ゼロからわかりやすくお教えします! 教員になるにはどうすればいいの?必要なことはなに?
この記事の監修者
永平 一洋 講師
TAC教員講座主任講師。予備校講師歴30年以上で、主要指導教科は教職教養、一般教養、数学、数的処理、英語など。教育アプリの開発プロジェクトにも携わり、講師責任者として400人以上の講師を主導した経験を持つ。指導形態や対象者を問わず、あらゆるフィールドで非常に高い評価を獲得している。また、講師だけでなく、教材開発や講座企画も主導。マルチな舞台で活躍している。
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【1】教員免許状を取得しよう
2つのことをクリアすれば、教員になることができます。(1)教員免許状を取得することと、(2)採用試験に合格することです。
教員免許状は、教職課程のある大学・短期大学等で必要な単位をとって卒業することで取得できます。すでに大学等を卒業されている方は、特定の科目だけを履修する「科目等履修生」での履修でよい場合もあります。
また、一部校種は、大学・短期大学等に通わずとも、年に1回実施されている教員資格認定試験に合格することで、教員免許状を取得することもできます。
大学等で教職課程を履修する方法
教員免許状はどうすれば取得することができますか?
大学・短期大学等で、教員免許状の取得に必要な単位をとって卒業すれば取得できます。
大学に入ってから進路を決めたので、教育学部ではないのですが、必要単位の取得は可能なのでしょうか。
教育学部以外の方も、在学中に教員免許の取得は可能です。実際、受験者の7割は一般大学・学部の出身者です。
必要単位については、大学の教職課程センター・相談室、キャリアセンター等へ相談してみてください。
私は既卒です。教員への転職を考えています。大学は卒業していますが、教職課程はとっていません。その場合はどうするのがよいのでしょうか。
大学を卒業されているようでしたら、通信制大学等の科目履修生で、必要な単位だけ取得する方法があります。まずは取得単位の状況等を確認なさってください。
通信制大学で1~2年になるのですね。。すぐに取りたいのですが、他に方法はないのでしょうか?
「教員資格認定試験」というものがあります。幼稚園、小学校、特別支援学校(自立活動)の免許であれば、この認定試験に合格すれば、教員免許を取得することができます。次のところで詳しく解説していきますね。
社会人が大学等で教員免許を取得する方法
大学に入り直すのもよいですが、入試や費用等の負担、仕事や生活との両立が困難なことから、通信制大学や科目履修生として大学に入るのが一般的です。
(1)通信制大学
教職課程を設けている通信制大学に通うという方法です。最短でも2年はかかります。実習以外の単位については、スクーリングや課題レポートとなっており、仕事等との両立は比較的しやすいでしょう。
(2)科目履修生
既に大学や短期大学を卒業しており、教職課程の単位もある程度取得している場合は、科目履修生として必要な単位だけを取る(最短1年)という方法があります。
まずは、大学在学時に教職課程の単位をどれくらい取得できていたか確認してみましょう。その書類をもとに、都道府県教育委員会に相談することで確認ができます。
※教員免許状を取得可能な大学等はコチラからご確認いただけます。
「教員資格認定試験」を受ける方法
大学等に行かなくても、教員資格認定試験で教員免許が取れるのですか?
幼稚園、小学校、特別支援学校(自立活動)であれば、教員資格認定試験で教員免許を取得できます。試験の日程ですが、小学校の場合は、5月に出願→7~8月に1次試験→10~11月に2次試験→12月に合格発表のスケジュールで実施されます。
どんな内容の試験なのでしょう?
1次試験では、4つの筆記試験が実施されます。教職教養(択一式)、専門教養(択一式)、教職教養(論述式)、専門教養(論述式)の4つです。択一式2つの試験が合格基準を超えないと、残り2つの論述式試験が採点されないという仕組みになっています。
1次試験からなかなか重そうです。独立行政法人教職員支援機構のホームページに過去問が公開されているようですので、まずは見てみます。
2次試験では、指導案作成、模擬授業、口頭試問(個別面接)等が2日間で実施されます。こちらもまた重めですね。合格率も10~20%のようで、簡単に合格できる試験ではないでしょう。
教員資格認定試験の概要
文部科学省が毎年1回実施している、広く教員への道を開くための試験です。
(1)取得できる免許
幼稚園教諭二種免許状、小学校教諭二種免許状、高等学校教諭一種免許状(情報)
(2)スケジュール
小学校教員資格認定試験の場合、2~3月に出願→5月中旬に1次試験→9月上旬に2次試験→10月中旬に合格発表のスケジュールです。
(3)試験内容
1次試験は筆記試験(教科及び教職に関する科目Ⅰ~Ⅳ)、2次試験は指導案作成・模擬授業・口頭試問(個別面接)等です。
(4)会場
1次試験が東京近郊・大阪近郊の2か所、2次試験は東京近郊の1か所での実施です。
※2025年実施試験の情報です。
【2】公立と私立との違い
教員になるにあたって、公立学校の先生になるか、私立学校の先生になるかで、大きく道が分かれます。公立学校の場合は各自治体の教育委員会が実施する教員採用試験を受験することになり、公務員の身分となります。私立学校は学校法人等がそれぞれ設置・運営していますので、採用方法も運営母体によって様々です。
項目 | 公立学校の場合 | 私立学校の場合 |
---|---|---|
採用経路 |
全国68自治体の教育委員会が |
各学校が実施する採用試験 |
選考時期 |
毎年1回(5~9月) |
学校による |
採用者数 |
毎年多数の採用がある |
各学校の欠員状況による |
異動の有無 |
3~5年で異動あり |
異動なし |
給料や福利厚生 |
公務員であるため充実している |
学校による |
昇格の方法 |
管理職試験 |
学校による |
研修 |
充実している |
学校による |
公立学校の先生になる場合
教員免許は取得見込みなのですが、公立学校の先生になるのはどうすればいいのでしょう?
