近年簿記2級の難易度が上がった？試験の概要とおすすめの勉強方法

簿記2級はビジネスに役立つものの、難易度が高い資格です。近年はさらに難易度が上がっているといわれています。

この記事では、簿記2級に関する内容を解説します。どのような検定なのか、3種類ある簿記検定の比較、検定の難易度、おすすめの勉強方法までチェックしていきましょう。

簿記検定とは、企業が作成する財務諸表の仕組みや作成の仕方などの知識と、関連する能力を証明できる試験です。単に簿記検定という場合が多いものの、実は日商簿記・全経簿記・全商簿記の3種類があり、それぞれの検定の種類によって難易度が異なります。一般的には、単に簿記検定とだけいう場合は日商簿記を指すことが多いです。

それでは、簿記検定とはどのようなものなのか、さらに詳しくチェックしていきましょう

簿記検定とは経理スキルを判定する試験？

先の通り、財務諸表に関する知識を習得する、となると企業の経理や財務部門などで仕事をする方には打ってつけの資格といえます。ただそれだけではなく、ビジネスシーンで使うお金の流れの知識を持っているかを判定する試験ともいえます。

あらゆる職種のビジネスパーソンにとって、企業の経営、官庁などの行政活動において、お金の流れを知ることは不可欠です。そのため、進学や就職や転職などの際に役に立つ資格だとして人気があります。

簿記の資格を持っていると、例えば営業職の社員であってもプラスになります。取引先の企業に対して経営状況の把握ができるようになったり、コスト管理や収益率をしっかりと考えられるようになったりと、より活躍しやすくなるでしょう。

日商簿記・全経簿記・全商簿記の3種類の比較

先述のとおり、簿記検定には日商簿記・全経簿記・全商簿記の3種類があります。日商簿記の主催団体は日本商工会議所です。3種類のなかでもとくに社会的な評価が高いといわれており、社会人など多くの人々が受験しています。

全経簿記の主催団体は全国経理教育協会で、経理専門学校の生徒による受験が多い試験です。全商簿記は全国商業高等学校協会主催で、受験する人のほとんどは商業高校の生徒が占めています。

同じ「簿記2級」でもそれぞれ難易度が違う

3種類ある簿記検定は、それぞれ難易度の違いがあることにも注意が必要です。同じ簿記2級とはいっても、ほかの2つの簿記検定と比べると日商簿記の難易度がとくに高いです。難易度のレベルを揃えた場合、全経簿記2級や全商簿記2級と日商簿記3級、全経簿記1級や全商簿記1級が日商簿記2級とそれぞれ同レベルだといわれています。

単に簿記検定という場合は日商簿記を指す

このように簿記知識を評価する検定の種類は3種類あり、それぞれに違った特徴があります。しかし、一般的には単に簿記検定というときは日商簿記を指すことが多いです。実際に、市販されているテキストや通信講座などは、そのほとんどが日商簿記の対策をしているものが用意されています。

日商簿記1級と全経簿記上級の出題範囲はほぼ同様です。合格の可能性をあげようと、両試験を受ける方も多くいます。日商簿記1級と全経簿記上級は税理士試験を受験する資格が与えられるため、税理士試験を受験したい人が両試験を受験するケースも多いようです。

ここからは一般への認知度が高い日商簿記についてチェックしていきます。簿記2級の直近10回の合格率は約20％ほどであり、難易度が高い試験です。簿記2級は商業簿記のほかにも工業簿記の科目があり、60点分が商業簿記、40点分が工業簿記の配点で、合格するためには100点満点中70点以上をとる必要があります。

それでは、簿記2級の合格率や学習期間の目安、近年の状況、ネット試験をそれぞれチェックしていきましょう。

簿記2級の直近10回の合格率は約20％

簿記検定は毎年2月・6月・11月の3回あります。直近10回のデータに基づく簿記2級の合格率は約20％です。合格率は受験した回によって大きく異なっており、直近10回の簿記2級で最低合格率となった回は8.6%、合格率が最も高かった回は29.6%でした。

合格率に大きな差が出る要因は、上位何割という割合での合格の判定はなく100点満点中70点以上が合格判定になるためです。皆が7割をとれず合格率が20％以下になった難易度高めの回もあるため、一回で諦めずに再度挑戦してみてもいいでしょう。

