行政書士試験の難易度は?
難易度ライン突破のためにやるべきこと
国家資格である行政書士試験の資格にチャレンジしたい人のために、この記事では資格の難易度について多角的に解説しています。合格率とその年度別の推移、そして他の国家資格の難易度と比較して行政書士試験はどれくらいの位置にあるのか。
本記事では、これらの疑問点に応えていますので受験を検討中の方はご参考ください。
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行政書士試験はどれくらい難しいのか
国家試験の難易度を測るのは、受験者が試験合格後にどの程度のレベルの仕事を目指すのかによってだいぶ異なってきます。行政書士としてできる仕事は、都道府県庁などの官公庁や市役所、町村役場などの地方自治体の行政機関に提出する書類を作成し、提出手続を代理する業務が主体です。
また、公的手続きに関しての相談などのコンサルティング業務で報酬を得ることが可能です。ここでは、行政書士試験の合格率と合格基準について解説しましょう。
行政書士試験の合格率は?
行政書士試験の合格率は、この10年、平均値が約10%前後で推移しています。
最新のデータでは2021年の実績が、受験者数47,870名に対し合格者が5,353名で約11.18%となっています。すなわち、10名のうち1名以上は合格できる試験というわけです。
国家試験で10人に1人の合格者数であることから、決して簡単な試験ではありませんが、しっかり勉強すれば合格は決して夢ではなく、むしろチャレンジしがいがある国家試験といえるでしょう。
参照:一般財団法人行政書士試験研究センター 「最近10年間における行政書士試験結果の推移」
行政書士試験の合格基準は?
行政書士試験をパスするための「合格基準」は、以下の3項目をすべてクリアする必要があります。
1.試験全体の得点が満点の6割に相当する180点以上をとること。
2.「行政書士の業務に関し必要な法令等」科目の得点が満点の半分に相当する122点以上をとること。
3.「行政書士の業務に関連する一般知識等」科目の得点が、満点の4割に相当する24点以上をとること。
上記の「1」のように、試験合格のためには「満点の6割以上の得点」がまず必要です。 しかしながら、単に全体の6割以上得点していればOKというわけではなく「2」「3」の二科目を一定以上の得点がなければ全体得点が6割以上得点していても不合格となるのです。
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行政書士試験と他の国家資格試験との比較
特定の国家資格の難易度を測る際には、資格の種類や受験者の傾向がよく似た別の国家資格との相違点を比較してみることが賢明です。このふたつの資格は、いずれも行政書士試験の合格者が受験するケースが多いともいわれています。
行政書士試験と共にこれらの国家資格をダブル(あるいはトリプルで)取得することで、仕事の幅が広がる利点もあります。ここでは、行政書士との相似性を指摘されているふたつの国家資格である「宅地建物取引士」と「社会保険労務士」との違いと比較について解説していますので、ぜひ参考にしてください。
宅地建物取引士試験との違い
宅建士(宅地建物取引士)試験は他の国家資格と同様に年1回の試験ですが、2021年は新型コロナ感染症の影響で、10月と12月の2回実施されました。2回の試験を合計した数値は、受験者が234,714名で、合格者が41,471名。合格者は約17.7%となっています。
受験者が20万人を超えていることで分かるように、行政書士試験の4万人台や次項で紹介する社労士の3万人台と比較して桁違いに受験者が多く、国家資格の中でもトップクラスの人気資格といってよいでしょう。これは、宅建資格が不動産業を営む業者に対し「ひとつの事務所において従業員数の5分の1以上の有資格者を置くこと」という法律があることが影響しています。
すなわち、土地建物の取引を業務とする企業は、従業員の5名に1名は宅建士有資格者でなければならないので、有資格者はそれだけ企業からのニーズが高いのです。言い換えると、宅建士試験をパスすれば不動産業界への就職に有利といえるわけです。
行政書士試験と宅建士とでは、受験者の属性と数が異なるので一概に比較はできませんが、合格率は宅建の方が数%高いことから、行政書士試験よりも宅建士の方が合格しやすいといえるかもしれません。また、行政書士試験の合格者ですぐに独立開業を考えていない人にとって、就職に有利な宅建士資格を所得しておくことも賢明な判断だといえるでしょう。
