公認会計士を目指そうか迷っている方へ 公認会計士のメリット×デメリット20選
『公認会計士に興味はあるけど、目指すかどうか迷っている』という方へ、公認会計士を目指す上でのメリット・デメリットを詳しく解説します。公認会計士の良い面だけでなく、悪い面も知った上で、目指す価値ある資格かどうか、判断いただく材料にしてください。
公認会計士のメリット|その1|収入・ステータス編
ここからは、公認会計士のメリットについて「収入・ステータス編」「働き方編」「スキル・キャリア編」「番外編」に分けて解説します。
はじめに、公認会計士になることで得られる「収入・ステータス面」でのメリットを4つ、ご紹介します。
【1】平均年収が約1,000万円
公認会計士は年収が高いって聞きましたが、本当ですか?
教えてちゃん
会計士
厚生労働省の公表資料によると、平均年収は約900~1,000万円になるわね。
え、そんなに?!
私が大手監査法人に入社した時の初任給は、32万円だったわ。年収にしたら550万円くらいだったかしら。もちろん、残業代もしっかり出るから、人によって差はあるだろうけどね☆高収入が期待できる、という点では大きなメリットと言えるわ。
ポイント解説
職業を選択する際に、最初に気になるのは収入面ではないでしょうか?公認会計士の年収は、標準的な会社員の給与水準よりも高い傾向にあります。
詳しい情報を知りたい方は、下記の記事もご参照ください。
[ 参考リンク ] 公認会計士の年収は本当に高いのか。年収でみる、公認会計士を目指す価値
【2】非常勤(アルバイト)でも高時給
大学生で合格した場合、卒業するまで監査法人でアルバイトできるって聞いたんですけど、時給は幾らくらい貰えるんですか?
教えて君
そうね…だいたい時給2,500円前後かしら。続けていくと時給が上がるケースもあるから、中には2,900円って学生さんもいたわね。
え、そんなに貰えるんですか!?たった4時間で1万円も夢じゃない…他の学生アルバイトではあり得ないですね。
例えば公認会計士登録済みで、主査っていうポジションの経験があれば、監査法人だと時給7,000~8,000円が非常勤の相場になるかしら☆日給でいえば5万円以上、10日働くだけで50万円以上稼ぐことも夢じゃないわね!
10日で50万円?!ますます会計士になりたくなってきました!
ポイント解説
在学中に公認会計士試験に合格した場合、卒業までの期間、監査法人でアルバイトできるケースがあります。時給は採用先の法人によって異なりますが、およそ2,300~2,600円が相場となります。
また、公認会計士登録済みの方が、ワークライフバランスを優先するために、非常勤形態で勤務することがあります。その場合の時給相場は7,000~8,000円になっており、非常勤であったとしても、高収入を得ることができます。
【3】社会的信用度が高い
私の友達には、公認会計士を知らない子が多いんですけど…結構マイナーな資格なんでしょうか。
そんなことないわ!公認会計士の社会的信用度は絶大よ。ビジネスの場はもちろんだけど、特に金融機関への信用度はすごく高いわね。住宅ローンを組むときなんかも、金利面で優遇されることもあるわ!
え、そうなんですか?! 公認会計士って社会的地位も高いんですね☆
ポイント解説
公認会計士は、医師・弁護士と並び三大国家資格の一角と位置付けられています。独占業務である監査を通じて、壮大なスケールで社会に貢献することができ、経済を支える「資本主義の番人」として重要な使命を担っています。
それゆえに、公認会計士試験という難関試験を突破した人には、会計プロフェッショナルとしての高い専門性と共に、社会からの厚い信頼感も得ることができます。
また、ビジネス面においても、公認会計士の肩書は非常に強い力を持ちます。通常、会うことのできない経営層の方とも、プロという立場で対等に接する機会が豊富にあります。
【4】景気に左右されにくく安定している
僕、できれば安定した職に就きたいと思っているんですが、公認会計士って本当のところ、どうなんですか?
公認会計士は、景気に左右されにくい、安定した職業だと言われているわ。
どうして安定してるんですか?
