税理士ブログ 日商簿記の知識が税理士「簿記論」に活かせる理由とは?

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TAC税理士講座 簿記論担当

中吉 賢一郎 講師


日商簿記検定を受験されたみなさん、おつかれさまでした。今回は、日商簿記検定での学習内容と、税理士試験の試験科目の1つである「簿記論」での学習内容の関連性について、以下の3つの観点から紹介したいと思います。

①日商簿記も税理士「簿記論」も仕訳力・転記力が重要!

「簿記は仕訳に始まり仕訳に終わる」と言われるほどに、簿記を学習していく上では仕訳力が重要です。それは日商簿記でも税理士試験でもやはり同様です。日商簿記3級・2級では、第一問で必ず仕訳問題が出題されています。「簿記論」においても近年は仕訳問題が多く出題されており、日商簿記・税理士簿記論ともに仕訳力が重要視されていると言えるでしょう。

また、仕訳知識のみにとどまらず、その「仕訳」が他の帳簿にどのように連携しているのか?という理解(すなわち転記力)もとても重要です。

例えば日商簿記(3級・2級)と税理士簿記論では、いずれにおいても「商品の受け払い」に関する資料が頻繁に登場します。つまり、みなさんが3級・2級で学習した商品有高帳に関連する知識と理解が、税理士簿記論の学習においてもそのまま有効活用できるということです。

具体的には、仕訳帳→総勘定元帳(+補助簿への記入)といった連携の理解が、税理士簿記論の学習上も非常に役立ちます。税理士簿記論の決算整理型の問題では、商品関係の修正仕訳(商品の返品等の未処理や誤処理の修正)から帳簿棚卸高の修正(商品有高帳)や実地棚卸高の修正の要・不要の判断を行う、といった内容がよく登場します。これは日商簿記検定(2級)の決算整理型の総合問題で学習した内容をベースに+αの知識を追加することで、問題に対応することが可能です。

このように日商簿記の学習で培った仕訳力・転記力にもとづく解法というのは、税理士簿記論の学習にあたりもとても良いベースとして役立ちます。

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②日商簿記も税理士「簿記論」も解答への道筋(基本的考え方)は同じ!

決算整理型の総合問題の解き方、本支店会計の総合問題の解き方、株主資本等変動計算書の作成…などの構造的な理解や解法は、日商簿記でも税理士簿記論でも基本的には同様と言えるでしょう。

つまり解答にあたっての注意点や解答への道筋(例えば、期中の未処理や誤処理を先に適正に修正しそこから決算整理へ移る、など)は、日商簿記も税理士簿記論も基本的考え方は同様になります。ただ税理士簿記論では日商簿記に比べ、処理すべき内容の難易度とボリュームが上昇してくる…とイメージしていただけるとよいかと思います。

③日商簿記で学習した論点が税理士「簿記論」でもそのまま出題される!

決算整理で登場する「現金過不足の整理」「減価償却」「費用の前払・未払」等、3級・2級で見慣れたものは、ほぼもれなく税理士簿記論の問題でも登場します。

その他にも3級では「出張旅費の精算」「固定資産の売却」「固定資産の改良・修繕」「勘定記入(転記)」など、2級では「商品売買(売上原価対立法)」「銀行勘定調整」「リース会計」「吸収合併」「外貨建取引」「その他有価証券の時価評価(税効果会計適用有り)」「国庫補助金収入と圧縮記帳」などは税理士簿記論の本試験でもよく出題される論点です。

上記の重複論点についても、日商簿記と税理士簿記論では難易度こそ異なるものの、各論点のベースとなる知識は同じです。そのため、日商簿記から税理士簿記論の学習へステップアップする場合には、ベースの知識に+αする形で学習していけることから、このようにの重複論点が多くあることは、税理士簿記論の学習にあたり大きなアドバンテージになります。

おわりに

上記の通り、日商簿記検定と税理士簿記論との関連性についてお話しさせていただきました。近年は日商簿記3級・2級の試験範囲改訂もあり、3級では個人事業主から株式会社がベースとなり、2級ではリース会計や外貨建取引等の論点が追加されるなど、より一層税理士簿記論との親和性も高くなっていると言えます。

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