働きながら資格をとる! 公認会計士を目指す社会人とは
【1】公認会計士試験における社会人受験者数と合格率
近年、公認会計士資格の人気が高まる中で、社会人の受験者数も増加傾向にあります。ここでは、公認会計士・監査審査会のデータに基づき、公認会計士試験における社会人受験者数や合格率についてご説明します。
増加する社会人受験生
社会人で公認会計士試験を目指す人ってどのくらいいるんですか?
社会人さん
会計士さん
近年は全体的に公認会計士受験生が増えていることもあって、社会人受験生も増加傾向にあるんですよ ♪
※当ページでは、公認会計士・監査審査会が公表している『公認会計士試験合格者調』の「職業別合格者調」のうち、「会計士補/会計事務所員/税理士/会社員/公務員/教員/教育・学習支援者」を「社会人」と定義して集計しています。
本当だ!大幅に増えていますね!
受験生全体に占める割合で表すと、社会人ってどのくらいの割合なんですか?
それでは、2023年度の受験生の属性を見てみましょうか。
学生の次に社会人が多いんですね!
思ったより社会人受験生が多いので安心しました!
はい、いまや願書提出者の 約25%が社会人となっています!
ポイント解説
近年、公認会計士資格の人気が高まり、全体的に出願者数が増加しています。直近の2023年試験では、出願者20,317名の内、約25%にあたる4,918名が社会人でした。
また、短答式試験合格者が受験する「論文式試験の受験者数」も、社会人受験生は2016年度の772名から2023年度には約1.15倍の883名にまで伸びています。
社会人受験生の合格率の推移
ちょっと聞くのは怖いのですが・・・
実際、社会人の公認会計士試験合格率ってどのくらいなのでしょうか。
一例として論文式試験の合格率を挙げると、2023年の社会人合格率は25.1%でしたよ!
それって、全体と比較すると高い方なんですか?
んー・・・正直、高いとは言えないですが、悲観する数値ではないと思います。
社会人合格率と全体の合格率を比較した、次の表を見ていただけますか?
やっぱり、社会人合格率は全体平均を下回るんですね・・・
そうですね。
時間に制約のある社会人は不利にならざるを得ないのは事実ですね。
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『両立or専念』ではなく、『両立→専念』という選択
公認会計士にはすごく惹かれるんですが、やっぱり今の生活もあるし、この合格率を見ると、どうしても不安が拭えないなぁ・・・。
お気持ちはすご―くわかります。今お仕事をされていて生活が成り立っている方にとって、今の生活と不確定な未来を天秤にかけるのは、ツライですよね・・・。
ただ、社会人の合格者も毎年安定して誕生しているんですよ。
年度によって多少のバラツキはありますが、それでも同じ境遇の先輩が大勢いるというのは心強いですね!
働きながら公認会計士試験合格を目指す方にとって、最大の難関は『学習時間の確保』です。かといって、今の生活がある以上、いきなり退職して専念するのはリスクを感じますよね。
今の生活を変えることになるからなぁ。
その場合、まずは働きながら進めてみて、「合格の手ごたえを感じたら専念する」というようにすれば、リスクヘッジができるのではないでしょうか?
次のアンケート結果をご覧ください♪
社会人の方にとっては、「最後まで仕事と両立」や「退職して学習に専念」だけでなく、「まず両立してみて、自身の学習習熟度に合わせて専念する」という選択肢もあるわけです!
なるほど!
何もせずに後悔するより「まずはやってみて考える」のもアリですね!
ポイント解説
公認会計士試験の難しさは、学習内容の難解さというより、膨大な学習量にあります。そのため、比較的時間にゆとりのある学生や学習専念者をライバルとした場合、社会人の方が不利にならざるを得ないのは確かです。
では、社会人は公認会計士を目指さない方が良いのか、と言えば、そうではありません。
多忙で全く学習時間がとれない方であれば話は別ですが、通勤時間、帰宅後や休日を使って学習できる方であれば、合格までの学習プランを練ることが可能です。
受験指導校が提供する学習プランも、例えば2年間のロングコースであれば入門・基礎期は比較的ゆるやかに学習が進むので、お仕事との両立はしやすくなります。しかし、本試験の約半年前より始まる上級期になると学習ペースが速くなるため、より多くの学習時間が必要とされます。
それでも、休日やスキマ時間を有効活用し学習時間を捻出される方もいらっしゃいます。ライフスタイルや学習の習熟度は個々に異なる為、講師と相談の上で「両立」と「専念」の時期検討すると良いのではないでしょうか。
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【2】社会人合格者が語る、仕事と受験生活の両立法
公認会計士に興味はあるけれど、本当に働きながら勉強を継続できるのか、不安は尽きないと思います。ここでは、実際に働きながら公認会計士試験を突破した方の、仕事と学習の両立法や、1日のタイムスケジュール等についてご紹介します。
公認会計士を志したきっかけは?
