税理士ブログ 女性税理士のススメ
TAC税理士講座 法人税法担当
久能 純子 講師
みなさん、こんにちは。わたしたち女性は、結婚・出産や子どもの年齢、両親との関係などによるライフステージの変化により、働き方や、希望とのギャップについて戸惑うことが多いかと思います。今回は私の経験から、“女性にとっての「税理士」という資格の魅力や、学習にあたっての心がまえ”などをお伝えしたいと思います。
私が税理士を目指したきっかけと受験について
私が学生の頃は「就職氷河期」と言われた時代でした。大学のみんなは手に職を、資格をという人が多く、私もそれにならい、経理事務に就きたいという理由で日商簿記検定2級まで取得し、希望していた経理事務に就きました。しかし3、4年経った頃、頑張る割には自分に見返りが少ない職場に、この仕事は「私」じゃなくてもいいのでは?と思いました。そこで、経理事務のその先はと考えたことから「税理士」を目指すことに決めました。
受験のセオリーから外れますが、その当時、始めたい時期にタイミングよくコースの開講あったので、短期で合格を狙える「酒税法」から勉強を始めました。「酒税法」を選んだのは、時期的なこともあったのですが、法律になじみがなく、何より暗記が大の苦手だったので、計算の配点が多い「酒税法」を選びました。受験した後、自分の答案と解答速報と見比べて絶対だめだと落ち込んでいたのですが、12月に合格だと分かり家の中を走りながら喜んだ記憶があります。
9月からは必須科目の「簿記論」と「財務諸表論」(簿財)の勉強を始めました。TACに通って勉強をしていたので、そこで同世代の友人がたくさんできました。そのときの友人とは今でも交流を持っていますが、勉強を始めて楽しいなという感情が芽生え、その翌年、簿財の2科目に受かりました。
次の年に選択必須科目の「法人税法」の勉強を始めました。「法人税法」の勉強はすごくボリュームが多く、1年では受からず2年間勉強をして「法人税法」に受かりました。2年目は、学習する際に相乗効果があるということで「法人税法」と「事業税」を並行して勉強していたのですが、「事業税」も合格して、トータルで5年間の受験で5科目合格となりました。
合格発表で自分の名前を見つけたときは、さすがにほっとしたんでしょうね、涙が一粒ぽろっと流れました。
女性税理士として良かったこと
女性税理士として良かったことは何か?と考えると、税理士は男女隔てなく同じ土俵に立てる世界です。ただ、「女性特有の」という話になると、例えば、結婚をすると家事をしなくてはならない、出産をしたら子供の面倒がある、両親や主人の両親の面倒もある。こういったことも女性としては対応しなくてはならない場面が出てくることが多いと思います。そういったときに自分のライフステージに合わせて、仕事を調整できるというのが独立開業税理士のいいところなんです。
例えば、私の子どもが小さかったときは育児をメインにして、仕事は16時半に終わらせ、保育園にダッシュしてお迎えに行ったりしていました。今も自分で仕事の分量を調節できて自分の生活リズムに合わせて仕事ができています。
また、独立開業でなくても私の受験仲間の中には、会計事務所でかなりいい時給で週3〜4日、パートとして働いている友人もいます。就職する際にも「日商簿記検定2級、3級を持っています」というよりは「税理士資格を持っています」というほうが断然条件が有利ですし、給与面でも大きく優遇されます。社会人とて、様々な待遇面でも税理士資格は大きな武器になることを実感します。
みなさんが税理士として活躍するために
クライアントから資料をもらってきてそれをまとめて、「今まで」の実績を報告することを「過去会計」といいますが、最近求められているのは「過去会計」ではなく「未来会計」です。一年後にどのような形に持っていきたいのか、売上をどのくらいにしたいのか、そのためにはどのようにしたらよいのかという「これから」のほうに重きが置かれている、つまり、コンサルティング業務が求められていると思います。その際には、自分のアンテナを広げるということももちろん大事なのですが、まずは受験勉強の内容がベースとなって、実際の案件でどうしたらよいか判断をして仕事をしていかなくてはならないんですね。
受験勉強がそのまま直接的に役立つこともあるし、間接的に役立つこともある。仕事をされながら勉強される方、または勉強に専念できる環境の方、いろいろといらっしゃるとは思いますが、まずは勉強の内容をしっかりと頭の中に入れて、自分の仕事の基礎となるところをしっかり作ってほしいです。
何かやりたい、変わりたいと思ったときが一番伸びる時期
以前ご相談にいらした方の話をご紹介したいと思います。その方は旦那様を病気で亡くした後、相続した財産で購入した不動産で貸付をするので税金計算をはじめ、いろいろ相談に乗ってほしいと私の事務所に来てくださったのですが、「不動産業者になめられたくないから」と還暦を過ぎてから宅建士の勉強を始めて、見事合格されました。さらに、「不動産に関する税金の計算の仕方が知りたい」と、簿記の勉強を始め、固定資産税まで勉強していらっしゃいました。
私はこの方にお会いして「年齢ではないんだよね、やる気なんだよね」ということをすごく感じました。
ですから、これから勉強を始めようという方もいらっしゃるかと思いますが、何かをやり始めるのに遅すぎるということはないんです。ある先輩の言葉を借りますと、「今より若い年齢はこの先絶対にない、これから先を考えたときは、今が一番若い歳なんだよ」ということなのです。
何かやりたいな、何か変えたいなと思ったときが一番伸びる時期であり、モチベーションが上がるときでもありますので、そう思ったときに始めるのが一番いいと思います。新しいことを始める、新しい資格にチャレンジするということはすごく楽しいことです。
今がんばっている、またはこれからがんばるというみなさんにはぜひ合格していただき、税理士業をする日が来ることを楽しみにしております。みなさんのこれからの未来が輝けるものになりますように、心からお祈りしております。