簿記2級の学習期間の目安

簿記の知識がない人が独学で簿記2級の学習をする期間の目安は、350～500時間ほどといわれています。学習をし始める時点で簿記3級程度の知識がある場合には、250～350時間ほどの学習時間です。独学ではなく専門の講座を受講して学ぶ場合は150～250時間ほどが目安になっており、独学に比べると学習時間を凝縮して効率的に理解できることがわかります。

近年簿記2級の難易度が上がった理由

近年、簿記2級の難易度が上がったといわれています。難易度が変化した理由は、2016年度の試験から3年かけて出題範囲が大幅に改定されたからです。

現在のビジネスシーンで使用することを想定したブラッシュアップがおこなわれ、2級の学習の意義が高まったといわれています。改定によって増えた出題範囲は、外貨建取引やリース取引、その他有価証券の処理、税効果会計、連結会計、連結会計アップストリーム、本支店会計などで、もともと1級の範囲だった問題が含まれるようになりました。反対に、為替手形や社債、保証債務などは削除されました。

ネット試験（CBT方式）の難易度は同じ？

日商簿記では、2020年12月からネット試験（CBT方式）が受験できるようになりました。統一試験の前後日程以外であればほとんどの日にちで受験でき、さらにチャレンジしやすくなりました。

ネット試験は当初、統一試験の受験経験者が多く受験する傾向もあってか、比較的、合格率は高めとなっています。しかし今後は統一試験もネット試験も試験時間が90分で同じになるなど、受験生の状況が均一化されるため、ネットでも統一でもどちらも対策を怠らないようにしましょう。 。

簿記2級の勉強方法・コツは、以下のとおりです。

・工業簿記を苦手にしないこと
・具体的にイメージしながら理解を深めること
・独学も可能だが講座の受講がおすすめであること

なお、工業簿記とは製造業の原価管理に関する知識であり、製造業をしていない人だとイメージがわかず難解だと思われやすい問題です。それぞれの勉強のコツを詳しくチェックしていきましょう。

工業簿記を苦手にしない

工業簿記は簿記2級から出題される問題です。財務諸表において商業簿記での表記の仕方と異なるポイントもあり、簿記2級の難易度をあげている問題だともいわれています。

しかし、工業簿記は安定して出題される問題のため、問題集などをこなして実力を養成する必要があるでしょう。工業簿記のなかでも差異の分析をする標準原価計算や総合原価計算、CVP分析を含めた直接原価計算に関する問題が出題されやすいといわれているため、重点的に覚えましょう。

具体的にイメージしながら理解を深める

簿記2級の受験に向けて問題を解いたり勉強したりする際には、具体的にイメージしながら理解を深めることが重要です。単純にその時々に解いている問題が正解できようになるだけでは、ほかの問題に応用が利きません。実際の仕事の場合にどうなるかなど、具体的にイメージしていくことで、より深い知識が必要な問題も解けるようになっていきます。

独学も可能だが講座の受講がおすすめ

先述のとおり、独学でも長い時間をかければ簿記2級に相当する知識を得ることは可能です。参考書と問題集をもとにたくさん勉強すれば、独学でも簿記2級に受かる可能性があります。

しかし、講座の受講をしたほうが効率的に学習できるためおすすめです。独学でやっているとモチベーションが続かず、頑張って勉強したものの挫折してしまうケースが多くなります。講座を受講すれば勉強のコツだけではなく試験範囲で改定された点なども教えてもらえるので、見当違いの場所に費やす学習時間をなくせます。

簿記2級はもともと合格率が低い試験でしたが、近年出題される範囲が拡大して難易度がさらに高くなったといわれています。ネット試験が始まったことで受験できる日にちが増えて受けやすくなり、もしも不合格になってしまった場合にも再チャレンジがしやすくなりました。

簿記検定は難しいイメージのある試験ですが、しっかりと勉強を進めていけば独学でも合格の可能性はあります。しかし、講座を受講して試験に臨む人のほうが短い学習時間で効率的に効果を上げられるでしょう。

試験範囲で改定された点を理解したうえで、どのような点を重点的に学習したらいいか教えてもらえます。つまずいた時のサポートも充実しており、わからない部分を一人で悩み続けることがありません。「せっかく頑張って勉強したのに挫折してしまった」ということのないよう、これから簿記2級合格を目指す人はサポートを受けながらの学習をおすすめします。