公認会計士の代表的な業務に、「財務諸表監査」っていう仕事があるんだけど、これって公認会計士にしかできない、独占業務なの。そして資本主義経済を支える仕事だから、日本に金融市場がある限り、無くならない仕事なのよ。
なるほど!独占業務があるから、公認会計士の仕事は安定しているってわけですね!
ポイント解説
公認会計士には、公認会計士のみが行える「財務諸表監査」という独占業務があります。
そのため、業務への参入障壁が高く、他に代替が利かないという点において安定性が高いと言えます。
さらに、公認会計士(監査法人)による財務諸表監査は、上場企業や大企業において法律で義務づけられているため、好況・不況に関わらず、常に安定した需要が存在しているという点も大きいでしょう。
もちろん、クライアントである上場企業や大企業の増減や、財務諸表監査以外の非監査業務(コンサルティング業務など)は、景気変動による影響を受けることになりますが、他の業界や職種などに比べると、非常に安定している業界と言えるでしょう。
公認会計士のメリット|その2|働き方編
続いて、公認会計士の「働き方」に関するメリットを3つ、ご紹介します。
【5】長期休暇を取得しやすい
公認会計士の仕事って、収入が良い反面、一年中ずっと激務なんでしょうか?
そんなことないわ!繁忙期は存在するけれども、繁忙期後は数週間単位で長期休暇がとれる場合もあるのよ☆
え、数週間もですか?!それなら、海外旅行とか行けちゃいますね♪
そうなの!繁忙期があることで、その後の休暇計画が立てられるから、前もって海外旅行の計画も立てられちゃうの。私なんて、2ヵ月休んでプチ語学留学をしたこともあるわよ☆
公認会計士さんの働き方って、メリハリがあって良いですね!
ポイント解説
監査業務は、クライアントの決算月が明確なため、事前に繁忙期・閑散期の予測がつきやすいです。
公認会計士の繁忙期は毎年4~5月頃で、これは日本企業の多くが3月決算となっているためです。
繁忙期は長時間残業が必要なケースもありますが、その残業代で、翌月から海外旅行などのバカンスを満喫する人も少なくありません。
公認会計士の監査業務は、年間のスケジュールが立てやすく、メリハリをつけて働くことができるのです。
【6】働き方の自由度が高い
公認会計士も、やっぱり毎日、通勤ラッシュに揺られて会社に行くんですか?
いいえ、働き方は結構自由度が高いの。監査法人では、仕事の割当を「アサイン」って言うんだけど、例えば午前中にアサインがなければ、午後出社でも良いし、リモートで業務を行うこともあるわ。
へ~。じゃぁ、在宅勤務もできるってことですか?
今はIT技術の導入が進んでいるから、自宅でリモート会議をしたり、監査に必要なソフトウェアを使ったりできるの。だから、在宅勤務やテレワークも可能よ。もちろん、担当するクライアントや繁忙時期次第だけどね。
公認会計士になったら、自由に働けるんですね!
ポイント解説
大手監査法人では、勤怠をタイムカードで管理しておらず、マネージャーへの自己申告としているケースが多いです。また、監査法人のオフィスに出社せずに、クライアント先へ直接訪問するケースも少なくありません。
アサインされたスケジュールはメンバー間で共有されているので、何か連絡を取る際にはそのスケジュールを参考にします。
【7】女性も働きやすい
私、結婚しても働きたいと思ってるんですが、実際に可能でしょうか。
Big4と呼ばれる大手監査法人では、「くるみん認定」を受けているわ。これは、厚生労働大臣が子育てサポート企業として認めた証よ。実際に多くのパパさんママさんが、子育てしながら仕事と両立しているわ。
制度はあっても、実際に利用している人って多いんでしょうか…?
