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公認会計士は本当に多すぎる?資格の価値と未来を徹底分析

会計士 公認会計士は本当に多すぎる?資格の価値と未来を徹底分析

公認会計士は、安定した収入や社会的な信頼性から、長らく人気のある資格として多くの人が目指してきました。しかし近年、公認会計士の資格保有者が増加し「公認会計士が多すぎるのでは?」という声が上がっています。

この記事では、公認会計士の増加背景と、資格の価値が本当に下がっているのかを検証し、今後のキャリア展望についても分析します。これから公認会計士を目指す方、また既に資格を取得した方にとって、今後の道を考えるための参考にしていただければ幸いです。

公認会計士が増えた背景

会計士 公認会計士が増えた背景

公認会計士の資格保有者が増加した背景には、いくつかの要因があります。その一つは、資格の魅力そのものです。公認会計士は、資本経済を支える重要な役割を担い、社会的な地位や安定した収入が期待できるため、多くの人々が目指す資格となっています。

また、試験制度の見直しが2006年に行われたことも、公認会計士の増加に影響を与えています。過去には、難易度の高い試験により合格者数が限られていましたが、受験者数の増加により、合格者数が増加する傾向にあります。さらに、監査法人の求人需要の増加や、高収入・安定性を得られる公認会計士資格の認知が広がったことも要因の一つです。

このように、公認会計士の増加は、資格の魅力と制度の変化、そして公認会計士に対する需要の増加が大きく影響しています。

公認会計士登録者の推移

会計士 公認会計士登録者の推移

公認会計士の登録者数は、過去数十年にわたり一貫して増加を続けています。2012年から2024年までの間で、登録者数は23,119人から35,532人に1万人以上増加しました。年度ごとの登録者数の増加を見てみると、以下のような推移が見られます。

(以下の資料はいずれも公認会計士・監査審査会資料より抜粋)

公認会計士登録者数の推移

2012年: 23,119人

2013年: 24,964人(+1,845人)
2014年: 26,260人(+1,296人)
2015年: 27,313人(+1,053人)
2016年: 28,286人(+973人)
2017年: 29,367人(+1,081人)
2018年: 30,350人(+983人)
2019年: 31,189人(+839人)
2020年: 31,793人(+604人)
2021年: 32,478人(+685人)
2022年: 33,215人(+737人)
2023年: 34,436人(+1,221人)
2024年: 35,532人(+1,096人)

公認会計士法が制定されたのは1948年。大幅に登録者(試験合格者)が伸び始めたのは2000年以降です。そのため現役世代で活躍する若い公認会計士が多く、毎年1,400~1,500名の合格者が誕生している事から、世代交代が本格的に行われるまでは増え続けていくでしょう。なお、一般的に公認会計士登録には、試験合格後3年間の実務経験等が必要となります。そのため、各年度の増加幅に関しては次項の試験合格者と年度にズレが生じます。

いずれにせよ公認会計士受験者や合格者が伸び続けていく限り、公認会計士登録者もそれを追う形で伸び続けていくことが予測されます。

受験者・合格者の推移

会計士 受験者・合格者の推移

公認会計士試験の受験者数と合格者数は、年度ごとに大きく変動しています。特に、2008年に起きたリーマンショックなどの影響で、監査法人の求人数が一時的に減少しました。これにより未就職問題が発生し、2013年から2015年にかけては会計士受験の人気が低迷(※1)。受験者数も大幅に減少しました。しかし、近年ではコロナ禍の影響や会計士資格の魅力が再認知され、受験者数が再び増加しています(※2)。

願書提出者数と論文式試験合格者数の推移


2012年: 17,894人 /合格者数 1,347人
2013年: 13,224人(-4,670人) /合格者数 1,178人 ※1
2014年: 10,870人(-2,354人) /合格者数 1,102人
2015年: 10,180人(-690人) /合格者数 1,051人
2016年: 10,256人(+76人) /合格者数 1,108人
2017年: 11,032人(+776人) /合格者数 1,231人
2018年: 11,742人(+710人) /合格者数 1,305人
2019年: 12,532人(+790人) /合格者数 1,337人
2020年: 13,231人(+699人) /合格者数 1,335人
2021年: 14,192人(+961人) /合格者数 1,360人
2022年: 18,789人(+4,597人) /合格者数 1,456人 ※2
2023年: 20,317人(+1,528人) /合格者数 1,544人
2024年: 21,573人(+1,256人) /合格者数 発表待ち


コロナ禍の影響としては、外出自粛やリモート授業・リモートワークの普及により可処分時間が増加したこと、先行き不透明感に伴い資格取得へのニーズが高まったこと等が考えられます。なお、公認会計士受験には1〜2年ほどの学習期間が必要となるため、それらの影響が受験者数に反映されるのは数年後となります。


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公認会計士の過剰供給の影響

会計士 公認会計士の過剰供給の影響

公認会計士の登録者数が増加する中で、業界内の競争も変化しつつあります。公認会計士の需要は依然として大きいものの、以前のように需要が供給を大きく上回っていた状況から、現在では需要と供給のバランスが取れる状況に落ち着きつつあります。

