エンベデッドシステムスペシャリストとは?試験の合格率や難易度を解説

エンベデッドシステムスペシャリストとは?試験の合格率や難易度を解説

エンベデッドシステムスペシャリスト試験は、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)によって運営される国家試験のうちの1つです。IoT時代に欠かせない優秀なIT人材を育成するための資格であり、合格するためにはエンベデッド(組込み)システムに関する幅広い知識・技能を有していなければなりません。

難易度の高い試験として知られており、実際の合格率が気になっている方も多いでしょう。この記事では、エンベデッドシステムスペシャリストを目指す上で知っておきたい出題範囲や合格率を詳しく解説します。

エンベデッドシステムスペシャリストとは?

エンベデッドシステムスペシャリストとは?

エンベデッドシステムスペシャリストとは、「エンベデッド(組込み)システム」の専門家のことです。エンベデッドシステムは、家電や車など、あらゆる機器に組み込まれており、それぞれの機器の役割を果たすために必要不可欠なものとして機能しています。

<エンベデッドシステムの活用例>
【冷蔵庫】庫内の温度を一定に保つため、冷却装置のON/OFFを正確に制御する
【車搭載のカーナビ】現在地・車速を踏まえた最適なルートを割り出す、ルートを外れた場合は修正する

エンベデッドシステムスペシャリスト試験に合格することで、必要性の高いエンベデッドシステムに関する専門的なスキルやノウハウが一定水準以上であることの証明になります。

エンベデッドシステムスペシャリスト試験の合格率や難易度

エンベデッドシステムスペシャリスト試験の合格率や難易度

エンベデッドシステムスペシャリスト試験の合格率は、例年16%~18%前後で推移しています。

直近5回の試験における合格率
年度 受験者数 合格者数 合格率
平成31年度春期 3,653名 585名 16.0%
令和2年度10月 1,962名 321名 16.4%
令和3年度秋期 2,185名 400名 18.3%
令和4年度秋期 2,415名 476名 19.7%
令和5年度秋期 1,841名 305名 16.6%

上記の表からもわかる通り、エンベデッドシステムスペシャリストは受験者数が多くはない試験です。IT人材の中でも、エンベデッドシステムに関するある程度の知識を有する人が受験するケースが多く、その中でも一定のレベルを有している人しか合格できないため、高難度な試験といえます。

エンベデッドシステムスペシャリスト試験に合格するメリット

エンベデッドシステムスペシャリスト試験に合格するメリット

エンベデッドシステムスペシャリスト試験は難易度の高い試験のため、合格を手にするためには、それなりの労力が必要となります。とはいえ、合格するとさまざまなメリットが得られるため、キャリアアップを目指す方や専門性を高めたい方にとっては、合格を目指して損のない試験といえるでしょう。

ここでは、エンベデッドシステムスペシャリスト試験に合格する3つのメリットについて、詳しく解説します。

キャリアアップにつながる

エンベデッドシステムスペシャリスト試験は受験者数が多くなく、しかも合格率が低い試験です。そのため、合格すれば、優れた専門知識を有する希少性の高い人材として評価されるでしょう。

また、エンベデッドシステムに関する専門性の高い知識を有することを証明できるため、「好条件で転職できる」などキャリアアップにつながる可能性も高いです。

エンベデッドシステム(組込み)に関する知識が身に付く

エンベデッドシステムスペシャリスト試験に合格するためには、ソフトウェアだけでなくハードウェアについての幅広い知識を身に付ける必要があります。

それらの知識を、実際の業務でその都度習得することは難しく、多くの時間がかかります。

「試験を受ける」という目標を定め、学習を進めていけば、エンベデッドシステムに関する体系的な知識が身に付くため、エンジニアとして大きな強みとなるでしょう。

他資格の受験が一部免除になる

エンベデッドシステムスペシャリスト試験に合格すると、情報処理技術者試験の高度試験が一部免除となるというメリットもあります。

これらの試験が一部免除の対象となるのは、条件を満たしてからの2年間です。試験の受験申込みをする際に申請する必要があるため、一部免除が可能となる期間は忘れずに申請しましょう。