実は私、今年で社会人6年目で、会計とは関係のない仕事をしてるんです。
皆さんどういうきっかけで公認会計士を目指されたのでしょうか?
異業種からのキャリアチェンジだとしても、社会人としてのご経験は、公認会計士になってからも必ず活きてきます!
まずは社会人合格者の『会計士を目指したきっかけ』を紹介しますね。
社会人合格者の声
日商簿記2級合格後に公認会計士へ
大学卒業後1年ほど経った頃、職場で予算作成方法に興味を持ちました。調べていくうちに公認会計士という資格を見つけ、その資格の持つ幅広い可能性に魅力を感じました。同時期に始めた簿記の学習も非常に楽しく、自分に合っていると感じたため、簿記2級に合格した時点で会社を辞め 、公認会計士を目指すことにしました。(TAC合格体験記より)
社会人合格者の声
異業種から公認会計士へ転職
就職して2年ほど経った時に、就職した業界でのキャリアアップ像が、自分の望むものとはズレていることを感じました。そんな時に、「高収入」「個人の力で働ける」「歳をとっても稼げる」など様々な魅力をもつ公認会計士という職業を知りました。
公認会計士は、資格を取得すれば誰でもなれる職業であるため、会計とは全く関係のない業種・職種だった自分が、20代後半のキャリアチェンジの手段として目指すにはとても良い選択だと思い、学習を始めました。(TAC合格体験記より)
社会人合格者の声
30歳半ばで一念発起 公認会計士受験への決断
会計との出会いは、前職で経理部門に異動してからのことです。学習してみると非常に面白く「これを一生の仕事にできたら」と思い、いつからか公認会計士という職業に心惹かれていきました。当時、会社生活は充実していました。しかし、勤続10年を超え、30代半ばに差し掛かり、このまま定年まで会社にいるのだろうか・・・という迷いを感じていました。飛び出すには年齢的に最後のチャンスだと思い、一念発起して受験を決断しました。(TAC合格体験記より)
幅広い年代の方が、様々なきっかけでチャレンジされていると知り、勇気がわきました!
ポイント解説
社会人合格者には、様々な経歴をお持ちの方がいます。前職で経理経験のある方もいれば、会計関連とは全く関連の無い部署の方も多くいらっしゃいます。また、業種も様々で、一般事業会社、土木建築、システムエンジニア、公務員、塾講師など、まさに十人十色です。
職歴が多岐にわたる分、公認会計士を目指すきっかけも個々に異なりますが、公認会計士を目指す動機は「会計に興味が沸いたから」「将来に不安を感じたから」「給料やステータスに魅力を感じて」という方が多いようです。
1日のタイムスケジュールは?
実際に働きながら公認会計士試験に合格した人は、どうやって勉強時間を確保したんでしょう?
気になるところですね!社会人合格者の学習方法を紹介しますね。
社会人合格者の声
始業前と帰宅後の時間を利用して毎日学習
12月短答式試験までは朝7時に出社し、業務開始時間の10時まで職場でWeb講義を倍速で受講していました。そして帰宅後の22時から0時ごろまで学習をする生活をしていました。あとは電車での移動時間に企業法の問題を解いていました。とにかく毎日時間がなくても10分は机に向かうということを目標にしていました。(TAC合格体験記より)
社会人合格者の声
音声DLフォローと質問メールの活用
私は通信講座で学習していました。朝6時に起床して、前半講義を受講してから出社していました。昼食時間も食事を早く済ませて、音声DLフォローで学習しました。帰宅時の電車の中でも音声DLフォローで学習し、スキマ時間を有効活用していました。そして20時頃帰宅し、朝視聴した講義の後半講義を受講。受講後は、講義内容の理解度を確認するために、該当する問題を解くようにしていました。その際解決できなかった論点は、必ずメールで質問するようにしていました。(TAC合格体験記より)
社会人合格者の声
学習時間の少なさは効率的学習で補う
社会人でかつ一般事業会社勤務の場合、まずは当然仕事をしなければなりませんから、平日の大半は仕事で終わります。そのため、平日は多く学習時間を確保できても3~5時間になるかと思います。また、飲み会や残業があったりとなかなか学習時間を確保するのは容易ではありません。ですが、学習時間が少なくとも、効率性を高めれば合格レベルまで達することが出来ると思います。常に本試験を想定して学習し、過去問を眺め傾向を捉え、対策を練るようにしていました。(TAC合格体験記より)
出勤前や通勤時間、帰宅後まで勉強し続けるだなんてスゴイ!!でも、スキマ時間を活用すれば、働きながらでも勉強時間を捻出できそうかな。
仕事と受験生活を両立させるコツとは?
