税理士ブログ はじめての財表理論学習法
田中 祐一郎 講師
TAC税理士講座 財務諸表論担当
みなさん、こんにちは。
いよいよ財務諸表論(財表)の理論学習が始まります。財表理論の世界を探検する気持ちで、ゆっくり進んでいきましょう。TACの理論テキストは税理士試験合格のための教材ですが、読み物としても優れています。「分かった」が増えることで、財表理論が楽しくなっていきますから、我々講師も皆さんが理解できるよう、腑に落ちたと納得してもらえるよう丁寧に解説していきます。
また、財表理論を楽しく学習していくためには、難しく考えないでシンプルに考えることが大切です。ざっくり言ったら「〇〇ということ」からスタートです。だんだんと馴染んでいきますので、それに応じて正確性を高めていきましょう。理解して、暗記するという進め方が財表理論における学習の王道です。理解の学習は楽しいですが、暗記の学習は大変です。合格のためにはその両方が必要となりますので、暗記もしっかりやっていきましょう。
それでは、理解の学習方法と暗記の学習方法をみていきます。
❶『理解』の学習方法
講義を通じて理解力を培っていきましょう。理解することを主眼におき、以下の点を意識して講義を受けましょう。
1)講義をしっかり聴こう
①講師の説明にうなずいてみる
講義に集中できます。
② 講師の話の中で新たな発見や気づきがあったらメモをとる
発見や気づきがあるから理論の学習は楽しいものとなります。また、メモをとらないとせっかくの発見を忘れてしまいます。
③ 講師の指示に従いマーカーを引く
マーカーを引くこと(色を付けること)は楽しい作業です。あとから見直した時に、そのページで重要な個所が一目瞭然となり、理解の確認を効率的に行うことができます。色の違いは記憶に残すのに役立ちます。
④ 腑に落ちないところ、聞き逃したところはすぐに質問する
分からないことが解決することで理解が深まります。逆に、時間が経つと何が分からなかったか、忘れてしまいます。
2)板書を写そう
説明文章、まとめ、体系、図表、具体例を写しながら学習することで理解が進みます。講師の板書は理解を深めてもらうため、様々な工夫が盛り込まれています。さらに、板書を写すことで筆記力が鍛えられます。そもそも理論は論述・記述試験です。筆記力が重要になります。会計用語・キーワードの漢字を正確に書くこと、読める文字を書くこと、筆記のスピードを高めることなど筆記力全般に、板書を写すこと(文章を書くこと)が役立ちます。特に、筆記スピードが上がると時間に余裕ができるため、より多くの問題にアタックできます。また、見直す時間を確保できるメリットを得られます。
❷ 『暗記』の学習方法
本来、財表理論(考え方)の試験は、暗記してきたものを答案用紙に反映させることを目的とした試験ではないのですが、本試験会場の緊張した状況の中で、時間という制約を受けながら、考えをめぐらし、キーワードをひねり出し、文章を整え、解答を作成するのは相当に大変です。それなら、あらかじめ解答例となる文章をいくつも用意して置いて、それを暗記し、解答に反映させるという方法は、受験対策としてかなり合理的な方法です。制限時間内でスラスラと解答していくためにも暗記が効果的です。
ただし、意味を全く理解していない状況では、暗記するために多大な時間が必要となり、暗記できても定着せず、すぐに忘れてしまいます。効率的な暗記を行うためにも、講義を受講し、講師の話に耳を傾け、土台となる「理解」を固めておきましょう。
代表的な暗記の学習方法をみていきます。
①たくさん書いて覚える
テキストを見ながら何度も書いてみる。そのあとテキストを見ずに書いてみる。文字数が多い場合は、区切りの良いところで分ける。区切りごとに何度か書いて、そのあとテキストを見ずに書いてみる。最後に文章全体についてテキストを見ずに書いてみる。
②テキストを読み込む
繰り返し読み込む。ひたすらブツブツつぶやく。
③そらんじる(暗唱する)
文章を何度かつぶやいたあと、そらんじる。文章が長い場合、区切りの良いところで分け、何度かつぶやいて、そらんじる。最後に文章全体をそらんじる。
以上の①から③の方法を織り交ぜながら、飽きないように進めていきましょう。
暗記作業は疲れます。休憩を入れながら行ってください。朝から晩まで暗記学習を続けると、財表理論そのものが嫌いになってしまいます。一日にたくさんやるよりも、毎日継続して少しずつ行うことをお勧めします。暗記の学習を習慣づけることができれば、日常生活の一部となり、負担を感じなくなります。そうなれば、しめたものです(その習慣は将来、税法科目の理論学習にも役立ちます)。
❸ おわりに
財表理論の本試験は、理解を問いかける問題と知識を問いかける問題が出題されます。
講義を通して理解を深め、毎日コツコツと暗記学習を繰り返す、これこそが合格への近道です。
講師も精一杯サポートしていきます。頑張っていきましょう!