システムアーキテクトとは?試験の難易度や勉強方法を解説
システムアーキテクトとは、システム全体の設計を担当する上級技術者のことです。対象業務に関する深い知識を持ち、IT技術を用いた最適な解決方法を提案できる能力やスキルが必要になります。
今回は、システムアーキテクト試験の難易度や合格率、勉強方法について紹介します。
システムアーキテクトとは
システムアーキテクトとは、システム全体の設計を担当する上級技術者を指します。対象業務に関する深い知識を持ち、IT技術を用いた最適な解決方法を提案するのが仕事です。システムの開発工程では、要件定義やシステム構造設計に合わせて開発担当者を主導する役目も担います。
システムアーキテクト試験は、情報システムの設計や構築に関する知識とスキルを評価するための試験です。システムアーキテクト試験に合格して資格を保有すると、一般的なIT企業をはじめ、金融機関やコンサルティングファームなど幅広い業界で活躍できます。
システムアーキテクト試験の合格率
システムアーキテクト試験の合格率は、15%前後を推移しています。難易度が高い試験であるため、計画的に学習を進めることが大切です。
年度 | 受験者数 | 合格率 |
---|---|---|
2019年度 | 5,217名 | 15.3% |
2021年度 | 3,433名 | 16.5% |
2022年度 | 3,474名 | 15.0% |
2023年度 | 3,679名 | 15.8% |
注)2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響で中止
システムアーキテクト試験の出題範囲と難易度
システムアーキテクト試験の難易度が高い理由として、出題形式の種類が多いことが挙げられます。
試験 | 試験時間 | 出題形式 | 出題数/解答数 | 合格基準点 |
---|---|---|---|---|
午前Ⅰ試験 |
9:30~10:20 (50分) |
多肢選択式 (四肢択一) |
出題数:30問 解答数:30問 |
60点以上 (100点満点) |
午前Ⅱ試験 |
10:50~11:30 (40分) |
多肢選択式 (四肢択一) |
出題数:25問 解答数:25問 |
60点以上 (100点満点) |
午後Ⅰ試験 |
12:30~14:00 (90分) |
記述式 |
出題数:3問 解答数:2問 |
60点以上 (100点満点) |
午後Ⅱ試験 |
14:30~16:30 (120分) |
論述式 |
出題数:2問 解答数:1問 |
ランクA【※】 |
【※】午後Ⅱ(論述式)試験の評価方法について(IPA情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験試験要綱より抜粋)
・設問で要求した項目の充足度、論述の具体性、内容の妥当性、論理の一貫性、見識に基づく主張、洞察力・行動力、独創性・先見性、表現力・文章作成能力などを評価の視点として、論述の内容を評価する。また、問題冊子で示す “解答に当たっての指示”に従わない場合は、論述の内容にかかわらず、その程度によって評価を下げることがある。
・評価ランクと合否の関係は次のとおりとする。
評価ランク | 内容 | 合否 |
---|---|---|
A | 合格水準にある | 合格 |
B | 合格水準まであと一歩である | 不合格 |
C | 内容が不十分である・問題文の趣旨から逸脱している | 不合格 |
D | 内容が著しく不十分である・問題文の趣旨から著しく逸脱している | 不合格 |
システムアーキテクト試験は、午前と午後に分けて実施されます。各試験には合格基準点があり、ひとつでも合格点を下回る試験があると不合格になるため、注意が必要です。
また、すべての試験は1日で実施されます。高い集中力で試験に向かう体力や精神力が求められる点においても受験者の負担が大きく、試験合格の難易度が高くなる理由のひとつです。
それでは、各試験の出題範囲や難易度について詳しく解説していきます。
午前Ⅰ試験
午前Ⅰ試験の詳細は、以下のとおりです。
試験 | 午前Ⅰ試験 |
---|---|
試験時間 |
9:30~10:20(50分) |
出題形式 | 多肢選択式(四肢択一) |
出題数/解答数 | 出題数:30問/解答数:30問 |
合格基準点 | 60点以上(100点満点) |
午前Ⅰ試験では、応用情報技術者試験の午前試験と同様の範囲が出題されます。出題内容は本試験の同日に実施される応用情報技術者試験の午前試験問題からの抜粋となるため、既に応用情報技術者に合格されている方や同等レベルの方は対策として過去問題を解くのがおすすめです。
また、午前Ⅰ試験には免除制度があります。以下のいずれかの条件を満たせば、午前Ⅰ試験において2年間の免除を受けることが可能です。
・応用情報技術者試験(AP)に合格
・情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験のいずれかに合格
・情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験の午前Ⅰ試験で基準点以上の獲得
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午前Ⅱ試験
午前Ⅱ試験の詳細は、以下のとおりです。
試験 | 午前Ⅱ試験 |
---|---|
試験時間 |
10:50~11:30(40分) |