仕事と受験生活を両立させるコツのようなものはあるのでしょうか。
働きながら公認会計士試験に合格された方には、社会人合格者ならではの工夫がたくさんあります!実際に働きながら合格された方のエピソードを紹介しますね ♪
社会人合格者の声
理解を重視した学習と、受講スケジュールに沿った学習
理解を重視して、基本テキストでは理解できないところを作らないという覚悟を決めて取り組みました。入門・基礎期は仕事と並行で時間は十分には確保できませんでしたが、決算期を除きスケジュール通りに受講しました。具体的には、例題1回とトレーニング1回しかやっていませんが、アウトプットに必要な土台作りは出来たと思います。
上級期からは仕事を辞めて学習に専念しました。仕事を辞めるタイミングについては、学習を開始する時、上級期に入る時、短答式試験を突破した時の選択が多いと思いますが、会計初学者なら1番目、経験者で短期合格を目指すなら2番目、時間をかけて合格を目指すかまだ仕事を辞める決心がつかない場合は3番目だと思います。(TAC合格体験記より)
社会人合格者の声
毎日休まず学習し、働きながら公認会計士試験に合格
働きながらの合格を目指していたため、常に学習のできる環境に身を置くことを心がけていました。毎日の通勤で往復2時間かかっていたので、電車の中では音声講義を聴くようにしていました。また、1~2分のスキマ時間ができた時には、携帯しているテキストに目を通すようにしたり、食事中もWebフォローを利用して講義動画を流すなど、常に学習に触れることを意識していました。
学習のモチベーションを維持するための工夫としては、なるべくTACの校舎に行くようにしていました。周りの受講生の方々が熱心に学習をしているので、「自分もまけていられない!」と良い刺激になっていたと思います。そのおかげで、受験期間中はほぼ毎日休まず学習を続けることができました。(TAC合格体験記より)
社会人合格者の声
理解を重視した学習と、受講スケジュールに沿った学習
仕事と学習の両立はとても大変でした。仕事が終わった後の夜の講義は電車で移動中に予習し受講に臨みました。仕事のため日中の講義に参加できない分は休日にビテオブースやWebフォローで視聴しました。Webフォローは何度でも視聴できますが、必ず1回だけ見るようにしていました。何度も見る余裕がない上、後で繰り返し見るつもりになると集中力が散漫になるからです。教室講義は苦手科目に絞り、他の科目は板書ノートで進行ページを確認し、理解できるページは飛ばしました。気になった問題の解説は集中的に視聴し、それ以外は倍速視聴や省略していました。そうして時間を確保し他の受講生と進行ペースが遅れないように意識していました。(TAC合格体験記より)
やっぱり、働きながら公認会計士試験合格を目指すには、並々ならぬ努力が必要だってことですね!
ポイント解説
ここまでご紹介させていただいた「社会人合格者の声」はほんの一部でしかありません。過去のご経験も、現在のライフスタイルも個々に異なりますので、ご参考になった方もいらっしゃれば、そうでない方もいらっしゃると思います。
しかし、時間的制約のある中でも努力を重ね公認会計士試験合格を勝ち取る方が多くいらっしゃることは事実です。実際にお仕事をされながら合格を勝ち取られた方のリアルな声が、みなさまの新しい第一歩への後押しとなることを祈っています。
もっと多くの合格者の声を参考にされたい方は、下記より合格体験記をご覧ください。
【3】まとめ ~社会人が公認会計士になる秘訣~
実際に働きながら合格した方の話を聞いて、学習時間を工夫してきっちり確保できれば社会人合格も夢じゃないって感じました!
そうですね。働きながら公認会計士試験に合格するためには、『学習時間を確保すること』が一番の難関かもしれません・・・。ですが、通勤時間や休憩時間などの細切れの時間を有効活用することで、受験専念型の方との「学習時間の差」を埋めているんですね。
社会人の方が有利な事ってありますか?
お仕事で会計関連の業務をしている方は、実務経験が活きて学習イメージがつきやすい、という方もいました。また、効率性やタスク管理の能力に優れている点は、学生にはない社会人ならではの強みだと思います。
途中で会社を辞める決断をした方もいて、そこがまたリアルだなと感じました。
実際に社会人合格された方の生の声が聞けて、本当に良かったです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
働きながら公認会計士を目指す社会人について、ご参考になりましたでしょうか?
「もっと詳しく会計士について知りたい」、「試験合格者の学習体験談について知りたい」という方は下記もご参考になさってください。
公認会計士の情報がわかりやすく1冊に!
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