公立学校の教員は公務員ですので、全国68の自治体が実施している教員採用試験に合格する必要があります。毎年夏と秋(一部自治体)に教員採用試験を行っています。なお、配属校は合格発表の段階ではわかりません。
配属校はいつ決まるのでしょう?
配属校が決まるのは、年明け1~3月です。そして、4月から教壇にたつことになります。聞くところによると、3月末に配属校の連絡がきた方も過去いたようですので、気長に待ちましょう。
合格した段階では、自分がどの学校に行くのかわからないのですね。
早速勉強を始めたいのですが、試験内容や難易度はどのくらいなのでしょうか?
教員採用試験では、筆記試験(教職教養・一般教養・専門教養)と人物試験(論文試験・面接試験)、校種教科によっては実技試験等が実施されます。詳細は別のページでお話していますので、ぜひそちらを読んでみてください。
教員採用試験の勉強はいつから始める?
また自治体や校種・教科によって、競争倍率の開きが2~50倍となっていますので、高倍率の校種・教科を受験する方は、さらに入念な準備が必要と言えるでしょう。教員採用試験の概要や学習方法はコチラで解説していますのでご覧ください。
私立学校の先生になる場合
公立と私立の併願を検討しています。私立学校の教員はどのように採用されるのでしょう?
公立の教員は公務員ですので、自治体が一括採用を行いますが、私立の場合は民間と同じです。各学校が実施する採用試験を受験することになります。ですので、欠員がない場合募集が発生しませんし、時期・募集方法も学校によって様々です。
母校の私立学校で働きたい気持ちがあるので、その学校に問合わせてみます。
そういえば「私学適性検査」というものがあると聞きましたが、これは何ですか?
私学適性検査は、採用試験ではありません。簡単に言うと、「私はこの自治体で私立学校の先生として働きたいです」というリストに、自分の氏名と成績を登録するための試験です。各学校の採用担当者がそのリストをみて興味を持てば「ぜひうちの学校の選考試験を受けてください」等という連絡が届くことになります。
可能性を広げるための試験なんですね。今スマホで調べてみたところ、「私学適性検査」が実施されているのは一部の自治体のみのようなのですが、どういうことですか?
私学適性検査を実施しているのは、各都道府県私学協会ですが、登録のために私学適性検査を実施しているのは一部の私学協会のみで、履歴書や論文などの提出のみで登録ができるところもあります。ご自身の都道府県の私学協会のホームページを確認してみてください。
私学適性検査とは?
私学協会が実施する私学教員採用のための適性検査です。選考試験ではなく、各私立学校に配付される教員希望者リストに登録するための検査です。各私立学校ではこれを採用の資料とします。
東京都・静岡県・群馬県・愛知県・兵庫県・広島県・福岡県・長崎県の私立中学高等学校の協会・連合会などによって、毎年1回実施されています。
<参考>東京都 私学教員適性検査(2021年実施試験)
対象校種:私立中学校・高等学校
受験できる人:大学3年生以上
受検資格:高等学校教諭免許(国語・地歴・公民・数学・理科・英語・家庭)※取得見込でも可
検査内容:専門教養80分、教職教養+一般教養50分
判定:ABCD
試験日:8/29(日)→結果通知9月中旬→9月~3月にかけて各学校の選考(大学3年生は翌年の4~8月)
※詳細はコチラからご覧ください。
【3】公立の教員採用試験の受験資格
公立学校の先生になりたいのですが、教員採用試験を受けるには、受験資格は必要ですか?
教員免許状と年齢要件の2つを満たす必要があります。教員免許状は取得見込みで受験可能です。年齢要件ですが、なんと全体の6割の自治体は年齢制限を設けていません。設けている自治体では、41~50歳の制限がほとんどのようです。
門戸が大きく開かれている試験なのですね。
自治体によっては、指定する経験・実績等をお持ちの方は、教員免許状を必要としなかったり、年齢制限が緩和されたりする特例選考なども実施されています。
「禁錮以上の刑に処せられた者」等の欠格事項はありますので、こちらも念のため確認してくださいね。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
「公立の教員採用試験の倍率や日程について詳しく知りたい」、「学習方法についても教えて」という方はこの後の他のページも参考になさってください。
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