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教員不足は深刻化している? 小学校から高校まで教員が不足している原因や解決のための取り組みを解説

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日本では、教員不足が問題になっています。これは、必要な教員数の増加や教員になる人材が減少していることが原因です。
この問題を受け、国や自治体ではさまざまな対策を打っています。

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教員不足の現状

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文部科学省によると、2021年の4月時点で不足している教員数は、全国で2,558人であることが明らかになりました。これは国が定めた教員数の約0.3%にあたる人数です。

中学校は特に問題で、4月時点で教員が不足している学校が7%も存在します。これは、15校に1校は教員が不足していることを示しています。

また、4月の時点で教員が1人以上不足している地域は75%です。このデータから、全国的に教員不足となっていることが伺えます。

教員が不足している原因

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教員が不足している原因は複数考えられます。必要な教員数の増加や非正規教員への依存、地方公務員の定員削減といった人員構成の原因だけではありません。教師のなり手自体の減少や、育休取得が浸透してきたことも人員不足の原因です。

ここでは、教員が不足している代表的な原因について解説します。

1校あたりに必要な教員数が増加

教員が不足している原因として、1校あたりに必要な教員数の増加が挙げられます。その要因は、特別支援学級の増加です。

文部科学省によると、小中学校で特別支援学級に通う児童は、2022年の時点で約35万人います。2010年の約14.5万人と比較すると、約2.4倍に増加していることがわかります。

特別支援学級は8~13人に対し、1名の教員が必要です。特別支援学級に通う児童の増加は、おのずと必要な教員が増加することにつながります。

非正規教員への依存

非正規教員への依存が高くなっていることも、教員が不足する原因です。2007年の時点では10%に満たなかった非正規教員の割合は、2022年には約18%にまで増加しています。

非正規教員の増加は正規教員の減少も意味します。必要な教員数を正規教員だけでは賄えなくなったことから、非正規教員を採用するケースが増えてきました。

教師のなり手が減少

教師のなり手が減少していることも教員不足の原因です。近年では、教員採用倍率の低下が顕著となっています。その要因として考えられるのが、民間企業への人材流出です。

近年の就職活動は、前倒しの一途をたどっており、大学4年生の6月頃から内定をもらえる学生もいます。その一方、教員試験の合格発表は10月頃です。
周りの同級生たちの進路が決まっていくなかで就職を焦り、進路変更を考える学生も一定数いるでしょう。

また、教師に対するイメージの悪化も、要因のひとつです。長時間労働やいじめ、モンスターペアレントといった問題が目に触れるようになったことで、ブラックな職場というイメージを持たれるようになりました。

産休・育休を取る教員が増加

産休や育休を取得する教員が増加したことも、教員不足の原因です。文部科学省の実態調査によると「産休・育休取得者数が見込みより増加した」と応えた割合は80%となっています。

積極的に子育てに取り組む教員が増えた一方、それを補填するだけの人材が見つからないことも、教員が不足する理由といえるでしょう。

地方公務員の定員削減

教員不足の原因には、地方公務員の定員削減も挙げられます。地方財政の改善対策として、地方公務員の人員を削減するとともに、非正規化の割合を増やして人件費を削減する計画が実施されました。

地方公務員の中で、教員が占める割合は約30%です。少子化の時代に突入していたことから、教員の削減が優先的に実施されるのは当然の流れといえるかもしれません。

教員不足への取り組み

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教員不足への取り組みとして、国からは、教員の正規採用者数の増加や部活動指導の負担軽減といった取り組みが実施されています。各自治体では、人材バンクの活用や年齢制限の緩和といった独自の方法で人員確保に取り組んでいます。

どの対策も、教員の負担を減らし、教育の質を上げることが狙いです。ここでは、教員不足の取り組みについて解説します。

教員の正規採用数を増やす

教員不足への取り組みとして挙げられるのは、教員の正規採用数増加です。
2023年度に向けた概算要求では、小学校における35人学級の整備や、高学年の教科担任制の推進が発表されています。教員が受け持つ児童や教科が減ることで、教育の質を上げることが狙いです。

学校の働き方改革(部活動指導の地域移行など)

教員の長時間勤務の大きな要因となっている部活動指導を地域に移行していくための取り組みが進んでいます。
部活動は必ずしも教員が担う必要のない業務であることを踏まえ、2023年度から2025年度末までの3年間をめどに、まずは公立中学校の休日の部活動から段階的に地域移行することになりました。将来的には平日の部活動の地域移行も想定されているようです。

こうした文部科学省の方向性に呼応し、経済産業省では、学校単位を超えて生徒が楽しめるスポーツ環境の構築に向けた施策をまとめた「未来のブカツ」ビジョンを2022年9月末に示しました。これからの「ブカツ」を様々な運営主体が提供する地域のスポーツクラブ活動とし、実現のための社会システム全体の再デザインが提言されています。

人材バンクなどを活用した講師登録数の増加

人材バンクを活用し、講師登録者数を増加させる取り組みもあります。各自治体では、教育委員会ごとに講師募集用のWebページを用意しているのが一般的です。

自治体によっては、これとは別に独自の人材バンクを設け、学校と講師希望者をつなげるサービスに取り組んでいるところもあります。事例として、静岡県の「静岡県教職員人材バンク」や、愛知県の「教員人材銀行」が挙げられます。

この仕組みは、教員数が増加するだけではありません。専門知識を持った人材の確保にもつながり、教育内容の多様化にも期待できるでしょう。

教員採用試験の年齢制限を緩和・撤廃

教員不足への取り組みとして、教員採用試験の年齢制限を緩和・撤廃する自治体も出てきています。年齢制限がない自治体は、2023年度採用選考の時点で53自治体まで増加し、年齢制限を撤廃する自治体は年々増えています。

年齢制限がある自治体でも、受験可能な年齢の制限が36〜40歳に設定されている自治体は2自治体のみとなっており、教員採用試験では年齢を問わず積極的な採用活動が行われています。

大学と連携してインターン・特別選考を実施

大学と連携し、インターンや特別選考を実施している自治体もあります。インターンは、学生が実際に現場を体験することで、現場の雰囲気や業務内容を理解してもらう取り組みです。

通常、インターンの実績が採用試験に影響することはありません。しかし「大学推薦特別選考」を設けている自治体があります。これは、次年度からその自治体の教員として働くことを条件にインターンをすることで、一次試験が免除になる制度です。

この制度により、実際に現場を体験し、教員の仕事に興味を持った学生の確保につながります。

教員の環境を整備し教育の質向上へ

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日本では、国が定めた教員数の約0.3%にあたる人数の教員が不足しています。全国的には75%もの地域が、4月の時点で教員が1人以上不足しているのが現状です。

教員が不足している原因には、必要な教員数の増加や非正規教員への依存、地方公務員の定員削減といった人員構成の原因だけではなく、教師のなり手の減少や育休取得が浸透も挙げられます。

教員不足に対し、国は教員の正規採用者数の増加や部活動指導の負担軽減・ICTの利活用といった学校の働き方改革を推進しています。自治体レベルでも、人材バンクの活用や採用試験の年齢制限緩和といった方法で、人材確保を目指しています。

教員不足の解消に向けて、教員をより魅力的な仕事にするための教育制度の在り方の大胆な見直しや条件整備が現在急速に進んでおり、今はまさに大きな転換期にあると言えるでしょう。

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