心配よね。そこは監査法人の就職説明会などで、リアルワーママとお話しすると良いわ。ただ、結婚や出産、育児で一時的に仕事を離れたとしても、安心して復帰できる環境が整備されていることは確かよ。
ポイント解説
近年、大手監査法人を中心に、女性が働きやすい職場環境の整備等を目的とした、様々な活動が行われています。女性のためのセミナーやワークショップ等の開催を通じて、組織横断的なネットワークの構築・強化が図られています。
また、公認会計士は、男女差なく個人の成果を評価されます。そのため、年収やキャリア面でも差異を感じることは少なく、多方面で将来の可能性を広げることができます。
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公認会計士のメリット|その3|スキル・キャリア編
ここでは、公認会計士の「スキル・キャリア面」のメリットを7つ、ご紹介します
【8】世界的プロフェッショナルファームの一員として働ける
大学の友達に公認会計士の話をしても、知らない人が多いんですよね。
そうね。公認会計士って、テレビドラマなんかでもあまり取り上げられないから、無理もないわ。
だから、公認会計士ってメジャーな資格じゃないのかなー?って。
そんなことないわ!公認会計士は、医師や弁護士とならぶ日本の三大国家資格の一角を担っているのよ。そして実は、監査法人は世界的にも人気の就職先なの!
ポイント解説
大手監査法人は、世界150ヵ国以上にわたる大規模な会計ネットワークと繋がっています。そして、その中でもBig4(EY、Deloitte、KPMG、PwC)と呼ばれるファームは、その知名度と国際性から、AppleやGoogleなどと並び魅力ある就職先として世界中で高い人気を誇っています。
日本の公認会計士試験に合格し、監査法人に就職することで、世界的な会計プロフェッショナルファームの一員として活躍することができます。
【9】企業分析に強くなる
公認会計士になると、会計や数字に強くなるのはわかるんですけど、それって何の役に立つんですか?
企業の決算書を読めるようになると、その会社の経営状況がわかるわ。そして与信管理を行えたり、将来の経営成績を予測できるようになるの。
それって、必要なことなんですか?
もちろんよ!例えば、与信管理はビジネスで協力会社が必要な時に、提携先を選ぶのに必要なスキルよ。また将来、会計コンサルティングを行ったり、自分でビジネスを始めたりするのであれば、間違えなく役に立つわ!
なるほど!ビジネスで必要なスキルも身に付くんですね!
ポイント解説
公認会計士の業務は、企業の経営成績や財政状態を表す「財務諸表」の監査であるため、必然的に会計数値の動きや、将来予測に関する知見が蓄積されることになります。
これはビジネスにおいて、非常に強力な武器となります。優秀なビジネスモデルや、革新的アイディア、人的資本など経営において必要なものはたくさんありますが、資金管理や与信管理、将来の売り上げ予測といった、会計面の知識は絶対に欠かせません。
公認会計士になり実務を積むことで、それら経営に必要な会計知識を、広く深く身につけることができます。
【10】多業種の成功事例と失敗事例を知ることができる
会計士の仕事をして良かったことって何ですか?
そうね…いろんな業種の成功事例と失敗事例を知ることができることかしら。 監査を通して得た知見を活かして、精度の高いコンサルティングができるし、自分で開業する時にも、成功するビジネスモデルを知っているから、軌道に乗せやすいの。
成功するビジネスモデルを知ることができるって、最強ですね!
他にも、企業の経営者ともお会いする機会が多いのも、会計士ならではの大きなメリットよね。普段お会いできないような経営層の方々と、意見交換ができるのは醍醐味よ。
ポイント解説
公認会計士は上場企業や大企業を中心に、様々な業種・業態のクライアントを監査します。そのため、日本を代表する製造業から、時流の先端をいくIT企業まで、多様なビジネスモデルに広く深く触れることができます。
もちろん、業務上で知り得た機密情報等については守秘義務がありますが、経験を通じて蓄積されたノウハウをもとに、コンサルティングサービスに活かすことも可能です。
さらには、企業の経営層と接する機会も恵まれているため経営者の考え方や予見に直に触れるチャンスがあります。
【11】幅広いフィールドで働ける(キャリアプランが豊富)
公認会計士のキャリアって、どのような感じなんですか?
公認会計士試験に合格すると、約9割の人が初めに監査法人に勤めるわ。そして、その後のセカンドキャリアは、本当に多くの道が広がっているのよ。
監査法人勤務の後は、どのような道に進む人が多いんですか?
