どんな問題が出るのかな? 公務員試験 科目一覧と出題傾向おしえます!

公務員 試験科目一覧

公務員試験の科目は沢山あり、教養的なものから専門的なものまで千差万別です。このページでは、受験者数・採用数の多い「地方公務員上級・国家一般職(大卒)/行政事務」の試験を例に公務員試験科目について、その内容と出題傾向を解説しています。

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教養択一(基礎能力)試験科目一覧

一般知能分野

数的処理

1.数的推理

数的推理は、数学より算数のイメージを持っておくとよいでしょう。しかし、単に方程式を解くというものではなく、文章を読み込み、そこから方程式を作っていくことが求められ、この部分に多くの時間を割いて学習していかなければなりません。また、やや数学的な内容として、場合の数、確率、図形などの内容も出題されます。特に、確率、図形は、いろいろな試験種で、少なくとも1題ずつは出題されているのが現状です。

2.判断推理

判断推理は、言葉のパズルというイメージを持っておくとよいでしょう。複数の条件を組立てて、確実にいえることを判断していきます。具体的には、命題、対応、順序、位置などが挙げられます。また、複数人の発言をもとに嘘を言っている人を決めるなどの嘘つき問題なども有名です。一方で、集合や数量推理のような数値を伴う問題もあります。

3.空間把握

空間把握は、図形の問題です。長さ、面積などを求めるケースもありますが、多くは、図形の形状、見え方、個数などと求める内容は単純です。しかし、見えていない部分を判断することや実際に折ったり、切ったりする操作が伴い、平面上での確認は難しいです。想像で解けるなら一番よいのでしょうが、なかなかそうはいかない問題が多く、そのために、他の分野以上に、解き方には様々なテクニックが必要となります。

4.資料解釈

資料解釈は、統計資料を読み、数値計算をすることで正解肢を見つけていく問題です。数値の判断は、殆どが、「大小を比べる」、「ある値を超えるか超えないか」であり、正確な計算よりは、大まかに計算して判断することが求められます。資料の種類もさまざまあり、実数、指数、総量と構成比、増加率などを扱ったものがあり、さまざまな資料に対応しておく必要があります。

文章理解

1.現代文

現代文は、600字~1200字程度の文章の読解に関する問題が出題されます。一般的な長文読解に加えて、空欄補充や文章整序なども出題されます。出題数が多いので、まとまった文章を2~3分で正確にいくつも読みこなす力を養うことが重要です。そのためにはなるべく多くの問題を解き、文章を読むことに慣れましょう。一度解いたことのある問題を2~3回繰り返し解くことも効果的です。

2.英文

英文は、200語~500語程度の読解問題が中心に出題されます。難しい単語や細かな文法にはこだわらず、文章全体の流れや、選択肢と関わる本文の箇所の内容をしっかり読めるようにしましょう。大学入試初級~中級の単語をマスターすることを目標とするとよいです。英語が苦手な人は、短い本文の問題から少しずつ始めて基礎力を身につけてから、長い本文の問題に挑戦するとよいでしょう。

3.古文

古文は、県庁や市役所の試験の一部で出題されます。150字~200字程度の古文の読解問題が中心です。高校の古文の復習で十分対応できます。細かな古典文法の知識が問われることはないので、まずは基本的な古語をマスターしましょう。特に、古今異義語や紛らわしい助動詞の用法などの理解が重要です。有名な古典作品について、あらすじや作品の概要を知っておくこともよい対策になります。

一般知識分野

人文科学

1.世界史

世界史は、中学や高校で学んだ内容が出題され、センター試験の難易度が一つの目安となるでしょう。重箱の隅をつつくようなマイナーな語句に拘泥せず、歴史の大きな流れ・時代変化をきちんと把握することが重要でしょう。そして、時代の転換点となる出来事が起こった背景(原因)とそれにより各国がどのような対策・行動をとったのかという結果を把握することが求められます。

2.日本史

日本史は、世界史同様中学や高校で学んだ内容が出題されます。出題範囲が「日本」に限定されるため、各時代の出来事に対する原因と結果、また、統治制度や社会制度、文化史など問われる内容が幅広く、法制度や土地制度、外交など時代横断的なテーマ史が出題されるのも特徴的です。そのため世界史以上に歴史の大きな流れ・時代変化を捉える事が必要になります。

