情報処理安全確保支援士試験の勉強方法とは?合格までに必要な勉強時間や対策方法を解説

情報処理安全確保支援士試験の勉強方法とは?

国家資格である情報処理安全確保支援士はセキュリティに関する高度な専門知識を有することを証明する資格です。難易度が高いことから、勉強方法について悩む人もいるでしょう。

この記事では、情報処理安全確保支援士試験に必要な勉強時間や効率的な勉強方法について解説します。

情報処理安全確保支援士の試験概要

情報処理安全確保支援士の試験概要

情報処理安全確保支援士の試験は午前I試験、午前Ⅱ試験、午後試験の3つに分かれています。午前I試験、午前Ⅱ試験はマークシート方式、午後試験は記述式の問題です。出題数や合格基準点、試験時間については以下のようになっています。

試験方式 出題数 試験時間 合格基準点
午前I試験
(共通問題)
多肢選択式
(四肢択一)
30問 50分 60%
午前Ⅱ試験 多肢選択式
(四肢択一)
25問 40分 60%
午後試験 記述式 出題数:4問
(解答数:2問)
150分 60%

午前Ⅰ試験

午前I試験は、以下の項目が出題範囲となっています。共通の項目となっているため、他の情報処理技術者試験を受験したことがある方であれば、見覚えがある内容です。

テクノロジ系:約17問
・基礎理論
・コンピュータシステム
・技術要素
・開発技術

マネジメント系:約5問
・プロジェクトマネジメント
・サービスマネジメント

ストラテジ系:約8問
・システム戦略
・経営戦略
・企業と法務

午前Ⅱ試験

午前Ⅱ試験は、以下の項目が出題範囲となっています。分野ごとの出題数は毎回ほぼ同じです。

・セキュリティ:約17問
・ネットワーク:約3問
・データベース:約1問
・システム開発技術:約1問
・ソフトウェア開発技術:約1問
・サービスマネジメント:約1問
・システム監査:約1問

午後試験

午後試験は、以下の項目が出題範囲となっています。セキュリティに関連するテーマが4問が出題され、その中から2問を解答します。

・情報セキュリティマネジメントの推進又は支援に関すること
・情報システムの企画・設計・開発・運用におけるセキュリティ確保の推進又は支援に関すること
・情報セキュリティインシデント管理の推進又は支援に関すること

令和4年度秋期試験で出題された問題テーマ(午後I試験)
◇IoT製品の開発
◇脆弱性に起因するセキュリティインシデントの対応
◇オンラインゲーム事業者でのセキュリティインシデント対応

令和4年度秋期に出題された問題テーマ(午後Ⅱ試験)
◇脅威情報調査
◇インシデントレスポンスチーム

情報処理安全確保支援士を取得する前に知っておきたいポイント

情報処理安全確保支援士を取得する前に知っておきたいポイント

情報処理安全確保支援士の取得前に、難易度や必要な勉強時間を把握しておきましょう。情報処理安全確保支援士の難易度は高く、必然的に勉強時間も長くなります。

ただし、実務経験者や応用情報技術者試験合格レベルといった、一定の知識を持っている方であれば、勉強時間は未経験者の半分以下の勉強時間で十分といわれています。

難易度や合格率

近年の情報処理安全確保支援士の合格率は20%前後になっています。合格率から考えると難関資格といえるでしょう。

試験区分 年度 合格率
情報処理安全確保支援士 2011年 13.7%
2012年 13.8%
2013年 13.9%
2014年 14.0%
2015年 15.6%
2016年 14.9%
2017年 16.7%
2018年 17.1%
2019年 19.1%
2020年 19.4%
2021年 20.7%
2022年 20.2%

必要な勉強時間

情報処理安全確保支援士の合格に必要な勉強時間は、情報処理技術者試験の未経験者であれば、下位区分の勉強も含めて600時間程度といわれています。応用情報技術者試験合格レベルの方であれば、一定の知識を習得しているため、100~200時間程度の勉強時間で合格できるといわれています。

未経験者の600時間という勉強時間は、毎日2時間以上した場合、最低でも約7ヶ月以上の継続が必要です。200時間の場合でも、3ヶ月程度はかかります。これだけでも長期間の勉強が必要になることがわかるでしょう。

情報処理安全確保支援士試験の勉強方法

情報処理安全確保支援士試験の勉強方法

情報処理安全確保支援士試験の勉強方法は、大きく分けてふたつのパターンがあります。応用情報技術者試験合格レベルの場合と、情報処理技術者試験が初めての場合で勉強方法が異なります。

応用情報技術者試験合格レベルの方は、既に一定の幅広い知識を持っているはずです。そのため、午前試験に関してはテキストで一から学習する必要はありません。ここでは、2つのパターンの勉強方法について解説します。

応用情報技術者試験合格レベルの場合

午前試験について、応用情報技術者試験合格レベルの方は、これまでに学習したことを活かして勉強することで、効率よく学習できます。テキスト学習からはじめず、過去問演習から取り組めば、自身の知識の確認ができます。