例えば、会計知識を活かして、上場企業で経理・財務業務に就いたり、ベンチャー企業の上場サポート(IPO)をしたり。監査経験を活かして、企業のM&Aなどの会計コンサルティング、海外進出を目指す企業の国際税務サポートなどもあるわ ♪
公認会計士のキャリアは、幅広くて夢がありますね☆
ポイント解説
監査業務を通じて得た実務知識や経験は、希少性が高く、高い価値を生み出します。それを活かして、会計コンサルティング、上場企業CFO、株式公開支援、海外駐在や独立開業など、将来の選択肢を大きく広げることができます。
自分が望むキャリアプランを、自らデザインし、実現する力を公認会計士は有していると言えるでしょう。
【12】独立開業ができる(税理士・行政書士も登録可)
僕、ゆくゆくは独立したいんですが、会計士になれば独立開業できますか?
監査業務はチームを組んで行うのが基本だから、監査をするために1人で開業は難しいの。ただ、公認会計士になれば、税理士や行政書士登録もできるから、そちらで開業はできるわよ。
え、会計士になったら、税理士や行政書士にもなれるんですか!?
そうなの。もちろん、士業の枠に拘らず、コンサルティング会社などを興す人もいるわよ。
公認会計士になれば、独立開業への道も広がりますね。
ポイント解説
公認会計士になると、試験を受けずに税理士登録、行政書士登録が行えます。
一言に「独立開業」といっても、何を中心業務に据えるかは個々に異なりますが、税理士や行政書士の業務ができるのは大きな強みといえるでしょう。特に税理士業務は、個人でも開業しやすいビジネスモデルのため、税理士業を中心に独立開業する公認会計士は多いです。
また、開業直後は収入が不安定になりがちですが、前述の非常勤勤務をして生活費を確保しながら、独立準備を進めることができるのも大きな魅力です。
[ 参考リンク ] 公認会計士と税理士の違いを徹底的に解説!
【13】海外に行ける機会が多い
私、海外でも働いてみたいんですけど、どのくらいチャンスがありますか?
んー…国によって可能性は異なるわ。本格的に海外に籍を移して働くとなると、米国やヨーロッパは人気が高いから、正直マネージャークラスにならないと難しいかも。
ただ、短期間の海外駐在や海外出張の機会は恵まれているわ。私もスタッフ時代、海外支店への出張はよく行かせてもらったもの ♪
聞いているだけでワクワクしてきました!
ポイント解説
Big4と呼ばれる大手監査法人では、海外に数多くのメンバーファームが存在するため、海外駐在や海外出張のチャンスが多くあります。
しかし、日本と海外のつなぎ役として行くため、長期駐在には一定年の実務経験が必要です。入社後すぐに海外駐在ができるわけではありません。
TOEICやTOEFLなどの点数要件や面接などもあるため、希望する全員が海外駐在できるわけではありませんが、海外支店への出張などの短期のものを含めれば、海外に行ける機会は恵まれています。
【14】学歴は関係ない
僕、そんな良い学校に行ってないんですけど…会計士になる人は、みんな高学歴なんですか?
公認会計士に学歴は関係ないわ!受験資格が必要ないから、高卒の会計士だっているしね。公認会計士の世界は、学歴や年齢よりも、公認会計士としての実力やキャリアが重要になるの。
そ、そうなんですか?! 学歴が必要ないと聞いて、少し安心しました。
ポイント解説
公認会計士試験は、受験資格がありません。そのため、誰でも受験ができる開かれた試験です。
また、監査法人の採用活動は、「公認会計士試験合格」が前提となっており、一般的な就活でよく見聞きする、「学歴」の重要性は高くありません。
[ 参考リンク ] 公認会計士試験に、受験資格は必要?いつ始める?
[ 参考リンク ] 学歴や出身大学は、公認会計士試験に関係があるのか
公認会計士のメリット|その4|番外編
最後に、少し違った視点でメリットをもう1つ、ご紹介します。
【15】公認会計士はモテる?
公認会計士になったら、モテますか?
んー…モテるかどうかは、職業っていうより、人間性だと思うけど…。でも、そう言われてみれば、私の周りの公認会計士は、結婚が早い人が多いかも。
ってことは、やっぱりモテるんですね?!
ま、まぁ、社会的地位は高いから、親御さんからの評価は高いかもね。難しい国家試験を最後まで頑張った点や、安定的に高収入を得られる点は、親からしても安心だものね。
ぅおーー!俄然やる気が出てきました!!