3.地理

地理は、出題範囲が広いが、一方で体系的な学問であるため、覚えるよりもきちんとした「地」の「理(ことわり)」を理解する事が正答への近道でしょう。出題内容は、気候・地形を中心とする自然地理と、農業・鉱工業・民族・宗教・貿易・歴史などの人文地理と各国・地域の地理的な事象からなる地誌学(自然地理と人文地理の総合みたいなもの)が出題されます。

4.思想

思想は、世界の構成原理や人はどう生きるべきか、望ましい社会とは何か、そしてそれをどう構築するのかなどを探求する学問です。そのため、それら一つ一つを本気で理解しようとすると非常に労力がかかります。しかし、公務員試験では、その出題内容は思想家とその思想を現す象徴的な言葉(キーワード)の一致を見ることで正解を求めることが可能であり、それは過去問を解くことで身につくでしょう。

5.文学・芸術

文学・芸術は、日本文学・外国文学・美術・芸術・音楽・能や歌舞伎など範囲は広いですが、作品内容の知識というより、著者・芸術家と著作物や作品の組合せが主であるので、過去問で出題された内容を繰り返すことで効果的に得点につなげる事が可能でしょう。学習の進め方として、世界史や日本史の学習のついでにまとめることで歴史科目との相乗効果と高める方法や、一方でただひたすら暗記と割り切ってしまうのならば、直前期に詰め込むという方法も可能な科目です。高校時代に使用した文学史の教科書や、絵画作品などは 芸術の教科書などで確認すると印象に残り効果的でしょう。

自然科学

1.数学

中学~高校の基本的な問題が出題されます。しかし、近年、数学の出題そのものが無い試験種や自治体も多くなってきています。そのため、数的処理・物理・経済など他分野と関わる分野を重点的に学び、数学以外の科目の得点を失わないように学習しておくと良いでしょう。もちろん、易しい問題であれば時間をかけずに解くことができるようになるはずですので、そこで得点することもできるでしょう。

2.物理

中学~高校の基本的な問題が出題されます。計算問題が出題されることもあれば、複合的な知識問題が出題されることもあり、各単元の理解が重要になってきます。公式を覚えることは必須ですが、その意味や使い方、知識のつながりを理解して問題を解くことが要求されるので、その点を意識して学習を進めて行くと良いでしょう。そうすれば、大半の問題は解くことが可能になります。

3.化学

中学理科の学習を前提とした高校の化学全般から出題されます。化学は理論化学、無機化学、有機化学の3つに大別されますが、有機化学を出題する試験種や自治体は多くはなく、出題された場合の正答率は低くなります。そのため、理論化学、無機化学を中心に学習を進めて行くと良いでしょう。高等学校時代に化学を学習した経験がある人にとっては得点源とすることができる科目です。

4.生物

中学理科の学習を前提とした高校の生物全般から出題されます。しかし、出題には偏りがあり、細胞に関する出題、動物(特に人体)に関する出題が多く、植物に関する出題は多くはありません。ただ、他の科目と比較して学習経験がある人が多いためか、高度な内容の出題もあります。知識量がものをいう科目ですので、記憶の時間を確保しながら学習を進めて行くと良いでしょう。

5.地学

特別区では2問出題されますが、その他の試験種では出題されて1問で、出題がない試験種もあります。受験予定の試験種の出題要綱を確認して、どの程度出題されるのかを確認しましょう。受験予定の試験種で出題がない所が多い場合は、優先度を下げることも必要です。一方、他の科目と比較して、内容自体も中学内容のものも多く出題されており、得点しやすい科目ですので、記憶の時間を確保しながら学習を進めて行くと良いでしょう。

社会科学

1.法律

社会科学の法律では(1)憲法(2)基礎法学(3)その他の法律が出題されます。(1)憲法の内容は人権と統治(政治システム)です。人権では判例、統治では条文が出題されています。(2)基礎法学の内容は、法律の分類や解釈等です。(3)その他の法律では、裁判員制度や検察審査会といった司法制度改革にちなんだ出題が多いです。今後は民法改正も要注意です。ただ、出題数が多いのは圧倒的に(1)憲法です。憲法を中心に学習するようにしましょう。

2.政治

社会科学の政治では、各国の政治制度、選挙制度、国際政治などが中心的に出題されます。各国の政治制度では特に議院内閣制と大統領制の違いについて、選挙制度では日本の選挙や投票制度について、国際政治では国連の組織や主要な国際条約について出題されます。多数の時事問題が出題されますので、日々のニュースをおさえておくことも重要になります。

