税理士ブログ 【簿記論】解き直しの極意
尾久土 公憲 講師
TAC税理士講座 簿記論担当
皆さん、こんにちは。TAC税理士講座簿記論担当の尾久土です。今回は皆さんにテストの解き直しについてお話しさせていただきます。
【解き直しの目的その1~学習済みの論点の確認】
テストを解き直す目的にはいろいろありますが、一つは学習済みの論点について得点に結びつけられることができたかを確認することにあります。具体的には、①直近で学習した論点についてそれを得点に反映することができるかどうかと、②過去に学習した論点について忘れることなく解答することができたかを確認することが重要となります。
直近で学習した論点の確認
まず、直近で学習した論点について解答することができなかったところについては、原因の多くは処理の仕方をしっかり押さえられていない点にありますので、該当する論点についてテキスト・トレーニング(個別問題集)に戻って確認をする必要があるでしょう。その際、トレーニングについては同じ問題につき連続して制限時間内にミスなく解くことができるようになるまで繰り返していただくと効果的です。
過去に学習した論点の確認
また、過去に学習した論点について解答することができなかったところについて、その原因は『①一度覚えたものの忘れてしまった』『②苦手意識がある論点の克服ができていないかった』のいずれかになるかと思います。
『①一度覚えたものの忘れてしまった』論点については、再度該当する論点に関するテキスト・トレーニングを確認すれば再びマスターすることはできるでしょう。
一方で、『②苦手意識のある論点の克服ができていない』論点については、こちらは注意が必要です。苦手意識がある論点についても本試験までにしっかりマスターしてほしいところではありますが、やはり内容によっては本試験までに間に合わない場合も出てくるかと思います。そこで、苦手意識がある論点については、テストを解き、それができなかった場合は間違いノートを用意しそこにメモを取るようにしてください。メモの内容については『①いつその問題を解いたか』『②できなかった(間違った)箇所はどこか』『③できなかった(間違った)原因は何か』の3点となります。
『いつその問題を解いたか』
『できなかった(間違った)箇所はどこか』
『できなかった(間違った)原因は何か』
ご存知の通り本試験は制限時間2時間ですべての解答箇所に答えを入れることが困難なボリューム感で出題されますので、本試験において必ずやらなければならないのが取捨選択です。そして、その取捨選択の判断材料の一つになるのが、間違いノートへの記載内容となります。
間違いノートを本試験までに確認し続けていても苦手意識が克服できなかった論点については、仮に本試験で該当する論点が出題された場合は、取捨選択の過程で捨てて(あるいは後回しにして)いただければ良いのです。
そもそも本試験の合格基準は満点の60%となっている訳ですから、苦手意識のある論点を1つ2つ飛ばしても合否に直結することはありません。それよりも本試験で絶対にやってはいけないのは、『できない論点に時間を使ってしまい不正解になる』ことです。
そういった意味でもテストを解き直し、自分自身で得意不得意の論点を見極めることは非常に重要になってきます。
【解き直しの目的その2~経験値を積む】
そしてテストを解き直すもう一つの目的が、資料の与えられ方についての経験値を積むことです。本試験においては出題される内容にいくつか傾向があります。例えば、一つの取引について複数の処理方法が認められている場合におけるその比較や、取引当事者(例えば売り手と買い手)の比較といった比較が可能な内容についての出題が近年の本試験では目立ちます。他にも過去の本試験で出題された問題資料と似たような資料が再び本試験で出題されるということもあります。
皆さんがTACで解答しているテストですが、作問に際してはそういった出題傾向を反映しております。ですので、TACのテストをしっかりと解き込んだ上で本試験に臨んでいただき、『TACのテストで見たことがある』問題または資料が与えられた場合は、是非該当箇所に手をつけていただき得点に結びつけてください。一方で『TACのテストで見たことがない』問題または資料が与えられた場合は、一読した上で簡単に数値等が出そうにない場合は捨てて(あるいは後回しにして)いただくと良いです。
そういった判断を正しく行うためにも、TACのテストを繰り返し解答していただき、金額の算定方法や資料の効率的な読み方などについて経験値を積んでおく必要があります。多くのテストを繰り返し解答するようにしてください。
問題の組み合わせを変えて2時間で解く
そしてテストを繰り返し解いていくと中には、『内容を覚えてしまって確認にならない』という方も出てくるかと思います。
そういった時にぜひやってもらいたいのが『問題を自分で組み合わせる』ことです。例えば、皆さんの手元に2時間問題が3本(テスト①②③)あったとします。その3本のテストを使って皆さん自身でオリジナルの問題を作ってみましょう。例えば、第一問についてはテスト①の第一問を、第二問についてはテスト②の第二問を、第三問についてはテスト③の第三問を使って2時間問題を作る感じです。このオリジナル問題を解くことで従来とは違った時間配分で解答する必要が出てきます。また、それにより行うべき取捨選択も従来とは違ってくることになるはずで、そういった中で新たな発見を行うこともできます。
内容を覚えてしまったという方、是非やってみてください。
特定論点の強化
また特定の論点を強化したいという方もいらっしゃると思います。例えば、固定資産の論点を強化したい場合は、お手持ちのすべての2時間問題のうち固定資産の内容を引っ張りだしていただき、それを片っ端から仕訳を書いてみるのが有効です。同一の論点を同じタイミングでまとめてみることで、様々な切り口の問題を確認することができ、その結果その論点に対する理解が深まります。
最後に
お話しさせていただきました通り、テストというのはただ解けば良いというのではなく目的(意識)を持って解いていただく必要があります。是非ともテストを有効活用していただき、皆さんの実力がアップし本試験の合格を勝ち取られることを心よりお祈りしています。頑張ってください!
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