司法書士とは?仕事内容や魅力、試験情報について解説!
司法書士とは、登記業務や供託業務を独占業務とする法律系の国家資格です。幅広い業務を請け負い「市民の身近な法律家」として社会に貢献できる仕事です。この記事では、司法書士の仕事内容や魅力、司法書士になる方法、試験情報などを解説します。
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司法書士とは
司法書士とは、登記業務や供託業務を独占業務とする国家資格の1つです。法務局、裁判所、検察庁などに提出する書類を作成します。
近年は、高齢化社会の産物とも言える成年後見制度、相続、信託などの分野にも大きく関わり、「市民の身近な法律家」として社会に貢献できる仕事です。
日本司法書士連合会によると、2023年4月1日現在で23,059人の方が司法書士として登録されています。
司法書士の仕事内容
司法書士といえば、不動産登記や商業登記などの登記業務をイメージされる方が多いと思います。しかし、司法書士は登記業務にとどまらず幅広い業務を担っています。今回は、以下の7つの仕事内容について解説します。
・不動産登記
・商業登記/会社設立
・相続関連業務
・簡裁訴訟代理等関係業務
・成年後見業務
・供託業務
・企業法務コンサルティング
不動産登記
不動産に関する権利は当事者間で契約を結ぶだけでは完全でなく、取得した権利を登記することにより、世の中の誰に対しても権利を主張することができます。大切な財産である土地や建物の売買、相続など様々な権利変動について、司法書士は登記の専門家として手続きを代理しています。
令和6年から相続登記の申請が義務化されることになり、社会的に司法書士のニーズが高まることが期待されています。
商業登記/会社設立
世の中に無数に存在している会社は、その設立の登記をすることによって初めて会社と認められ、活動することが可能になります。また、商取引の安全を図るため、その名前(商号)や住所(本店)、役員など一定事項の登記が必要であり、またこれらの事項に変更が生じた時も登記が必要です。このような商業登記の手続きを代理することも司法書士の業務です。
相続関連業務
生前対策としての遺言書の作成や家族信託の手続き、相続発生後の遺産管理業務など、司法書士は相続に関する相談・手続きに幅広く対応できます。
日本では相続トラブルの件数が増加傾向にあります。また、令和6年からは不動産の相続登記の申請が義務化されることになり、司法書士による相続サポートのニーズがますます高まることが期待されます。
簡裁訴訟代理等関係業務
2002年の司法書士法の改正により、簡易裁判所(訴訟額140万円以下)の法廷において、弁護士と同様に弁論を行ったり、証人尋問や和解、仮差押、仮処分や裁判外での和解交渉などができるようになっています。これらの業務は司法書士試験合格後、日本司法書士会連合会が実施する特別研修を修了し、法務大臣が実施する「簡裁訴訟代理等能力認定考査」で認定を受けた司法書士(認定司法書士)が行うことができます。
成年後見業務
成年後見制度は判断能力が不十分な未成年者、認知症の方や知的障がい者、精神障がい者の意思を補完するため、本人のために法律行為の代理や同意を行い、判断能力が不十分 になっても安心して生活が送れるよう支援する制度です。
司法書士は自ら成年後見人等となったり、あるいは成年後見人等の監督を行います。司法書士の成年後見に対する活動は活発であり、親族等を除けば司法書士が一番多く受任しています。今後、さらに高齢化が進むにつれ、司法書士の役割が期待される分野です。
供託業務
家主さんが家賃の値上げを要求して、従来の家賃を受け取ってくれないような時、借主は家賃を法務局などに供託することによって、とりあえずは債務を免れることができます。このような供託に関する手続きを代理することも司法書士の業務とされています。
企業法務コンサルティング
最近は商業登記手続きの代理にとどまらず、会社設立や会社の事業承継・相続や組織再編など、企業法務を包括的に行い、この分野でトータルなリーガルサポートを行う司法書士が増えてきています。
この企業法務コンサルティングの分野では、弁護士、税理士、行政書士、社会保険労務士など各分野の専門家と提携しながら、総合的な企業コンサルティング、アドバイスを行っていきます。
司法書士の魅力
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時代に左右されない就業に強い資格
司法書士は「登記業務」という大きな柱があります。さらに、時代の要請に合わせた新しい可能性も広がっており、職業として強い資格であると言えます。合格者の方に実施したアンケート調査でも試験後約80%の方が就業され、その内90%以上が司法書士としての就業をされており、その強さを実証しています。