あ、あの、だからね、モテるかどうかは、人によるわよ?(…聞いてないなこりゃ)
ポイント解説
公認会計士に限らず、『士業はモテる!』というのは定説のように思われますが、結局のところ、モテるかどうかは職業と関係はないでしょう。
「平均年収1,000万円」を掲げてモテても、寂しいですしね。
しかし公認会計士は仕事柄、経営者にプレゼンテーションをしたり、チームで仕事を進める機会が多く、コミュニケーション力が自然と身に付いている方が多い印象があります。
仕事を通じて人間力を磨き、モテるようになる方はいらっしゃるのではないでしょうか。
公認会計士のデメリット5選
ここからは、公認会計士を目指す上での「デメリット」を5つ挙げます。
今までの良い面だけでなく、悪い面もしっかりと押さえておきましょう。
【1】難関国家試験に合格する必要がある
公認会計士になるには、試験に合格する以外の方法はないんですか?
残念ながら、試験合格以外の道はないの。でも、受験資格は必要ないから、誰でも挑戦することができるわよ。
国家資格なのに、受験資格が必要ないって珍しいですね!
ただ、まとまった学習時間は必要だけどね。
やっぱり勉強はしないとダメですよね・・・
ポイント解説
公認会計士になるには、必ず公認会計士試験に合格しなければなりません(ただし、一部試験科目免除制度はあります)。
公認会計士試験は、会計系の最高峰資格と位置付けられており、相対的に難易度も高いです。そのため、合格までにまとまった学習時間が必要になります。
具体的な勉強時間や難易度などを知りたい方は、次のリンク先を参考になさってください。
[ 参考リンク ] 公認会計士試験の勉強時間はどのくらい必要?
[ 参考リンク ] 公認会計士試験の難易度と合格率を徹底解説
【2】公認会計士登録までに時間がかかる
公認会計士になるには、どれくらいの期間が必要ですか?
公認会計士になるまでの、全体像はこんな感じよ。
「試験編」にかかる期間は人によって違うけど、多くの予備校では約2年間のコースが主流ね。そして試験に合格後、公認会計士登録ができるまでに3年間は必要なの。
公認会計士になるには、時間がかかるんですね。
ポイント解説
公認会計士になるには、公認会計士試験合格の他に、「3年間の実務経験」と「3年間の実務補習」が必要です(並行して取得可能)。その後「修了考査」という最終試験に合格し、ようやく公認会計士と名乗れるようになります。
しかし、実際には公認会計士試験に合格した時点で、監査法人に就職します。
つまり、公認会計士として名乗るまでには時間がかかりますが、試験に合格して監査法人に就職することで、すぐに実務に就くことができるのです。
[ 参考リンク ] 公認会計士になるには?試験突破から登録まで徹底解説!
【3】繁忙期と閑散期の波が大きい
会計士さんが一番忙しい時期っていつ頃ですか?
担当するクライアントの決算月にもよるけど、日本企業は3月決算が多いから、4~5月が繁忙期になるわね。
繁忙期って、やっぱり激務なんでしょうか…
んー…GWはまず休めないわ。残業が続く場合もあるけど、働き方改革が進んでいるから、徹夜で残業なんてことはないわよ。そして繁忙期を乗り切れば、長期休暇が待っているわ!
なるほど…繁忙期と閑散期の波が大きいんですね!
ポイント解説
日本企業の多くは、3月決算です。3月31日で一会計年度が終わり、企業の経理部が年間の取引を集計し、外部に開示するための財務諸表を作成します。開示には期限が定められており、必然的に公認会計士の監査業務にもタイトな期限設定が求められます。
前述の通り、日本企業の多くが3月決算となっているため、監査業務が集中する4~5月はハードワークになります
。
しかし、近年では監査法人の就業環境も改善されています。22時になると強制的にパソコンがシャットダウンされる、といった対策を講じている法人もあるなど、長時間残業を抑制する取り組みが行われています。
【4】一生勉強し続ける必要がある
会計士の勉強って、一度合格すれば、一生使えるんですよね?
えぇ、資格は一生ものね。 ただ、勉強は続けなきゃダメよ?