免除されるのは共通的知識を問う午前Ⅰ試験です。免除されれば午前Ⅱ試験から受験できるため、実際に受ける試験の対策だけに注力することができます。

エンベデッドシステムスペシャリスト試験の出題範囲

エンベデッドシステムスペシャリスト試験の出題範囲

エンベデッドシステムスペシャリスト試験は、午前と午後の4つの試験で実施されます。


試験 試験時間 出題形式 出題数/解答数 合格基準点
午前Ⅰ試験

9:30~10:20

(50分)

多肢選択式
(四肢択一)

出題数:30問

解答数:30問

60点以上

(100点満点)

午前Ⅱ試験

10:50~11:30

(40分)

多肢選択式
(四肢択一)

出題数:25問

解答数:25問

60点以上

(100点満点)

午後Ⅰ試験

12:30~14:00

(90分)

記述式

出題数:2問

解答数:1問

60点以上

(100点満点)

午後Ⅱ試験

14:30~16:30

(120分)

論述式

出題数:3問

解答数:1問

ランクA【※】


【※】午後Ⅱ(論述式)試験の評価方法について(IPA情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験試験要綱より抜粋)

・設問で要求した項目の充足度、論述の具体性、内容の妥当性、論理の一貫性、見識に基づく主張、洞察力・行動力、独創性・先見性、表現力・文章作成能力などを評価の視点として、論述の内容を評価する。また、問題冊子で示す “解答に当たっての指示”に従わない場合は、論述の内容にかかわらず、その程度によって評価を下げることがある。

・評価ランクと合否の関係は次のとおりとする。

評価ランク 内容 合否
合格水準にある 合格
合格水準まであと一歩である 不合格
内容が不十分である・問題文の趣旨から逸脱している 不合格
内容が著しく不十分である・問題文の趣旨から著しく逸脱している 不合格

午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後Ⅰ試験の基準点は、どれも100点満点中60点以上です。論述式の午後Ⅱ試験はランクA~Dの判定のうち、ランクAになった人のみが合格できます。

午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後Ⅰ、午後Ⅱ試験の4つある試験のうち、1つでも試験の基準点を下回ってしまうと不合格です。すべての試験を1日で受けるため、体力・精神力が必要となる点も難易度の高さに関係しているといえます。

それでは、出題範囲とともに、各試験の難易度についても解説していきます。

午前Ⅰ試験

午前Ⅰ試験の詳細は、以下のとおりです。

試験 午前Ⅰ試験
試験時間

9:30~10:20(50分)

出題形式 多肢選択式(四肢択一)
出題数/解答数 出題数:30問/解答数:30問
合格基準点 60点以上(100点満点)

午前Ⅰ試験では、応用情報技術者試験の午前試験と同様の範囲が出題されます。出題内容は本試験の同日に実施される応用情報技術者試験の午前試験問題からの抜粋となるため、既に応用情報技術者に合格されている方や同等レベルの方は対策として過去問題を解くのがおすすめです。

また、午前Ⅰ試験には免除制度があります。以下のいずれかの条件を満たせば、午前Ⅰ試験において2年間の免除を受けることが可能です。

・応用情報技術者試験(AP)に合格
・情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験のいずれかに合格
・情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験の午前Ⅰ試験で基準点以上の獲得

午前Ⅱ試験

午前Ⅱ試験の詳細は、以下のとおりです。

試験 午前Ⅱ試験
試験時間

10:50~11:30(40分)

出題形式 多肢選択式(四肢択一)
出題数/解答数 出題数:25問/解答数:25問
合格基準点 60点以上(100点満点)