3.経済

社会科学の経済は、ミクロ経済学・マクロ経済学・財政学・経済史が出題されます。一部専門科目で出題されるような内容が散見されますが、基本的には高校で学ぶ「政治経済」の経済分野をイメージすると良いでしょう。また、時事的な要素も問われることもありますので、国際機関や国際会議など経済ニュースについては関心をもってフォローしましょう。

4.社会

社会科学の社会では、社会保障、労働問題、環境問題、消費者問題などが中心的に出題されます。対象とする範囲が非常に広く、制度の改変も多い分野であるため、日々のニュースをおさえておくことが重要となります。特に社会保障、労働問題など現代日本の重要な政策課題について中心的に学習しておくとよいでしょう。また論文対策としても役立つ内容が多い分野でもあります。

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専門択一科目一覧

法律系

1.憲法

憲法は、国家権力のルールを定めています。そして、(1)人権と(2)統治(政治システム)から出題されます。出題数は、およそ半々です。出題内容は、(1)人権では最高裁判例、(2)統治(政治システム)では憲法の条文からの出題が中心です。憲法は、政治経済等でなじみのある科目であり、とっつきやすい科目です。分量も、民法や行政法に比べると少なくて済みます。また、過去問が繰り返し出題されていますので、過去問演習をしっかりこなせば、高得点が期待できます。合格者にとって憲法は得意科目にしてあたり前といっても過言でありません。是非、得意科目にしましょう。

2.民法

民法は、市民の法として、財産と家族に関するルールを定めています。そして、(1)財産法(総則・物権・債権)(2)家族法(親族・相続)から出題されます。出題数は、(1)財産法から8割程度、(2)家族法から2割程度で、(1)財産法が圧倒的に出題されます。出題内容としては、条文・判例からの出題が中心となります。民法は、財産と家族に関するルールであり、日常的なものでもあり、具体的なイメージはつかみやすいといえます。しかし、1044条も条文があることが示す通り、その膨大な分量が、立ちはだかります。そのため、公務員試験の中でも、もっとも対策の難しい科目の一つと言われます。しかし、合格者も多くが不得意科目としているわけですから、悲観する必要はありません。基本的な条文・判例を中心に学習すれば十分合格ラインに達しますので、あまり瑣末な条文・判例にとらわれないようにしましょう。

3.行政法

行政法は、行政に関するルールを定めています。しかし、「行政法」という名の法律はありません。行政に関する法律全般を、行政法として学習します。そして、(1)組織法(2)作用法(3)救済法から出題されます。出題数は(1)組織法から1割程度、(2)作用法から4割程度、(3)救済法から5割程度の出題です。出題内容としては、(1)行政法の概念・用語(2)条文(3)判例の出題が中心です。行政法は、行政に関するルールなので、なじみの薄い法律であり、具体的イメージがつかみにくいのが特徴です。また、行政に関する法律全般を学者が整理分類しているので、理論的な側面が強い科目でもあります。そのため、苦手にする受験生が比較的多い科目です。しかし、過去問の焼き直しが非常によく出るので、過去問をしっかりこなせば、高得点が期待できます。過去問中心の学習で、得意科目になるよう頑張りましょう。

4.刑法

刑法は、犯罪と刑罰に関するルールです。そして、(1)総論:犯罪の一般的成立要件(2)各論:殺人罪等の個別の犯罪類型について定めています。(1)総論(2)各論からの出題数は、およそ半々です。出題内容としては、判例・条文からの出題が中心です。刑法は、犯罪についてのルールなので、ドラマや映画等でおなじみであり、具体的イメージはつかみやすい法律です。しかし、非常に理論的な科目であり、学説が倒錯し、さらに分量も多いため、攻略が難しい法律でもあります。そこで、理論的な問題にはあまり深入りせずに、判例・条文中心の学習で、効率的な学習を心がけましょう。

5.労働法

労働法は、労働者と使用者(会社)に関するルールです。(1)個別的労働関係と(2)集団的労働関係から出題されます。出題数は、(1)個別的労働関係からの出題が比較的多いです。出題内容としては、条文からの出題が中心で、判例の出題もあります。労働法は、アルバイトや働いた経験があれば、具体的イメージはつかみやすい法律です。しかも、単純記憶で解ける出題が多いので、比較的攻略しやすい科目です。マイナー科目は、捨て科目にしてしまいがちですが、しっかり得点源にすべき科目といえます。