司法書士試験は実務に直結する試験内容であり、合格後も手厚い研修が実施されるため、実務との距離が近く、合格後比較的早い段階での独立も視野に入れやすいことも大きな強みです。つまり、司法書士とは「職業としての安定性」「独立開業のチャンス」「社会貢献に繋がる新しい可能性」を兼ね備えた強い資格であると言えます。
司法書士は定年がなく生涯現役
「人生100年時代」を迎える一方で少子高齢化の進む日本において、高齢者の活躍は社会的なニーズであり、高齢者自身にとっても、働き続けることは人生をより豊かにする選択肢の一つといえます。
司法書士は、会社員や公務員のように定年がありません。図のように、60歳以上の方も活躍されています。年を重ねることによる人生経験や実績、人脈がものを言う仕事ですので、生涯現役として働き続けることができます。
合格までの努力に見合うリターンが見込める職業
司法書士白書2021年版によると、司法書士事務所の年間売上(収入)金額の平均は1,683.5万円であり、また事務所の7割は本人1人のみが司法書士として活動しています。司法書士の仕事の性質上、原価はあまりかからないため、補助者の給料や広告費、接待費などの経費をかけても、売上の多くを残すことができると考えられます。
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司法書士になるには
司法書士になるには「司法書士試験に合格する」か「法務大臣の認定を受ける」の2つの方法がありますが、「司法書士試験に合格する」のが一般的です。
司法書士試験は、年齢・性別・学歴・国籍等に関係なく誰でも受験することができます。そのため、合格者の年齢層も幅広く、若くして司法書士を目指す人やセカンドキャリアとして司法書士を選ぶ人など様々です。
司法書士試験について
試験概要
司法書士試験は、筆記試験と口述試験に分かれています。筆記試験は例年7月の第一日曜日に実施されます。口述試験は例年10月中下旬頃に実施され、筆記試験合格者のみ受験できます。筆記試験と口述試験の両方に合格し、研修を経て司法書士資格を取得することができます。
合格率・難易度
令和6年度の司法書士試験の合格率は、受験者数13,960人に対し合格者が737人で、5.3%でした。過去5年間の合格率は次のとおりで、毎年5%ほどを推移しています。
試験年度 | 受験者数(人) | 最終合格者数(人) | 合格率(%) |
---|---|---|---|
令和6年度(2024年度) | 13,960 | 737 | 5.3% |
令和5年度(2023年度) | 13,372 | 695 | 5.2% |
令和4年度(2022年度) | 12,727 | 660 | 5.2% |
令和3年度(2021年度) | 11,925 | 613 | 5.1% |
令和2年度(2020年度) | 11,494 | 595 | 5.2% |
受験者数は午前の部及び午後の部の双方を受験した者の数
同じ国家資格である行政書士の合格率は毎年10%程度、宅建士は毎年15%程度であることを踏まえると、司法書士試験の難易度は高いといえます。
関連ページ:司法書士試験の合格率は?難易度が高い理由や勉強のポイントを解説
関連ページ:司法書士と宅建士の違いは?ダブルライセンスの魅力を解説!
関連ページ:司法書士と行政書士の違いは?ダブルライセンスの魅力を解説!
試験科目
司法書士筆記試験で出題される試験科目は全部で11科目です。司法書士受験界では、出題数の多い科目「民法、不動産登記法、商法(会社法)、商業登記法」を「主要4科目」、出題数の少ない残りの科目「民事訴訟法、民事保全法、民事執行法、司法書士法、供託法、憲法、刑法」を「マイナー科目」と呼んでいます。
主要4科目は多肢択一式における全出題数の75.7%以上を占めています。出題数の多い主要4科目を攻略することは、合格へのポイントの1つです。
試験対策
司法書士試験に合格するには約3,000時間もの勉強が必要といわれています。司法書士試験は範囲が広く、ひと通り勉強するだけでも相当な勉強時間が必要だからです。独学で合格を目指される場合は、この3,000時間をクリアできる自信が必須であり、効率的に合格を目指そうとする場合には、独学はあまりおすすめできないでしょう。
関連ページ:司法書士試験に合格するまでの勉強時間は約3,000時間!勉強のポイントまで詳しく解説
関連ページ:司法書士試験は独学でも合格できる?メリット・デメリットと4つのポイント
まとめ
- 司法書士とは「登記業務や供託業務を独占業務とする法律系の国家資格」
- 司法書士は「市民の身近な法律家」として社会に貢献できる仕事
- 司法書士になるには「司法書士試験に合格する」のが一般的
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