出題形式 | 多肢選択式(四肢択一) |
出題数/解答数 | 出題数:25問/解答数:25問 |
合格基準点 | 60点以上(100点満点) |
午前Ⅱ試験は、午前Ⅰ試験より幅広い分野から出題されます。毎年出題される定番問題も少ないため、最新技術をおさえておくことが必要です。
午後Ⅰ試験
午後Ⅰ試験の詳細は、以下のとおりです。
試験 | 午後Ⅰ試験 |
---|---|
試験時間 |
12:30~14:00(90分) |
出題形式 | 記述式 |
出題数/解答数 | 出題数:3問/解答数:2問 |
合格基準点 | 60点以上(100点満点) |
午後Ⅰ試験は、「情報システム」から出題されるのが特徴です。長文問題が出題されるため、文章や図表から正しい情報を読み取る力が求められます。
午後Ⅱ試験
午後Ⅱ試験の詳細は、以下のとおりです。
試験 | 午後Ⅱ試験 |
---|---|
試験時間 |
14:30~16:30(120分) |
出題形式 | 論述式 |
出題数/解答数 | 出題数:2問/解答数:1問 |
合格基準点 | 評価ランクはA~Dで「A」のみ合格【※】 |
【※】評価ランクについては こちら をご参照ください。
文章構成力や設問で要求された項目の充足度、論述の具体性、内容の妥当性が求められる試験です。指定文字数が多く、基本的な文章力が求められます。
また、採点方法がほかの試験と異なります。午後Ⅱ試験では、採点は評価ランクに基づいて判定されており、配点や合格点の設定はありません。
システムアーキテクト試験に合格するメリット
難易度の高いシステムアーキテクト試験ですが、合格すると以下のメリットが得られます。
・IT関連のスキルや知識をアピールできる
・転職時に有利に働く
・他資格の一部試験が免除される
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
IT関連のスキルや知識をアピールできる
システムアーキテクト試験に合格すれば、ITに関する深い知識や高い能力を持ち合わせていることを客観的に証明できます。システムアーキテクト試験は国家資格であるため、社会的な信頼度が高く、社内外から高い評価を受けられるのもメリットです。
高い評価を得られれば、大きな案件を任されたり収入アップしたりする可能性があります。
転職時に有利に働く
システムアーキテクト資格を保有するとエンジニアとしての市場価値が高まるため、転職時に有利に働くことが多いです。
また、豊富な実務経験が必要になるシステムアーキテクトを担える人材は少なく、各企業で奪い合いが生じています。ITに関する知識だけでなく、マネジメントに関する経験をアピールできれば有利な条件での転職も期待できます。
他資格の一部試験が免除される
システムアーキテクト試験に合格すると、他資格の一部試験が免除されます。中には、中小企業診断士や弁理士など難関といわれる資格試験があり、有利な条件で受験可能です。中小企業診断士を取得すれば、経営とITの両方の知識を有する専門家としてキャリアを広げられます。
また、合格者に資格手当や報奨金などの報奨金を付与する制度を設ける企業もあります。資格手当や報奨金による収入アップも期待できるでしょう。
システムアーキテクト試験合格に向けた勉強方法
難易度の高いシステムアーキテクト試験は、効率的に学習を進めることが大切です。試験合格に向けた勉強方法には、以下のようなものがあります。
・過去問を繰り返し解く
・受験指導校の対策講座で学ぶ
それぞれの勉強方法について詳しく解説していきます。
過去問を繰り返し解く
システムアーキテクトの午前試験は、過去問を繰り返し解きながら確実に解ける問題を増やしていくことが大切です。過去問を解くことで、試験の出題傾向や難易度を把握できるうえに自分の弱点も見えてきます。
弱点を克服できれば、確実に点数を取れるようになるため、合格点に達しやすいです。問題に慣れてきたら、本番を想定して実際の試験時間に合わせて解いてみましょう。
受験指導校の対策講座で学ぶ
レベルの高いシステムアーキテクト試験は、独学で学習を進めるのは難しいです。効率よく合格を目指すのであれば、受験対策ノウハウが豊富にあってしっかりした学習計画を立ててくれる「資格の学校TAC(タック)」のような受験指導校で学ぶことをおすすめします。
また、論述式である午後II試験は、確実に解答できるかどうかが合否の分かれ目になることも多いです。TACの講座では、経験豊富な講師が丁寧に指導するため、確実に論文を書き上げる能力を身につけられます。こういったところも独学で合格を目指す方との大きな差が生じてきます。合格実績のある受験指導校で学ぶことによって、システムアーキテクト試験に合格できる可能性を高められるでしょう。
難易度の高いシステムアーキテクト試験の合格を目指そう
IT資格の最高峰といわれるシステムアーキテクト試験は、難易度が高い国家資格です。とくに、論述式の午後II試験は、確実に解答できるかどうかが合否の分かれ目になることが多いです。
独学で学習を進めるのは難しい場合は、合格実績のあるTACなどの受験指導校の利用がおすすめです。
TACであれば「システムアーキテクト専用の受験対策コース」も設けられていますし、無料で受講相談を開催していますので、まずはお気軽に参加されてみてはいかがでしょうか。経験豊富な講師に教わりながら、難関であるシステムアーキテクト試験の合格を目指しましょう。
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