税理士ブログ
AIが税理士業務にどのような影響をもたらすのか?
~AIで税理士の働き方が変わる~
みなさんの中には、「AI(人工知能)の進化によって、消えそうな職業の筆頭が税理士」、なんて記事を読んだことがある方もいらっしゃるかもしれません。そこで、今回は『AI(人工知能)が税理士業務にどのような影響をもたらすのか?』について考えていきたいと思います。
■AIの実装化は税理士業務にどのような影響をもたらすのか?
今後、AIの実装化が進むと税理士の業務はどのように変わっていくのでしょうか? 「将来、税理士業務のほとんどがAIに代替される」といった話も耳にしたことがあるかもしれませんが、実はこれには大きな誤解が含まれています。
というのは、AIに代替されるという話題の際に想定されている税理士業務は、税務申告書の作成に関する単純な事務処理や記帳代行業務に限定した話題だからです。
単純な事務処理や記帳代行業務については、AIの得意分野とするところで、自由裁量の余地が少なく、ビッグデータやIoT(様々な「モノ」がインターネット上でつながり、情報交換により相互に制御する仕組み)に基づいて行う処理であり、申告書作成や記帳代行などの業務についてはAIが実装化されることで、税理士の業務への関わりは減少してくることが想定されます。
しかし、自由裁量の余地が大きい業務、例えば、法人税に関する税理士業務は、法人税法関連規定のほか、会計学、民法、会社法など、様々な知識に基づく専門的な解釈・判断が必要になるとともに、経営者への助言・指導や税務当局への対応なども必要になることから、こういった税理士業務をAIが完全に代替する可能性は極めて低いと考えられています。
そのため、税理士業務のほとんどがAIに代替されるというのは見当違いで、AIによって書類作成業務などの効率化が進むことで、クライアント(依頼主)へのサービス提供の中心は専門的知識に基づいて助言・指導などを行うコンサルティング業務に移行することが考えられます。
言い換えると、AIの実装化により、『税理士の働き方が変わる』ということです。今後、税理士として大きな成功をつかむためには、コンサルティング力を磨くことが重要になってくると思われます。
■税理士は必要不可欠な存在
また、税はすべての人や企業に関係します。そのため、AIの実装化により税理士の働き方に変化が生じたとしても、人や企業と深く関わる税理士は、今後も必要不可欠な存在であり、社会的役割の大きい税務業務を独占できることには変わりなく、クライアントから感謝されるやりがいのある仕事であることも変わりありません。
■税理士業界が抱える課題と業界展望
税理士には定年がありませんので、健康でいる限り生涯現役で活躍することができます。一方で、税理士業界は『税理士の高齢化(税理士の2人に1人が60歳超)』という大きな課題を抱えており、後継者不足に伴う個人事務所の事業承継問題などがすでに顕在化してきています。
さらに、税理士業界では、コンサルティング業務の拡大に伴い、求職者有利の売り手市場となっており、税理士法人や個人事務所では思い通りの人材を確保できない状況になっています。今後もこの人手不足の状況は続くと想定され、AIの実装化がそれぞれの直接的な解決策にはならないと考えられます。
いかがだったでしょうか。
漠然と「AIによって税理士業務がなくなる。」「税理士を目指して大丈夫なのか?」と心配していた方もいらっしゃるかと思います。これまでお伝えしてきたようにAIは税理士業務を奪うものではなく、効率化を図るツールであり、税理士の業務は、今後、コンサルティング業務などのより付加価値の高いサービス提供への比重が大きくなっていくだろう、ということです。
ですから、今は1年でも早く5科目合格を果たし、税理士になることを考えて学習に取り組んでいただきたいと思います。
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