税理士ブログ 第70回税理士試験合格者の「会計科目学習法」②
「税理士試験の合格者は、どのように簿記論や財務諸表論の学習をしたのか?」について知りたい方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで、第70回税理士試験で見事合格を勝ちとられた方々が実践した「簿記論・財務諸表論の学習法」をご紹介します。
今回は全3回のうちの第2回目のお届けになります!
■「間違いなく」「早く」「解ける」レベルまで仕上げる
大塚 健一郎さん
受験期間中に転職し、残業も増え平日の勉強時間の確保が難しくなった時期がありました。また、家に帰っても仕事のことなどを考えてしまって集中することができませんでした。これでは良くないと思い「早起き理論散歩」と称して、出勤前に自宅周辺を散歩しながら理論の暗記をすることにしました。すると自然と集中力が高まり、歩きながら暗記をすると座っているときよりも覚えるのが早くなった気がしました。オススメです。
会計科目は、まずは個別問題を仕上げるのが重要だと思います。論点ごとに確認できるので、トレーニング(問題集)を徹底活用するのがいいと思います。「解ける」ではなく「間違いなく解ける」、さらに言えば「間違いなく早く解ける」レベルにする。そのために、1問解いたら単なるマル付けで終わらず、この論点の問題はどんな下書きをして解くのか、仕訳を書き出すのか、など自分なりの解法まで作り上げておきます。ノートにまとめておくと数ヵ月後に解き直すときに便利です。また、簿記論の直前期は問題の取捨選択スキルも大切です。単なる試験テクニックと思わず「このパターンは時間がかかりそう・・・」いう選球眼は、実務でも役立つのではないかと思っています。
■問題の取捨選択の見極めが重要
石渡 祥さん
簿記論は過去問を解き、苦手な論点は個別問題集で補完しました。しかし、簿記論は「時間を掛けて問題が解けるようになること」よりも「時間が掛かりそうだから解かない問題を選別できるようになること」のほうが重要です。過去問も答えを覚えてきてしまうと、その見極めができなくなってきますので、「全国公開模試」や「ファイナルチェック」などのオプション講座でその点を確認していました。
財務諸表論については、計算問題はトレーニング(問題集)を解き、理論問題はレジュメの内容を中心に暗唱して覚えました。理論を書くことについては、毎週の演習問題で練習ができたので問題ありませんでした。
■仕訳や設問のパターンに沿った解法を身につける
馬場 真さん
簿記論は、基本的な仕訳について条件反射レベルにならないと合格水準には届きません。そのため、仕訳パターンをノートにまとめ暗記を繰り返しました。総合問題については闇雲に対処するのではなく、設問パターン(大きくは3パターンだそうです)を強く意識しそのパターンに沿った解法を身につけたことでワンランクアップしたと思います。
財務諸表論の理論については、テキスト等を繰り返し読み込むことで理解を深め、穴埋め問題等をうまく活用しながら定番のフレーズを身につけました(ある意味念仏と同じです)。計算については、特に計算用紙の活用方法について研究を重ねることで手際よく集計ができるようになったため不安はありませんでした。
■演習回ごとに作成するミスカードを徹底的に利用した
中島 眞司さん
前職では広告代理店勤務しており、仕事の内容は会計や税務とはまったく関連のないものでした。試験対策においては、TACで学んだ考えや用語をいかに忘れないかが大切なため、月曜から金曜の会社勤務時間帯においても、忘れない工夫を多く取り入れました。最も効果的だったのは細切れの学習です。通勤時間には教材や自ら作ったミスカード(単語帳タイプ)を常に見るようにしていました。
簿記論は、上級コースより講義回と演習回の繰り返しとなります。演習回でミスした箇所はすぐにミスカードを作り、問題&解答を簡潔に書き込みました。そして、次の演習回までにミスカードを見直します。1月から4月までの演習合計15回で、ミスカードがどんどんページが増えていき、直前期にはミスカードが完成されました。直前期の実力完成答練も、この方法でミスカードを徹底的に見まくりました。簿記論は計算練習のみで完成すると思ってはダメです。ミスが起きるのは、会計処理に関する暗記があやふやな論点が多いので暗記が大切です。
この試験は、上位10%が合格する競争試験です。この上位10%とはTACの演習においては上位30%が相当します。上位30%となる出来具合の感覚を体に染み込ませてください。本試験でも、この上位30%の出来具合の感覚通りに進めることができれば合格できます。