税理士ブログ 【財務諸表論】解き直しの極意
深町 利美 講師
TAC税理士講座 財務諸表論担当
こんにちは!
学習は順調に進んでいますか?
よく「テストを見直せ」といわれますが、毎日、ひたすら解き直しを繰り返したりしていませんか? 今回は『財務諸表論~解き直しの極意(テストを踏まえてやってほしいこと)~』と題し、どのように見直したら良いのかを皆さんに紹介しますね。
効率的な復習のタイミング
ヘルマン・エビングハウス(心理学者)の『忘却曲線』をご存知でしょうか? これは、記憶の忘却の推移を端的に表した曲線です。これによると、覚えた20分後には42%を忘れ、1時間後には56%を、1日後には74%を、1週間後には77%を、1ヵ月後には79%を忘れるとされています。正に「人間は忘れる生き物」ですね。そうであるならばこれを意識し、「忘れる頃に解き直す」ことが効果的な学習方法といえるのではないでしょうか?毎日ひたすら解き直しを繰り返す。ズバリ時間のムダです。まず、間違えた問題を中心に直後に解き直し、その後は1日後、7日後、14日後、1ヵ月後といったサイクルで解き直しをしていきましょう。
間違えた原因分析とその対策~間違いノートの活用~
また、間違えた問題の解き直しにおいては、間違えた原因を分析する必要があります。自分がどのように思考してどのように間違えたのか、そこはどのように思考すべきだったのかを確認する必要があります。人間とは不思議なもので、同じ思考を繰り返します。誤った思考を修正しておかないと、次に同様の問題を解く際に同様の思考をとり、同様の間違いをすることになるのです。
なお、それでも同様の間違いを繰り返すようであれば、本試験でも同様のミスを繰り返してしまう可能性が高いため、何らかの対策が必要です。そこで『間違いノート』の作成をお奨めします。この『間違いノート』は、間違えた問題の問題集ではなく、自分の間違いのパターン集です。間違えた問題を貼り付け、どのような思考をとってどのような間違いをしたのか、どのような思考が正しかったのか、その他転記ミス・集計ミス・漢字ミス・電卓等のケアレス・ミスについても、どのようにしたらミスを無くすことができるのか、その方策をメモし、問題を解く前にこれを確認します。事前に確認することで、自分の間違いのパターンを意識して問題を解くことができますから、ミスを減らすことができます。
理論暗記の精度を高めるには
さらに、財務諸表論には理論があります。理論の見直しも上述の『忘却曲線』を意識した見直しで良いのか?と思われると思いますが、暗記した内容の確認や覚え直しについては同じように行って良いと思います。
テストの見直しにおいて重要なのは、題意(何が問われているのか)を正確に把握できたかどうかです。題意を正確に把握できたならば、次にその解答を正しく書けたか、すなわち暗記の精度が問題になります。暗記が十分に行えていなかった場合には、再度覚え直すことになりますが、短期間で集中して繰り返し覚えることが重要です。講義で学習した内容は次の講義までの間に必ず暗記しましょう。テキストを読み込み、理解した上での暗記が理想ですが、まず暗記を優先します。暗記方法は人それぞれかと思いますが、脳を活性化させた暗記、五感を使った暗記が望ましいですね。まず、手を動かして書いて覚える。脳を最も活性化させる体の部位は手です。
次に視覚や聴覚を使って、暗唱しながら覚える。その際には部屋を歩きながら覚えると効果的です。さらには、パソコンのソフトに文章(テキスト・データ)を読み上げるソフトがあります。これを利用して理論テキストの読み上げ音声を録音し、これを車の運転中や電車の中、あるいはウォーキング中等、外出中に聴きながら暗記する、確認するといった方法もあります。なお、暗記は仕事等で疲れて集中力に欠ける夜よりも朝または午前中がお薦めですし、食後より空腹時が効果的です。
理論の学習内容について理解を高めるには
一方、題意が正確に把握できなかった場合は、理解が不足しているということですから、理解を深めるために理論テキストを繰り返し読み込むことが必要です。毎日少しずつでも理論テキストを読みましょう。理論の学習において最も重要なのは、どれだけ理論テキストを開いたか、どれだけの頻度で理論に触れたかです。そう、理論に慣れることが最も重要なのです。理論テキストを読み進めていく上で、数多くの会計用語が登場します。これらの用語を覚え、その意味を覚えていくことが大切です。英語の学習で単語を覚えるのと同じですね。言葉(会計用語)を覚えず言葉の意味も分からなければ、題意を正確に把握することも、その言葉を使って解答を書き上げることも到底できるはずがありません。まず言葉を覚えることが理論学習の第一歩といえます。そして理論テキストを繰り返し読み込むことで理解が深まっていきます。
このような学習をしていけば、応用問題や選択問題等の理解を問う問題にも対応できるようになります。
最後に
今まで、なんとなく解き直しを繰り返してきた方は、今後は上述の内容を意識して学習していきましょう。今回ご紹介した内容が、貴方の『得点アップ』、ひいては『合格』への一助となれば、筆者にとってこの上ない喜びとなります。
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