出題される範囲は、午前Ⅱ試験もテクノロジ系・マネジメント系・ストラテジ系の3科目です。午前Ⅰ試験と同じ科目であるものの、より高度な問題が出題され、難易度は高くなります。

とくに、「コンピュータ構成要素」「システム構成要素」「ソフトウェア」「ハードウェア」「ネットワーク」「セキュリティ」「システム開発技術」「ソフトウェア開発管理技術」「ビジネスインダストリ」の出題が多いです。

午後Ⅰ試験

午後Ⅰ試験の詳細は、以下のとおりです。

試験 午後Ⅰ試験
試験時間

12:30~14:00(90分)

出題形式 記述式
出題数/解答数 出題数:2問/解答数:1問
合格基準点 60点以上(100点満点)

午後Ⅰ試験・午後Ⅱ試験は同じ範囲が出題され、最新技術をふまえた内容も出題されます。具体的な出題範囲は、以下のような内容に関することです。

・組込みシステムの設計・構築
・組込みシステムのソフトウェア設計
・組込みシステムのハードウェア設計
・保守

午後Ⅰ試験は、長文内容を的確に捉える読解力と、文章の要約力が求められます。

午後Ⅱ試験

午後Ⅱ試験の詳細は、以下のとおりです。

試験 午後Ⅱ試験
試験時間

14:30~16:30(120分)

出題形式 論述式
出題数/解答数 出題数:3問/解答数:1問
合格基準点 評価ランクはA~Dで「A」のみ合格【※】

【※】評価ランクについては こちら をご参照ください。

午後Ⅱ試験は、4つの試験の中でも特に難易度の高い試験です。指定文字数が多く、文章構成能力や設問で要求された項目の充足度、論述の具体性、内容の妥当性が求められます。

試験時間は120分ありますが、時間配分を間違えると制限時間内に解答が書き終えられない可能性があるため注意が必要です。

エンベデッドシステムスペシャリスト試験の勉強方法

エンベデッドシステムスペシャリスト試験の勉強方法

エンベデッドシステムスペシャリスト試験は、出題範囲が広くて難易度が高い試験です。そのため、合格をつかむには参考書や過去問を上手に活用しながら計画的に勉強を進めていく必要があります。

独学では効率的に勉強を進めることが難しいため、合格を目指すのであればしっかりとしたスケジュールで勉強が進められ、受験対策のノウハウが十分に蓄積された「資格の学校TAC(タック)」のような受験指導校の利用がおすすめです。

TACであれば「エンベデッドシステムスペシャリスト 本科生・本科生プラス」といった講義映像付きの専用対策コースを開講しています。出題されやすいテーマを中心に正しい学習法で学べるため、より合格の可能性が高まるでしょう。合格のポイントとなる午後試験も、経験豊富な講師による添削指導でしっかりと対策できます。

特に午後試験の学習に不安がある方や、講師による丁寧な指導を受けたい方は、ぜひチェックしてみてください。

難易度が高いエンベデッドシステムスペシャリスト取得に向け効率的な学習を

難易度が高いのエンベデッドシステムスペシャリスト取得に向け効率的な学習を

エンベデッドシステムスペシャリスト試験は専門性の高い知識を証明できる、「強み」のある試験です。合格できれば、キャリアアップにつながるなどのメリットがあります。

難易度が高い試験のため、合格を目指すためには効率的に勉強を進める必要があります。効率的かつ確かな学習法で合格を目指すなら、蓄積された受験指導ノウハウがあって毎年多くの合格者を輩出しているTACのような受験指導校を上手に活用すると良いでしょう。

合格実績のあるTACであれば「エンベデッドシステムスペシャリスト専用の受験対策コース」も設けられていますし、無料で受講相談を開催していますので、まずはお気軽に参加されてみてはいかがでしょうか。経験豊富な講師に教わりながら、難関であるエンベデッドシステムスペシャリスト試験の合格を目指しましょう。

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