社会保険労務士試験との比較
国家資格の「社会保険労務士(社労士)」は、企業の社会保険など労務管理全般の業務を担当したり、労務担当者にアドバイスしたりする労務のエキスパートである国家資格といえます。
また、社労士は、企業に属して仕事する「勤務社労士」と独立開業し法人を「顧客」として仕事する「開業社労士」の二種類の働き方ができる有望な国家資格です。
社労士試験は「労働関係科目」と「社会保険関係科目」から全10科目が出題され、選択式40点と択一式70点の合計110点満点で採点されます。
2021年の試験結果は、受験者37,306名中、合格者は2,937名で、合格率は約7.9%となっています。近年の合格率は4%~6%台で推移しているので、2021年はやや高めの数値でした。
受験者の属性が似ている行政書士試験の合格率が10%前後であることを考慮すると、国家資格としての難易度は、行政書士試験よりも社労士の方が少し高いといえるでしょう。
行政書士が独立開業者向けの国家資格であるのに対し、社労士は「勤務社労士」として会社の社員として勤務できる利点があります。また、行政書士試験の合格者には社労士試験の受験資格が与えられますので、行政書士試験の合格後に社労士試験にチャレンジする人も多いです。
行政書士試験に合格する勉強法
行政書士試験に合格するには、より効率的かつ効果的な学習方法で、一定期間を集中的に勉強することが重要です。そのためには、独学よりも学習・指導法がすでに確立された「予備校」での勉強法を選ぶのがよいでしょう。
行政書士試験合格までには、1年前後の学習期間が必要といわれています。一般的な学習方法としてよく利用されているのが、予備校での「通信講座」と「通学講座」の2つです。
ここでは予備校における「通信」と「通学」について紹介しましょう。
予備校(通信)で合格する方法
現在の予備校での「通信講座」は、Web講義をPCやスマホを活用して自宅以外でもどこでも勉強できる利便性が特徴です。仕事をしながら空き時間を活用できるので、多忙な社会人向きの学習法といえるでしょう。
予備校(通学)で合格する方法
予備校に通う通学講座での学習は、自宅から通える場所にある予備校から選びます。
選択ポイントは過去の実績を調べることが第一です。毎年、一定以上の合格者を輩出している予備校が理想です。
通学講座には、一からじっくり学ぶ人向けの長期間コースと、基礎知識がある人が受講する短期間集中コースがあり、ニーズに適したコースを選択するのがよいでしょう。予備校の資料を取り寄せ、できれば見学や無料体験などを利用して自身に最適な予備校を選ぶとよいでしょう。
難易度に惑わされず効果的な学習を
本記事で述べたように、公的手続きに関する法務のエキスパート職として活躍できる資格です。また、行政書士は国家資格としての難易度は司法書士より易しく、受験者の属性が似ている部分がある「宅建士よりも難易度は少し高く、社労士よりは合格しやすい」人気の国家資格といってよいでしょう。
もちろん、国家資格有資格者としての社会的ステータスは高く、法人・個人を問わず行政と民間人・民間企業をつなぐ立場として、仕事の需要も多い有望な国家資格だといえます。試験の難易度をみると近年は約10%程度で推移していることから「10人に1人は合格できる国家資格」、それが行政書士です。
例年の試験結果傾向を見て、数字だけの難易度に惑わされずに、時間を有効に使った効率的な学習に集中することで、合格の道は拓けてくることに間違いはありません。自分の適した学習環境と勉強法を選択し、合格を目指して果敢にチャレンジしてみましょう。
まとめ
行政書士は、国家資格としての難易度は司法書士より易しく、受験者の属性が似ている部分がある「宅建士よりも難易度は少し高く、社労士よりは合格しやすい」といわれている人気の国家資格の一つです。
行政書士試験に合格するためには、暗記も重要ですが、知識に関する基本的な理解や問題を解く力も非常に重要となっています。合格のキーワードは、学習の量ではなく学習の質にあります。必要な知識を選別し、確実に押さえ、その精度を高めていくことが大切です。
TACの行政書士講座では、「覚えて合格(うか)る」ではなく「理解(わか)って合格(うか)る」を目指しています。
一人で勉強をすることに不安がある方、効率的に最短で合格を目指したい人は講師が丁寧に指導しますので、安心して学習ができます。
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