公務員の土木職とは?
仕事内容や試験を詳しく解説!
土木職の公務員に興味があるけど、民間との仕事内容の違いや試験内容がよくわからない。そう思っている方も多いのではないでしょうか。このコラムでは就職先や転職先として土木職の公務員をお考えの方に向けて、知っておいていただきたい情報をまとめました。
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土木職公務員とは
土木職の公務員は地域住民や国民が安心して生活できる環境づくりをします。自治体内に限らず、自治体同士をつなげ、日本各地におけるインフラ整備に貢献しています。上下水道やダム、河川の整備により日本の水資源を有効活用します。その他にも、施設やトンネル建設、環境や災害、省エネルギー対策と幅広く業務に関わります。
直接ダム建設や河川工事などを行うのは民間企業ですが、こうした社会インフラ整備の計画、発注、維持管理していくのが土木職公務員の仕事になります。
土木職公務員の種類
土木職の公務員は、大きく国家公務員と地方公務員に分けることができます。土木職の国家公務員にはキャリア官僚にあたる国家総合職、それを支える国家一般職などがあり、土木職の地方公務員は、都道府県や市町村の職員などがあります。
土木職の国家公務員
日本全土を広くつなげるための道路や橋梁、トンネル、鉄道、港湾、空港などを利用するためには、土木工事が必要になるため、こうした社会インフラを整備していくための計画、民間企業への工事発注、運営に関与します。
国道や国有地の運営だけでなく、ダムや河川の管理、空港滑走路の整備、日本各地へ向けられる都市や農地開発の方策と実際の工事、さらには防災や省エネルギー・新エネルギーにも広く携わります。
採用省庁例
- 国土交通省/防衛省/林野庁/財務省税関/内閣府/経済産業省/環境省/警察庁/総務省/水産庁など
土木職の国家総合職
- 日本の20年、30年後をデザインする仕事をしています。道路、港湾、鉄道、空港といった社会インフラに関して建設プロジェクトの計画や推進をしたり、再生可能エネルギーの主力電力化など新しいインフラを導入していくための計画を推進します。
土木職の国家一般職
- プロジェクト計画作成ための材料集め、情報収集、実際に決められた設計計画を日本各地で進めていく役割を担います。
土木職の地方公務員
土木職の地方公務員は都道府県あるいは市町村単位で採用があります。市街地の活性化に向けた再開発、都道府県道・市町村道、さらに国道の一部の管理・保全、マンホールや上下水道のような生活の水回り整備、改修、河川や海岸の開発と災害対策、建築物の耐震対策、庁舎や出先機関の増築・改築など、土木職は広く公共物に携わります。
都道府県
- 都道府県は、市区町村単位では処理が困難な業務や国と市町村間の調整など、広域的な行政サービスを担います。道路、河川、海岸、砂防、急傾斜地、公園、下水道、都市計画などの幅広い分野で都道府県づくりに携わり、交通ネットワークの充実や災害に強いまちづくりを推進するため、施設整備や維持管理に関する企画・計画、工事の設計・積算、国や市町村との事業調整、事業のための地元調整といった多岐にわたる仕事を行います。
政令指定都市
- 都道府県と同格の扱いを受ける、法律上人口50万人以上の都市です。市町村と同じ業務に加え、道府県に変わって総合的な都市整備や、道路、河川、上下水道、港湾、地下鉄などの計画・建設などを担います。
市町村
- 地域住民の普段の生活に密着した基礎的行政サービスを担います。上下水道の整備、公園や緑地の整備やまちづくり、市営施設の運営管理、交通ネットワークの充実、事業のための地元調整などを行います。
東京特別区(東京23区)
- 東京特別区とは、東京23区のことを示します。上下水道の維持管理などは東京都が行いますが、各区の道路、橋、公園、まちづくりの計画、設計、工事管理、施工維持管理、水害対策の計画などを担います。
土木職公務員の年収
公務員は法律によりその身分を強力に保障されており、短期的な業績や経済動向に左右されることなく、長期的な視点に立ってじっくりと職務にあたることができます。また、公務員の平均年収は600万円台中盤で推移しており、民間企業に比べて高い水準となっています。
※1 国家公務員の平均年収はTACが独自に算出した一般行政職員の推定額です。
平均年収=「平均給与月額」×12+期末・勤勉手当(ボーナス)
平均給与月額=俸給+各種手当(扶養手当、調整手当、地域手当等)
[参考資料]人事院 国家公務員給与等実態調査(令和3年度)、人事院 国家公務員の給与の概要、内閣人事局報道資料
※2地方公務員の平均年収はTACが独自に算出した都道府県庁および政令指定都市の一般行政職の推定額です。
平均年収=「月額支給される給料及び手当」×12+年額支給される手当(期末手当・勤勉手当(ボーナス)等)」
「月額支給される給料及び手当」=給与+各種手当(扶養手当、通勤手当等)
[参考資料]総務省 地方公務員の給与実態調査(令和3年度)
※3 民間平均年収は国税庁民間給与実態統計調査(令和3年度)を参照
土木職公務員になるには
土木職の公務員になるには、国や自治体が行う試験に合格し、採用される必要があります。公務員の場合は民間と異なり、既卒、職歴に関係なく年齢要件さえ満たせば新卒と同じ扱いで試験を受けることができる大卒程度試験を行っているところがほとんどです。
また、最近は大卒程度試験が受けられない年齢の方でも社会人経験があれば、経験者採用という形で中途採用試験が国家公務員や自治体で行われていますので幅広くチャンスがあります。
土木職公務員の試験内容
大卒程度(大学生を含め卒業後数年を経過した方も職歴に関係なく受けられます)の試験内容としては、高校までに習ったものが出題される教養択一試験、土木系の科目が出題される専門択一試験、専門記述試験と論文があり、試験種によって何が出題されるかが分かれています。
また、社会人経験者採用の場合は、専門科目が課されないため受験科目は減りますが、その代わりに経験者論文が課される試験種が多くなります。主な試験内容は次の通りです。
【大卒程度の試験例】
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【中途採用相当(経験者採用)の試験例】
大卒程度の公務員試験(大学生を含め卒業後数年を経過した方も職歴に関係なく受けられます)のスケジュールは次の通りです。日程さえ重複しなければ併願が可能です。国家一般職や地方上級の対策をしておくことでほぼすべての試験種の併願が可能です。
【主な大卒程度の公務員試験日程 2023年例】
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土木職公務員の難易度
主な試験種の実施状況は次の通りです。
大卒程度(新卒相当)の受験者数を最終合格者数で割った倍率で見ると2~3倍程度となっており、合格率にすると30%~60%程度の試験が多くなっています。予備校などを利用することで確実に合格を目指すことができます。
【主な大卒程度の土木職公務員の実施状況 2023年例】
社会人経験者(中途採用相当)は次の通りです。試験種によって倍率に大きく差があります。受験者数を最終合格者数で割った倍率で見ると2倍前後のところが多くなっています。こちらも予備校を利用いただくことで確実に他の受験生と差をつけることができます。
【主な経験者採用の土木職公務員の実施状況 2023年例】
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最後に土木職公務員になるために
いかがでしたか。土木職の公務員になるためには、新卒相当として扱われる試験と社会人経験のある方に向けた試験の2種類があります。
自治体ごとに試験が異なり何をすればよいかわからない、大学、大学院や仕事と両立しながら採用されるためにはどういった準備が必要なのかなど疑問点を解消いただくためにTACでは講座説明会や個別相談を実施しています。ぜひお気軽にご相談ください。
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