税理士ブログ 【簿記論】基礎マスター+上級コース
 実力テストの活用方

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TAC税理士講座 簿記論担当

淡路 幸史 講師

みなさん、こんにちは。初めての実力テストはいかがでしたでしょうか。今回は実力テストを受験していただいた皆さんに、実力テストの活用法などを紹介させていただきたいと思います。

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❶ 実力テストの出題意図

本問は、決算整理前試算表から決算整理後試算表を作成する決算整理型の総合問題でした。出題意図は次の2つになります。

①総合問題を解答することに慣れること 

本試験は120分で三問出題されます。第一問(25点)及び第二問(25点)は大学教授が作問します。こちらは近年個別問題形式での出題が多くなっています。第三問(50点)は公認会計士や税理士という実務家が作問します。今回の実力テストの決算整理型総合問題は、この実務家試験委員の作問する典型的な出題パターンになります。
合格するにはこの第三問を攻略することが求められます。そのためには、総合問題形式に慣れること、そして自分なりの解き方のスタイルを構築することが必要となります。詳細は下記❷にて述べたいと思います。

②講義第7回目までの学習項目の定着度の確認

テキストNo.1で身につけた学習内容について理解しているか、仕訳や金額算定など覚えておくべき事項を正確にインプットできているかを、問題を解答することで確認していただくことにあります。

身についた項目もあれば不十分な項目もあるはずです。実力テストを解答することで現状の学習の定着度を把握し、苦手項目を一つずつ減らしていくことが今後の課題となります。

❷ 決算整理型総合問題の解き方・集計方法

総合問題を解答するためには個々の資料を正確に読解し、必要となる仕訳を想起し、それをいかに集計して答案に解答するかが重要となります。
集計方法については一般的に次の3つが考えられます。

①仕訳を書き出して集計する方法

一つ一つ仕訳をメモし、取りまとめていく方法です。
正確性においては良いですが、ボリュームの多い問題において、時間がかかり過ぎること及びピックアップして集計する部分で、拾い漏れなどケアレスミスしやすい点がデメリットとして考えられます。

②決算整理前試算表に仕訳結果を+△で金額に記録して集計する方法

必要となる仕訳について決算整理前試算表にある科目については仕訳の結果+又は△で金額をメモし、決算整理前試算表にない科目は直接答案用紙に記入する方法です。
集計面でとても効率的に進めることができますが、例えば、一つの科目で増減項目が多数になることで試算表の金額欄に収まらずグチャグチャになり集計の際に見間違ってしまうなどのデメリットが考えられます。

③T勘定を用意して集計する方法

解答要求になっている勘定科目についてT勘定を予め計算用紙に準備して、仕訳結果を書き込み集計していく方法です。
これは上記②のデメリットをカバーする方法と言えますが、予め計算用紙に用意するため、準備に時間がかかるというデメリットが考えられます。

以上3つ集計方法を述べましたが、どれも一長一短あるため、これらを併用して解答していくことをお勧めします。

なお、本問について私は、基本的に②試算表に+△記録して集計する方法で解いていますが、増減が多い科目についてはT勘定を計算用紙等に準備して解答するようにしています。また円単位の問題など桁が大きいときにはT勘定をベースに解答するようにしています。

❸ 解答で間違いが多かった箇所・復習にあたって留意すべき点

採点する中で解答ミスが比較的多かった箇所は次の点です。

①現金

他社振出小切手について実際有高に含めている方が多かったですが、今回は先日付小切手のためこれは受取手形として取り扱います。結果として通貨のみで考える必要があります。なお、当社振出小切手600千円は銀行勘定調整の資料にある未渡小切手に相当します。“総合問題ならではのつながり”になっていることを確認してください。

②破産更生債権等

受取手形のうち「丙社振出で乙社から裏書譲渡を受けた約束手形500千円」は、丙社に対する債権になるため、「破産更生債権等」勘定に振替えてはいけない点に注意してください。トレーニング問題38に類似資料がありますので併せて復習を進めてください。

③前払費用

「「毎年」8月1日と2月1日の年2回、半年分の保険料を前払いしている」の毎年がキーワードです。前期も2月1日に半年分前払いしていることから当期首に再振替仕訳をしているため、決算整理前試算表の支払保険料800千円は12か月分+再振替の4か月分=16か月分の金額であると読まなくてはいけない点に注意してください。トレーニング問題13に類似問題がありますので併せて復習を進めてください。

その他、固定資産に関する事項や期末商品に関する事項などでミスがありました。特に固定資産に関する事項は本試験において得点源にしたい項目です。

ミスが多かった方は今一度必要となる仕訳が正確に作れるかを確認し、解答できた方も答案にスムーズに金額を記入するために、どのように集計すべきか、そのためのメモをどう書いておくべきかを分析し、前回解いた時よりも少ない時間で対処できるようにしていきましょう。

❹ 最後に

総合問題は解き方を日々練習することで少しずつ着実に力がついていきます。現時点では総合問題に慣れることが一番大切です。この実力テストを納得がいくまで反復練習して次回No.2実力テストで効果測定をしてください。この繰り返しが合格を勝ち取る最善の方法です。引き続き頑張っていきましょう!

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