求人倍率の変化

具体的にはまず、求人倍率の変化が挙げられます。以前は非常に高かった公認会計士の求人倍率も、現在は供給(合格者数)と需要(採用数)のバランスが整い、局所的には就職環境がやや競争的になっています。それでも、業界全体で見ると公認会計士の需要は堅調に推移しています。

報酬面の影響

報酬面でも、局所的には待遇が見直されるケースがあるものの、平均年収1,000万円が狙える職業として、公認会計士は依然魅力的です。経験を積むことで、昇給やキャリアアップのチャンスは十分に期待できます。

キャリアパスの多様化

さらに、公認会計士のキャリアパスは多様化しています。監査法人に限らず、税理士法人、コンサルティングファームや事業会社、さらには独立開業や海外での活躍など、幅広い選択肢があります。これにより、自分の強みや興味に応じたキャリアを築くことが可能です。

これから公認会計士を目指す方は、専門性を高めつつ、多様なキャリアの可能性を視野に入れて準備することが求められます。公認会計士資格は依然として強力な武器であり、将来にわたって多くの可能性を秘めています。

多すぎと言われる理由

会計士 多すぎと言われる理由

公認会計士が「多すぎる」と言われる背景には、いくつかの要因があります。まず、登録者数の増加に伴い、業界内での環境が変化しつつある点が挙げられます。特に、近年の試験合格者にとっては、従来の完全な売り手市場から需給のバランスが取れた就職市場に変化しつつあるため、以前に比べると就職環境が厳しくなったと感じる人が増えています。この状況が、公認会計士の供給過剰感を生んでいる一因です。

また、以前は需要が供給を大きく上回っていたため、高い報酬や安定したキャリアパスが期待できましたが、現在は需要と供給のバランスが取れてきたことで、報酬面でも若干の変化が見られるようになりました。これが「多すぎる」という感覚につながっています。

さらに、会計業務の自動化やAI技術の進展も影響しています。これらの技術は、一部の会計業務を効率化し、人手を必要としない業務が増えることで、会計士の仕事に対する需要が変化してきている部分もあります。

ポジティブな視点

会計士 ポジティブな視点

「公認会計士が多すぎる」という見方がある一方で、この状況をポジティブに捉えることもできます。

専門性を活かせる新たな分野の開拓

まず、公認会計士の専門性を活かせる分野は、監査以外にも様々な分野に存在します。コンサルティング、財務アドバイザリー、IPO支援、公会計、税務、国際会計など、会計のあるところには高い需要が存在します。従来の監査業務にとどまらず、経営のアドバイザーや企業の成長を支える役割を担う機会が、さらに広がっていくことが期待できます。

成長分野での需要の増加

また、会計士の専門知識が求められる成長分野も存在します。たとえば、ITやデジタル分野における会計や監査、サステナビリティやESG(環境・社会・ガバナンス)に関連する業務は、今後ますます重要性を増していくと考えられます。これらの分野での需要が増加しているため、公認会計士は新たなチャンスを掴むことができます。

海外での活躍の場

さらに、海外での活躍も視野に入れることができます。日本国内だけでなく、国際的に通用する資格として、公認会計士は海外でのキャリアを築くことも可能です。特に、グローバル企業での監査や財務に関する役割は、公認会計士にとって大きな挑戦であり、やりがいのあるキャリアとなるでしょう。

このように、公認会計士が「多すぎる」という声がある一方で、資格を活かした多様なキャリアパスや、新たな成長分野での活躍の機会が広がっていることも事実です。これからの公認会計士は、自らの強みを活かし、新たなフィールドで積極的に挑戦していくことが求められます。

今後の展望とまとめ

会計士 今後の展望とまとめ

公認会計士の人気が続くのであれば、今後も合格者数や登録者数の増加が予想され、業界全体での競争はさらに厳しくなる可能性があります。しかし、これは同時に、公認会計士の専門性がますます求められる時代が到来することを意味しています。

まず、デジタル化やAI技術の進展により、会計業務の一部が自動化される中で、公認会計士の役割が変わりつつあります。これに対応するためには、ITリテラシーを高め、新しい技術を積極的に取り入れる姿勢が重要です。たとえば、データ分析やIT監査の分野に精通することで、従来の会計業務に新たな価値を付加することができます。

また、サステナビリティやESG(環境・社会・ガバナンス)に関連する会計や監査の需要が増加する中で、公認会計士の役割はさらに広がりを見せています。これらの成長分野での専門知識を深めることで、時流に乗る企業のニーズを的確に捉え、重要な存在となることができます。

さらに、グローバル化が進む中で、国際的な基準に基づく会計や監査の需要も高まっています。公認会計士は、海外の資格を取得することで、国際的な舞台でのキャリアを築くことができます。これにより、グローバル企業や国際的なプロジェクトに携わる機会が増え、公認会計士としての市場価値をさらに高めることができるでしょう。

公認会計士が「多すぎる」と言われる時代においても、資格を活かした多様なキャリアパスや成長分野での活躍の機会が広がっています。これから公認会計士を目指す方にとっては、自分の専門性をさらに高め、多様なキャリアの可能性を視野に入れて準備することが求められます。公認会計士資格は、依然として強力な武器であり、今後も多くの可能性を秘めています

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