え!合格したあとも勉強が必要なんですか?!
会計基準や税制は変化し続けるから、それに対応していかなくちゃいけないの。クライアントに、今年の制度改正で気をつけなきゃいけないポイントを聞かれて、答えられないようじゃ会計士失格だものね。
ポイント解説
公認会計士試験に合格したら、もう一生勉強しないで良いと思っていたら、それは間違いです。プロフェッショナルとして働く以上、知識のブラッシュアップは必須です。
特に、法改正は毎年行われますし、会計基準も変更されます。それらに迅速に対応しなければならない公認会計士には、会計知識や実務スキルを維持するために、毎年一定の学習単位の取得(継続的専門研修)が課されています。
つまり、公認会計士=プロフェッショナルとして働き続けるには、勉強し続けることが必須です。
【5】株式投資に制約がある
公認会計士になったら、企業の経営状況とか詳しくなるので、株式投資をすればすごく稼げそうですよね☆
良いところに気づいたわね。でも、大手監査法人に勤めると、株式投資に制約がかけられる場合があるのよ。
え、そうなんですか!?じゃぁ、公認会計士になったら、株式投資はできないってことですか?
いいえ、そうじゃないの。公認会計士が株式投資を禁止されているんじゃなく、あくまでも監査法人勤務の場合ね。独立開業したり、勤め先によっては株式投資がOKな場合もあるわ。ただ、独立性のルールや、インサイダー取引にならないよう、細心の注意が必要よ。
ポイント解説
公認会計士試験に合格すると、約9割の人が監査法人に就職します。一般的に、監査法人に勤務する場合は、クライアントの機密情報や、開示前の決算資料を利用した株式投資(インサイダー取引)を防止するために、株式投資に制約がかけられることがあります。
公認会計士自体に株式投資が禁止されているわけではありませんが、企業の内部情報に深く関わり、利害関係の無い独立した立場が求められる公認会計士には、高い倫理観が必要とされます。
まとめ ~公認会計士のメリット・デメリットとは~
公認会計士のメリットだけでなく、デメリットも知れて良かったです!
公認会計士は、一生勉強し続けなきゃならないけど、それだけプロフェッショナルとして重要な役割を担っているってことですね。
公認会計士のメリット・デメリットをまとめると、こんな感じかしら。
メリット | デメリット |
---|---|
1.平均年収が約1,000万円 2.非常勤(アルバイト)でも高時給 3.社会的信用度が高い 4.景気に左右されにくく安定している 5.長期休暇を取得しやすい 6.働き方の自由度が高い 7.女性も働きやすい 8.世界的プロフェッショナルファームの一員として働ける 9.企業分析に強くなる 10.多業種の成功事例と失敗事例を知ることができる 11.幅広いフィールドで働ける(キャリアプランが豊富) 12.独立開業ができる(税理士・行政書士も登録可) 13.海外に行ける機会が多い 14.学歴は関係ない 15.公認会計士はモテる? |
1.難関国家試験に合格する必要がある 2.公認会計士登録までに時間がかかる 3.繁忙期と閑散期の波が大きい 4.一生勉強し続ける必要がある 5.株式投資に制約がある |
公認会計士になると、働き方の自由度がグッと上がるわよ。もちろん、公認会計士になるにはしっかり勉強が必要だけど、その後の将来性や安定性を考えたら、目指す価値ある資格だと思うわ。
私は、結婚や出産を経ても働きたいと思っているので、男女の平等性が保たれている点が、とても魅力的でした☆
僕は、これから40年以上働く上で、将来の選択肢が広がる点がとても魅力的に感じたな。もちろん、会計士になればモテるって所もね!
(モテるとは言ってないんだけど…)そうね、会計士になるには、並々ならぬ努力が必要だけど、その分の恩恵はとても大きく、やりがいのある仕事よ。もし「もっと会計士の魅力に触れたい」という方は、実際に会計士として活躍する実務家の話をまとめているので、あわせて読んでみてね。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
公認会計士のメリット・デメリットについて、ご参考になりましたでしょうか?
「もっと詳しく会計士について知りたい」、「試験合格者の学習体験談について知りたい」という方は下記もご参考になさってください。
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