現役官僚インタビュー 出入国在留管理庁
見えないものを形創る
![櫛木 寛之さん](https://www.tac-school.co.jp/file/w-seminar/koumuin_sougou/renew-img/interview/2022/shutsunyu_2022.jpg)
櫛木 寛之さん
Hiroyuki Kushiki
出入国在留管理庁政策課 外国人施策推進室外国人施策企画係長
入省後の略歴と職務内容
・2016年 法務省入国管理局総務課難民認定室
難民認定申請に係る認定審査業務等
・2017年 名古屋入国管理局調査第二部門、処遇部門
退去強制業務(出頭申告・違反調査・被収容者の処遇・摘発等)
・2018年 法務省刑事局国際刑事管理官付
国際捜査共助案件への対応、国連関係諸条約における国際会議の準備・出席等
・2019年 法務省大臣官房秘書課企画再犯防止推進室
政府の経済対策に関する諸政策の取りまとめ及び他省庁との連絡調整、秘書業務等
・2020年 出入国在留管理庁政策課
特定技能制度の外国政府との協議等に係る企画立案・連絡調整等
・2021年 出入国在留管理庁政策課
特定技能・技能実習制度の見直しに向けた検討、出入国在留管理庁関連施策の取りまとめ、秘書業務等
・2022年 出入国在留管理庁政策課外国人施策推進室
外国人との共生社会の実現に向けた各種施策の企画・立案・調整業務等
Q1 国家総合職(入省先)を志した理由を教えてください。
学生時代、国外の多様な自然や歴史を体感したいと何気なく始めた海外一人旅でしたが、旅を重ねるうちに、国境管理が社会の多様性を生み出すきっかけの一つとなることに興味を持ちました。また、そのような多様性を体現する基本となるものは、国家であり国の政策であることから、これからの日本が進む方向の舵取りに携わることができる職業に憧れをもったことが国家公務員を志す動機となりました。
そして、今後増加することが見込まれる外国人と日本人の付き合い方はどうすれば良いのか、といった今後の展望について、日本の地で見届けてみたい、また、政策立案により日本を再興させる土台づくりをしたいと考えたことが、国家総合職で法務省に入省するきっかけとなりました。
Q2 今まで経験されたお仕事で、最も心に残っていることはなんですか?
出入国在留管理庁では、外国人を支援する補正予算事業を一から作り上げたり、特定技能・技能実習の制度の見直しに携わったり、難民関係業務に携わったり、大臣官房秘書課では成長戦略や骨太の方針等の経済対策の策定に携わったり、思い返してみれば、政策立案の最前線の業務に就くことが多かったように思います。
その中でも、最も心に残っているのは、国連の国際会議に出席した際に、世界各国の国家公務員が自国の国益を守るため、昼夜を問わず必死に事前準備・議論している姿でした。
日本人は一般的に勤勉であるとは良く言われますが、世界各国の公務員も、自国のために身を粉にして働く姿勢を垣間見たことは、同じ国家公務員として良い刺激となりました。
Q3 これから取り組みたいお仕事はどんなことですか?
2022年6月、初の中長期的な政府方針である「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」が関係閣僚会議で決定され、様々な背景を持つ外国人を含む全ての人が日本社会で共に歩むための各種政策を整備しました。政府一丸となって、外国人との共生社会の実現に向けた環境整備を推進することは、時代の要請であり、形として見えないものですが、国民の生活に密接に関連するものです。
他方で、出入国在留管理庁は、これまでと違い、外国政府や国際機関等から、外交政策的な観点を求められる機会が多くなっており、時代の趨勢に応じた不断の政策の見直しが必要とされている状況です。
そこで、時代の流れに取り残されず、むしろ、反転攻勢ができるよう、諸外国との意見交換を通じつつ、外国人が増加する要因・将来的な予測に関する分析に取り組み、日本の風土に合致した社会統合政策の在り方を検討してみたいと考えています。その一環として、来年度、私は人事院の行政官長期在外派遣制度により在外派遣される予定ですが、これらを研究することで将来の政府の政策決定に還元したいと考えています。
Q4 キャリアをめざす受験生へ熱いメッセージをお願いします。
業務内外問わず、己が人生で身に付けた知識や経験は、相手を説得する机上の議論のためだけに使うのではなく、新たな方向性を決定するための推進力として使うことが大切であり、それがあるべき姿であると思います。
そして、民にしかできないこともあれば、官にしかできないこともあります。それぞれのステークホルダーがそれぞれの役割を最大限発揮できるよう、潤滑油のような仕組みを構築することも大切です。
特に、成長著しい出入国在留管理庁は、世論・世界からの声に日々向き合いこれからの日本の土台を形作ること、取り組んでみたい課題があり、解決策を具現化することにやりがいを感じる人にとっては、願ってもない環境です。
熱いメッセージを、クールな頭から絞り出すことに関心があるのなら、国家総合職というのは、面白い選択肢の一つであり、門戸を叩くべきでしょう。それは一度きりの人生で、とてもダイナミックな冒険になることを約束します。