税理士ブログ 部分点も逃さない!総合問題へのアプローチ
木村 達生 講師
TAC税理士講座 簿記論担当
勘定科目別に得点法をご紹介!
いよいよ直前期が始まります。そこで今回は、第三問の実務家問題(3月決算・後T/B解答要求を前提)を解答する際、難問に直面した時や制限時間終了の間際に、答案用紙の空欄埋めとして部分点を狙うコツの一部を勘定科目別に紹介します。もっと知りたい!と思われる方は、是非、直前期の教室にいらしてください。
現金
後T/B残高は、期末実際有高となります。実際有高の算定の際、外貨はCR換算後の金額を用いる点と、先日付小切手は通貨代用証券から除外する(受取手形勘定などで処理します)点に注意してください。
当座預金
単純な銀行勘定調整のみの問題なら、銀行側加減算項目から解答を導けます。計算式にすると次の通りです。「銀行残高証明書金額+時間外預入-未取付小切手+未取立小切手
受取手形
多くの問題では、前T/B残高から未処理・誤処理分を加減算し、破産更生債権等への振替分を減算した金額が解答になることが多いです。
貯蔵品
基本は未使用の切手と未使用の収入印紙との合計額ですが、有形固定資産で除却の論点が出題されている場合には、除却固定資産の評価額を加算することがあります。
前払費用・前受収益
基本は費用・収益の繰延額のみですが、為替予約が振当処理で出題されている場合には、直先差額のうち翌期対応分が加算されます。
有価証券
売買目的有価証券として期末に保有している株式・社債の時価の合計です。
車両
車両は買換えがよく出題されますね。買換えが出題されたからといって混乱せず、新規取得分の取得原価(間接控除法)、又は、期末簿価(直接控除法)を解答しましょう。
給与手当
案外パターンが決まっていて、賞与引当金の前T/B残高と、退職一時金と掛金拠出額の加算誤処理を引き、預り金の未計上分を足しておしまい。場合によっては、給料の見越分と期末賞与引当金の社会保険料を加算します。
賞与引当金繰入・賞与引当金
翌期の夏季賞与支給見込額のうち、当期対応分(×4月/6月が多いです)が解答になります。
見本品費
多くの問題では、見本品費の計上が未処理です。資料中から見本に供した商品原価が与えられているのであれば、その金額を必ず解答しておきましょう。
租税公課
多くの問題では、前T/B残高に収入印紙の期首有高を加算し、期末有高を減算すると解答となります。
貸倒損失・手形売却損・売上割引
多くの問題では、未処理・誤処理分を加減算するだけで解答になります。ぜひとも拾っておきたいところです。
投資有価証券評価損・関係会社株式評価損
減損処理の適用対象となった有価証券の簿価と時価(又は実質価額)との差額を解答します。
法人税等・未払法人税等
年税額が与えられていたらチャンスです。法人税等は年税額を解答するだけ、未払法人税等は、年税額から中間納付額と受取配当金等の源泉所得税額を減算した金額を解答します。
支払手形・買掛金
多くの問題では、前T/B残高に未処理・誤処理分を加減算するのみであり、受取手形・売掛金よりも解答しやすいといえます。
未収収益・未払費用
多くの問題では、保有債券や貸付金、発行社債や借入金の利息の見越分となります。利払日と決算日がズレていたら、落ち着いて計算して正しい解答を導きましょう。
未払金
未払金が増減する論点は、出張旅費の未精算額(期末現在、従業員に立て替えてもらっている額)、銀行勘定調整(費用に関する未渡小切手)、有価証券(約定日基準で期末直近に購入の未処理)、有形固定資産(新規取得分の代金未払)など、ある程度決まっています。
預り金
多くの問題では、3月分の源泉所得税等の額が解答になります。
繰延税金負債
多くの問題では、その他有価証券の評価差益に、法定実効税率を乗じた金額が解答となります。
社債
買入消却が絡むとややこしそうですが意外と簡単です。まず買入消却を考えずに、額面金額全体から期末日現在の未経過償却額を引きます。これに買入消却をしていない社債の残存割合を乗じれば解答になります。
利益準備金
ほぼ配当に伴う積立未処理に限られるので、前T/B残高に配当の1/10を加算してください。なお、基準資本金額との比較に注意です。また、資本金の増加等の影響はないと割り切ってしまうのはどうでしょう。
その他有価証券評価差額金
その他有価証券の評価差額の合計から、法定実効税率分を除いた金額が解答となります。
新株予約権
期末未行使残高を計算して解答するだけです。苦手意識から解答を忘れることのないように注意してください。
売上
多くの問題では、前T/B残高に未処理・誤処理を加減算するだけで解答となります。なお、消費税等の絡んだ問題の場合には、税抜金額で計算することをお忘れなく。
商品評価損益(貸方残高の場合)
商品評価損益の解答欄が貸方に設定されている場合には、期末の評価損は無いと割り切っ て、期首洗替分だけ解答しておくのはどうでしょう。
有価証券運用損益
有価証券運用損益が設定されている場合には、売買目的有価証券から生じたすべての損益(売却損益、受取配当金、有価証券利息、評価損益)をピックアップして解答することとなります。
受取配当金
誤って源泉所得税分が控除されて、前T/B残高が計上されているのであれば、源泉所得税分を忘れずに加算しましょう。
いかがだったでしょうか。出題パターンがたくさんあるため、上記だけでは説明しきれないものもたくさんありますが、解答要求から論点をある程度予測できることも、総合問題の面白さと言えますね。みなさんのこれからの直前期の学習に役立ててみてください!
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