システム監査技術者試験とは?難易度や合格率、勉強方法を解説
情報システムの監査に特化した試験として、「システム監査技術者試験」といった国家資格があります。情報処理技術者試験の一つであり、最高難易度のレベル4に分類される試験です。
本記事では、システム監査技術者試験とはどのような試験なのか、勉強方法とあわせて解説します。
システム監査技術者試験とは?
システム監査技術者試験とは、経済産業省が認定する国家資格「情報処理技術者試験」の試験区分の一つです。
試験では、情報システムを監査するために必要な知識が問われます。たとえば情報システムを適切に活用し、リスクに対して適切な対応で改善を提案する能力です。
システム監査技術者試験の合格によって、情報システムに関するリスクの分析から検証や評価ののちに、企業の目標達成に貢献できる仕事を目指せます。関係者への説明責任を果たす監査人や、情報システム責任者などです。
システム監査技術者試験に合格するには、スキルを磨いたりマネジメントなどの専門的な知識を習得したりする必要があります。
システム監査技術者試験の合格率や難易度
令和5年度に実施されたシステム監査技術者試験の合格率は16.4%でした。近年の合格率を見ても、容易に合格できる試験ではないことがわかります。
試験の合格率や難易度を把握しておくことで、学習へのモチベーション維持や心構えができるでしょう。試験の難易度がどの程度なのか把握しておきたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
システム監査技術者試験は「ITSSレベル4」の高難易度試験
システム監査技術者試験はITSSにおける最高難易度のレベル4に設定されています。ITSSとは「ITスキル標準」を意味する言葉であり、IT関連のサービスを提供するうえで必要な能力を明確にした指標です。
IITSSは、難易度で区分した4つのレベルに分類されています。レベルで分類することにより、合格者の能力や試験の難易度が明確になるためです。
システム監査技術者試験が分類されるレベル4は、専門領域が確立しており、スキルや経験から一定の成果をあげられるレベルを指しています。リーダー職について部下の指導ができる役職を目指せるレベルの試験です。
システム監査技術者試験の合格率は14%~16%
近年のシステム監査技術者試験の合格率は14%~16%で推移しています。
年度 | 受験者数 | 合格率 |
---|---|---|
2019年度 | 1,702名 | 15.3% |
2021年度 | 1,877名 | 16.0% |
2022年度 | 1,972名 | 15.9% |
2023年度 | 2,039名 | 16.4% |
注)2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響で中止
合格者の平均年齢は40歳を超えており、一定の実務経験を経たうえで合格できる難易度の高い試験であることがわかります。システム監査技術者試験の合格を目指すなら、実務経験で得た知識を振り返りながら、入念に対策を練る必要があるでしょう。
システム監査技術者試験に合格するメリット
システム監査技術者試験に合格することで、システム監査に関する高度なスキルと知識を保有していることを証明できます。転職活動や人事評価において、自身の市場価値を高められるでしょう。
たとえば、企業内のセキュリティ機能を高める業務やマネジメントに関わる業務などへの、転職やキャリアアップができる可能性もあります。システム監査技術者試験の合格によって昇格や昇給が認められ、年収がアップする企業も少なくありません。
また、他試験を受験する際に一部の試験が免除になる点も大きなメリットです。システム監査技術者試験の合格から、さらなるキャリアの開拓を目指せます。
システム監査技術者試験の出題範囲と難易度
システム監査技術者試験は、午前と午後の4つの試験で実施されます。
試験 | 試験時間 | 出題形式 | 出題数/解答数 | 合格基準点 |
---|---|---|---|---|
午前Ⅰ試験 |
9:30~10:20 (50分) |
多肢選択式 (四肢択一) |
出題数:30問 解答数:30問 |
60点以上 (100点満点) |
午前Ⅱ試験 |
10:50~11:30 (40分) |
多肢選択式 (四肢択一) |
出題数:25問 解答数:25問 |
60点以上 (100点満点) |
午後Ⅰ試験 |
12:30~14:00 (90分) |
記述式 |
出題数:3問 解答数:2問 |
60点以上 (100点満点) |
午後Ⅱ試験 |
14:30~16:30 (120分) |
論述式 |
出題数:2問 解答数:1問 |
ランクA【※】 |
【※】午後Ⅱ(論述式)試験の評価方法について(IPA情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験試験要綱より抜粋)
・設問で要求した項目の充足度、論述の具体性、内容の妥当性、論理の一貫性、見識に基づく主張、洞察力・行動力、独創性・先見性、表現力・文章作成能力などを評価の視点として、論述の内容を評価する。また、問題冊子で示す “解答に当たっての指示”に従わない場合は、論述の内容にかかわらず、その程度によって評価を下げることがある。
・評価ランクと合否の関係は次のとおりとする。
評価ランク | 内容 | 合否 |
---|---|---|
A | 合格水準にある | 合格 |
B | 合格水準まであと一歩である | 不合格 |
C | 内容が不十分である・問題文の趣旨から逸脱している | 不合格 |
D | 内容が著しく不十分である・問題文の趣旨から著しく逸脱している | 不合格 |
システム監査技術者試験の難易度が高い要因には、1日かけて高い集中力を維持する必要がある点も影響しているでしょう。ここからは、システム監査技術者試験の出題範囲とともに、各試験の難易度について詳しく解説していきます。
午前Ⅰ試験
午前Ⅰ試験の詳細は、以下のとおりです。
試験 | 午前Ⅰ試験 |
---|---|
試験時間 |
9:30~10:20(50分) |
