法の4科目です。以下は、勉強時間の配分についてのアプローチ例です。

科目ごとの重点設定

  • 財務会計論

    試験の配点比率が最も高く、最重要の科目と言えます。簿記知識を中心に、幅広い会計処理に関する知識が必要です。充分な時間を割いて、基礎的な理解から実践的な問題までカバーしましょう。

  • 管理会計論

    計算問題が多く、実践的な理解が求められます。苦手とされる方も多く、好き嫌いが分かれる科目です。テキストを中心に理解力を高め、問題集を解きながら理論と計算の両面をバランスよく勉強しましょう。

  • 監査論

    監査手続や規則に基づく理解が必要です。過去問を解くことで出題傾向を把握し、実務に即した対策を取り入れましょう。

  • 企業法

    幅広い法律知識が求められます。会社法が出題の中心となりますが、商法や金融商品取引法からも一部出題されます。過去の問題を解きながら、法令や判例を網羅的に勉強しましょう。

短答式試験後の動き

短答式試験後の動き

合格した場合

論文式試験に挑戦することができます。公認会計士試験は、短答式試験と論文式試験の2つの段階から成り立っていて、短答式試験に合格することが論文式試験の受験資格を得るための条件となります。論文式試験に合格することで、公認会計士試験の最終合格となります。

不合格の場合

短答式試験に合格できなかった場合、何度でも再挑戦することができます。第Ⅰ回(12月)短答式試験で不合格だった場合、一般的には第Ⅱ回(5月)短答式試験に向けて再挑戦します。 そして第Ⅱ回(5月)短答式試験でも不合格となった場合は、翌年度の短答式試験に再挑戦することになります。

次回の受験で合格するために、勉強を始める前に以下について確認しましょう。

  • 原因の把握

    公認会計士試験では苦手科目を作らないことが重要です。まずは自己採点の結果や成績表を確認し、足切りになった科目や、想定よりも点が取れなかった科目を把握します。それから次回の試験までの期間や、合格するために必要な準備を検討します。

  • 勉強計画の見直し

    目標点数に満たなかった科目や問題の傾向を把握し、勉強計画を見直します。予備校や資格対策スクールを受講している人は、講師に勉強計画に関するアドバイスをもらうと良いでしょう。

  • サポートの活用

    次回合格できるよう弱点の克服が必要です。点数によっては基礎から勉強できるコースの受講も検討しても良いかもしれません。TAC公認会計士講座では、再チャレンジに向けた学習サポートや試験対策カリキュラムの提供を行っています。

短答式試験の合格率は属人ベースで15~20%です。不合格者の占める割合が多い試験であるため、複数回の受験が必要となるケースも想定されます。例え不合格となった場合でも、それを受け入れて、挑戦し続けることが重要です。

まとめ

まとめ

公認会計士の短答式試験は、基本的な専門知識の理解度を測る重要なステップです。受験資格は必要ありません。試験は年2回実施され、合格には綿密な準備と1,500時間以上の学習時間が必要です。受験戦略としては、時間管理と重要科目への集中、資格対策スクールの活用が大切です。

TAC公認会計士講座では、試験対策のプロである合格者講師陣が、短答式試験の分析に基づいた講義・教材・カリキュラムの提供を行っています。SNSやYouTubeチャンネルでも、短答式試験の講評動画やボーダー予想動画などを公開していますので、是非参考にしてみてください。

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