日商簿記1級を取るメリット、価値とは?
日商簿記1級は誰でも簡単に手にできる資格ではないからこそ、大きなメリットがある
日商簿記1級合格者は極めて高度な会計知識を有し、経営管理や分析を行う能力を持ち合わせた会計に関するスペシャリストだと言われています。誰でも簡単に手にできる資格ではないからこそ、取得することで得られる能力や評価、活用できる場面が多数あります。それでは、具体的なメリットを見ていきましょう。
簿記の最高峰、日商簿記1級の価値
合格率10%前後の難関試験のため、希少性が高い
日商簿記1級は、3級、2級と比べると学習範囲がとても広いうえに、難易度が高く、いわゆる難関資格といえます。その合格率は毎回約10%、合格者数にして1,000名程度に留まります。3級、2級の学習を進めてきた方が受験した中での約10%ですから、稀少性が高く、極めて価値の高い資格であることが分かります。取得していること自体が高度な知識を有していることの証明になり、専門の知識と技術を手に入れたという事実が自分の大きな自信になるでしょう。
高度な知識を要求される難易度の高い試験。取得すれば名実ともに「会計のスペシャリスト」に
日商簿記3級、2級でも簿記の様々な手続きを学習しますが、1級ではその理論的な裏付をも学習します。簿記2級までは簿記のルールを理解し、あてはめていくというパズル思考が重要でした。1級では、なぜそのルールが当てはまるのか、その背景を理解すること=「本質を知ること」が大事になります。
学問的な要素も持ち合わせているので、丸暗記やパターン学習は通用しません。1級の内容を理解することで、ビジネス・シーンにおいて直面した問題を解決するための「応用力」や「実践力」を身につけることができます。これが、1級合格者が「会計のスペシャリスト」と言われるゆえんです。
就職・転職・独立にとても有利!
日商簿記1級は極めて高度な会計知識を有し、経営管理や分析を行う能力を持ち合わせた会計に関するスペシャリストとして扱われるため、就職や転職に非常に有利です。
大規模企業の経理実務が理解できることは言うまでもありませんが、独立起業した時にも自分で経理処理や数字に基づいた経営判断が可能になり、経営上の不安がありません。また、就職活動中の大学生にとって「日商簿記1級取得」と書かれたエントリーシートは相当なアピール力を発揮することでしょう。
難易度の高い試験であるため取得には努力が不可欠ですが、その分、合格した際には合格できた達成感が自信に繋がりますし、職場や転職先に対しても「努力ができる人材」であることをアピールできます。
大学受験・推薦にも役立ちます!
大学センター試験では、数学の教科の中に「簿記・会計」という科目も存在し、受験科目として選択することができます。さらに、推薦入試の際に、2級より上の資格は非常に高い評価を得られます。
さらなる資格取得に役立つ!
日商簿記1級を取得することが、会計系上位資格(税理士、公認会計士)への登竜門となります。税理士試験には学識、資格、職歴といった受験資格が定められていますが、日商簿記1級を取得していれば受験ができるようになります。
また、会計系資格のみならず、他分野の資格学習にも役立ちます。例えば中小企業診断士試験では、「財務・会計」という科目で日商簿記1級で学習する分野の問題が多々出題されますので、高得点を狙えます。
このように、日商簿記1級を取得することが、その後のさらなる資格取得にも有利に働きます。
TACで簿記1級に見事合格!合格体験記
高3で簿記1級に見事合格!
高校3年生で簿記1級に見事合格した篠原利玖さんの、貴重な合格体験記です。高校1年時の進路セミナーで聞いた公認会計士の影響で会計に興味を持ち、3→2級と学習を進めていく中で簿記の楽しさや奥深さを知り、簿記を極めるため1級に挑戦しました。
篠原利玖さん/受講コース:1級合格本科生
体験記を詳しく見る
仕事に応用できる知識が多い!
日商簿記1級で学習する論点は実務に直結したものばかりです。簿記1級の商業簿記・会計学では、2級の学習内容をさらに発展させて「キャッシュフロー計算書」「連結会計」といった大企業の会計処理を学習します。工業簿記・原価計算では、2級の工業簿記をベースにより深く厳密な原価計算や管理会計を学習するので、経営管理や経営分析に役立ちます。経理職であれば、1級を取得することで資格手当などを得られたり、社内の上位職への昇進に繋がることもあります。
経理職に留まらず、営業職や製造職などの分野でも、原価計算を学習するとコスト感覚が身に付くため、より数字を意識して業務を行うことができるでしょう。また、自社の数字だけでなく、競合他社や取引先の資料を深く読み解くことができますので、経営状況や今後の動向を深く分析することも容易になります。
事業主や経営側だけでなく、一般(特に役職のない)ビジネスパーソンにも役立つ場面が多々あります。社内で何かの企画を提案する場合に、予算のシミュレーションや損益分岐点の見通しなどができれば、より具体的な提案ができるスキルを持っていると見なされます。
どう仕事で役にたつのか?「工業簿記」を例に人気の論点を解説します!
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この記事を書いた人
佐藤 浩之 講師 (TAC簿記検定講座専任講師)
簿記1級は、日商簿記検定最高峰の難関資格といえます。合格に必要な努力は2級のそれをはるかに凌駕しますが、当然、合格することで得られる知識は、十分なものと言えるでしょう。
「財務会計」の領域を幅広くマスターするだけではなく、2級ではまださほど馴染みの薄い「管理会計」の領域についてもしっかり習得することができます。簿記1級を取得することで、会計のプロフェッショナルの道を歩みましょう!