出題形式 | 多肢選択式(四肢択一) |
出題数/解答数 | 出題数:30問/解答数:30問 |
合格基準点 | 60点以上(100点満点) |
午前Ⅰ試験では、応用情報技術者試験の午前試験と同様の範囲が出題されます。出題内容は本試験の同日に実施される応用情報技術者試験の午前試験問題からの抜粋となるため、既に応用情報技術者に合格されている方や同等レベルの方は対策として過去問題を解くのがおすすめです。
また、午前Ⅰ試験には免除制度があります。以下のいずれかの条件を満たせば、午前Ⅰ試験において2年間の免除を受けることが可能です。
・応用情報技術者試験(AP)に合格
・情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験のいずれかに合格
・情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験の午前Ⅰ試験で基準点以上の獲得
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午前Ⅱ試験
午前Ⅱ試験の詳細は、以下のとおりです。
試験 | 午前Ⅱ試験 |
---|---|
試験時間 |
10:50~11:30(40分) |
出題形式 | 多肢選択式(四肢択一) |
出題数/解答数 | 出題数:25問/解答数:25問 |
合格基準点 | 60点以上(100点満点) |
午前Ⅱ試験は午前Ⅰ試験に比べて専門性が高い傾向があり、難易度も上がります。午前Ⅰ試験と被る部分もありますが、午前Ⅱ試験で出題されるのはさらに応用的な内容です。
午前Ⅱ試験では知識を問われる問題が多いため、過去問題の演習や用語の理解が重要といえます。
午後Ⅰ試験
午後Ⅰ試験の詳細は、以下のとおりです。
試験 | 午後Ⅰ試験 |
---|---|
試験時間 |
12:30~14:00(90分) |
出題形式 | 記述式 |
出題数/解答数 | 出題数:3問/解答数:2問 |
合格基準点 | 60点以上(100点満点) |
午後Ⅰ試験では実例を踏まえた技能についての内容が出題されます。たとえばシステム監査のプロセスやシステム管理、法規制などです。
午後Ⅰ試験は、問題文から正確に情報を読み取る力や、自身の知識を回答に反映させる表現力や読解力が求められます。試験までに長文を読むことに慣れておき、用語の暗記や理解といった対策が必要です。
午後Ⅱ試験
午後Ⅱ試験の詳細は、以下のとおりです。
試験 | 午後Ⅱ試験 |
---|---|
試験時間 |
14:30~16:30(120分) |
出題形式 | 論述式 |
出題数/解答数 | 出題数:2問/解答数:1問 |
合格基準点 | 評価ランクはA~Dで「A」のみ合格【※】 |
【※】評価ランクについては こちら をご参照ください。
午後Ⅰ試験と同様の出題範囲ですが、試験時間が長く難易度も高いため、システム監査についてより深く理解しておく必要があるでしょう。午後Ⅱ試験は指定文字数が多く、設問ごとに要求されている項目の充足度、また論述の具体性や内容の妥当性が求められます。
システム監査技術者試験合格に向けた勉強方法
システム監査技術者試験に合格するには、効率よく勉強を進めることが大切です。幅広い出題範囲の内容を理解する必要があるため、参考書を読むだけで合格することは難しいでしょう。
そこで、午前試験と午後試験のそれぞれの勉強方法を紹介します。システム監査技術者試験に向けてどのように勉強を進めるべきかお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
午前試験の勉強方法
午前の試験は出題範囲が広く、全体の内容を体系的に理解する必要があります。参考書や過去問を繰り返し解きながら、知識を定着させていくことが重要です。
特に午前Ⅱ試験はシステム監査以外の分野も出題される傾向があります。試験問題のなかから自分の得意分野を見つけ、優先的に着手する解き方がおすすめです。
参考書や問題集をすべて学習し終えたら、時間制限を設けて過去問題に挑戦してみましょう。合格基準の60点を超えるかどうかで、自身の理解度をチェックできます。
午後試験の勉強方法
午後試験に合格するには、出題者の意図をスピーディーに理解し、自分の言葉で的確にまとめる練習が必要です。記述式と論述式の午後試験に向けて、過去問を活用しながら、限られた時間内に文章を書きあげるスキルを身につけましょう。
また、レベルの高いシステム監査技術者試験の勉強を独学で進めるのは、非効率的といえます。効率的に合格を目指すなら、しっかりとしたスケジュールで勉強が進められ、受験対策のノウハウが十分に蓄積された「資格の学校TAC(タック)」のような受験指導校の利用がおすすめです。
TACであれば「システム監査技術者|本科生・本科生プラス」といった講義映像付きの専用対策コースを開講しています。経験豊富な講師が「解答用紙の使い方」から丁寧に教えてくれますし、午後Ⅱ試験に向けた論文の添削といった指導も受けられるため、独学で学習を進める場合と比べると大きな差が生じてきます。
午後試験の学習に不安がある方や、講師による丁寧な指導を受けたい方は、ぜひチェックしてみてください。
難易度の高いシステム監査技術者試験は確かな学習法で合格を目指そう
システム監査技術者試験に合格することで、キャリアアップや年収アップが期待できます。近年の合格率は14%~16%で推移しており、難易度が高い試験です。
システム監査技術者試験は出題範囲が幅広いため、参考書や過去問を何度も解き、知識を定着させる勉強法がよいでしょう。
効率的かつ確かな学習法で合格を目指すなら、蓄積された受験指導ノウハウがあって毎年多くの合格者を輩出しているTACのような受験指導校を利用するのも手段の一つです。
合格実績のあるTACであれば「システム監査技術者専用の受験対策コース」も設けられていますし、無料で受講相談を開催していますので、まずはお気軽に参加されてみてはいかがでしょうか。経験豊富な講師に教わりながら、難関であるシステム監査技術者試験の合格を目指しましょう。
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