午前試験の勉強方法

午前I試験

応用情報技術者試験合格レベルの方は、過去問を解くことからはじめましょう。すでに一定の知識を持っているため、午前I試験については改めてテキストで知識を習得する必要はありません。ただし、知らない問題や初めて見る問題が出てきた場合はテキスト学習もおこなう必要があります。

午前I試験の傾向として、過去問を流用しているケースが多く、近年は30問中6~11問程度は過去10年で出題された問題でした。流用ではない場合でも、過去に出題された問題と似た内容になっています。
なお、直近2年以内に応用情報技術者試験または高度試験に合格している場合、高度試験・情報処理安全確保支援士試験の午前I試験で基準点以上の成績を得ている場合には午前I試験は免除となります。


午前Ⅱ試験

午前Ⅱ試験は、ますはテキストを用いて体系的に知識を習得することが大切です。そのほうが知識の関連性も把握しやすく、単独の知識を詰め込むよりも学習効果が高いでしょう。午前Ⅱ試験は、重点分野のセキュリティとネットワークの出題比率の合計が80%を占めます。この2分野を取りこぼすことなく確実に得点することが重要です。セキュリティとネットワークの知識はそのまま午後試験でも必須の知識となるので、体系的な学習をおこなっておくことで午前Ⅱ試験対策から午後試験対策へスムーズに移ることができます。
午前I試験と同様に午後Ⅱ試験も過去問を流用しているケースが多く見られますので過去問演習についてもしっかりおこないましょう。


過去問演習

合格点が60点であることを考えると、午前I試験は30問中18問、午前Ⅱ試験は25問中15問の正解で合格基準に達します。100点を目指した学習はあまり効率的ではありません。効率的に得点するためにも、過去問の理解に注力しましょう。
過去問を解く際は、解答だけを覚えるのではなく習得することが大切です。正解の選択肢だけではなく、不正解の選択肢についても、その選択肢はどのようなケースに当てはまるのかを説明できるレベルになることが理想です。理解を深めるためにも、5回は解くようにしましょう。


午後試験の勉強方法

午後試験

午後試験対策でまず必要となるのは、より深い知識の習得です。午前Ⅱレベルの知識だけでは、問題事例の内容を正しく理解することができません。問題文中には解答のヒントとなる記述がある場合がありますが、知識の習得が十分でないとそれに気付くこともできません。よく出題されるセキュリティ技術やセキュリティインシデント対応事例については重点的に学習し、理解を深めておいてください。セキュリティ管理面の知識を強化しておくことも重要です。
そのほか、午後問題特有の長文問題に対する短時間での読解に慣れておく必要があります。問題事例を把握するだけでも相当な時間と集中力が必要となります。午後問題では、読解力が大きなカギを握っています。


情報処理技術者試験が初めての場合

情報処理技術者試験が初めての場合、いきなり情報処理安全確保支援士試験を受験することはあまりお勧めできません。ご自身のレベルに合った基本情報技術者試験や応用情報技術者試験などの下位試験から学習を始めて、ステップアップしていくことをお勧めします。

その理由のひとつは「午前I試験」にあります。

午前Ⅰ試験の出題内容

情報処理安全確保支援士試験および高度試験の午前I試験は高度共通試験として実施され、試験区分を問わず、共通の問題が出題されます。出題内容は応用情報技術者試験の午前試験問題の抜粋です。受験区分の専門分野以外からも出題されるため、午前I試験突破のためには必然的に応用情報技術者合格レベルの知識が必要になります。

効率よく合格するなら受験指導校の活用がおすすめ

効率よく合格するなら受験指導校の活用がおすすめ

情報処理安全確保支援士試験に効率よく合格したいのであれば、受験指導校の活用がおすすめです。情報処理安全確保支援士試験は合格率が20%前後と、IT関連資格トップレベルの難易度となっています。

出題範囲の広さから、どこから手をつけていいのかわからなくなる人も存在します。カリキュラムが整っている受験指導校で学習することで、自身に適した勉強方法で効率よく知識習得を目指せるでしょう。

段階に応じて勉強方法を見直そう

段階に応じて勉強方法を見直そう

情報処理安全確保支援士の試験は午前I試験、午前Ⅱ試験、午後試験の3つに分かれており、午前I試験、午前Ⅱ試験はマークシート方式、午後試験は記述式の問題です。情報処理安全確保支援士の合格率は20%前後とIT関連資格トップレベルの難易度となっています。そのため、情報処理技術者試験の未経験者であれば、下位資格からの学習も含めると600時間以上、応用情報技術者試験合格レベルの方であれば、100~200時間程度の勉強時間が必要です。

情報処理安全確保支援士試験の勉強方法は、応用情報技術者試験合格レベルの場合と、情報処理技術者試験が初めての場合で勉強方法が異なります。応用情報技術者試験合格レベルの方は、午前試験に関しては一定の知識を持っているため、テキストで一から学習する必要はありません。過去問演習から始めることで効率よく学習できます。

さらに効率よく勉強するには、カリキュラムが整っている受験指導校の活用がおすすめです。自身に適した勉強方法を検討し、情報処理安全確保支援士試験合格を目指しましょう。

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