6.商法

商法は、商人についてのルールです。(1)商法総則(2)会社法(3)手形小切手法から出題されます。出題数は、(2)会社法からの出題が圧倒的に多いです。出題内容としては、条文からの出題が中心です。商法は、なじみの薄い法律でもあり、具体的なイメージをつかみずらい法律です。しかも、条文数が膨大であり、攻略の難しい科目です。マイナー科目でもありますので、あまり入れ込まずに、頻出分野に絞り込んで学習すべき科目といえます。

経済系

1.経済原論・経済政策 (ミクロ経済学・マクロ経済学)

ミクロ経済学分野は生産者理論、消費者理論、市場理論、貿易論等からなり、マクロ経済学分野は、国民経済計算(統計)、財市場理論、貨幣市場理論、労働市場理論、経済成長論等から構成されています。概ね基本的な知識・理解を問うものや、定型的な計算問題が出題されているので、学習方針としては、経済用語の定義を理解することと、計算問題の繰り返し演習を行うことで解法を整理しておくことが重要となります。

2.財政学

財政学は、国家・地方の税財政制度の内容や時事データに関する基本的な知識・理解を問うもの、財政にまつわる諸学説・理論に関する問題が出題されます。学習方針としては、基本的な税・財政制度、時事データ、諸学説・理論を整理することが大事なのですが、むやみに内容を暗記するのではなく、時代背景やデータの趨勢(傾向)をとらえて整理するように心がけることで効率よく得点できるようになります。

3.経済事情

経済事情は白書等で掲載されているマクロ指標、トピック等が中心に出題されています。対策としては時代背景やデータの趨勢(傾向)をとらえて整理するように心がけることで効率よく得点できるようになります。

4.経済史

経済史は、概ね第2次大戦以降の戦後復興期からバブル経済崩壊までの内容が出題され、国際通貨体制や為替相場制度の変遷、高度成長期の景気拡大要因、プラザ合意以降の経済・財政情勢等が頻出テーマとなっています。対策としては時代背景やデータの趨勢(傾向)をとらえて整理するように心がけることで効率よく得点できるようになります。

政治系

1.政治学

政治学では、(1)各国の政治制度、(2)政治思想、(3)政治過程(選挙、政党、利益団体)などの分野が主に出題されます。政治現象全体を対象とする学問であるため、範囲も広く覚えるべき事項が非常に多いことが特徴です。また、いわゆる政治系科目の基礎となる科目であり、教養科目の歴史や思想とも重複する部分も多くあります。したがって、勘所をつかみ、効率よく暗記を進めていくことが重要になります。

2.行政学

行政学とは、簡単に言えば「行政組織の運営方法」について研究する学問であり、国や地方の行政組織の実態やその理論などについて幅広く出題されます。政治学よりは暗記すべき事項は少なくなりますが、行政の最近の動向や変化について時事的な観点からの出題も多く見られるため、時事対策などと併せて学習しておくことが重要になります。

3.社会学

社会学では、社会学者の学説(社会学説史)と、社会変動・社会集団・家族・都市等の分野ごとの学説、社会調査法等が出題されます。学者や分野ごとの学説については人名やキーワード等をたくさん覚えることが必要になりますが、それぞれの学説の意味・理由を考えつつ、重複する部分が多い政治学・行政学・思想と併せて学習すると効率よく覚えられます。

4.社会政策

社会政策は、社会問題(特に貧困問題)の解決を志向する学問であり、労働経済と社会保障に大別されます。社会学・財政学・労働法・経営学・政治学等、様々な科目と関連しているため、他の専門科目の学習後に取り組んだ方が理解しやすいです。「社会政策」という題目での出題は地方上級試験だけですが、実際は様々な科目で社会政策の内容は出題されていますし、論文対策にもつながります。

5.国際関係

国際関係は範囲が広く難しいと思われています。近代・現代における国際政治史や、日本外交史、国際経済国際機構、条約、国際関係理論、地域紛争が主な出題範囲なので多岐に渡るように見えます。もともと様々な分野が集まった学際的な分野ですから当然なのですが、そこまで心配することはありません。まずは人文科学の知識を基礎に、国内社会とは違う国際社会の仕組みを理解することが重要です。

6.社会事情

社会事情では、出題範囲が明確な経済事情・国際事情以外の時事的な内容を扱います。たとえば、司法・政治行政・科学技術・防災・エネルギー・環境・消費者・農林漁業・労働経済・社会保障・教育等です。これらの知識を網羅するのは困難ですが、勘所を押さえて学習すれば対応できることが多いですし、その出来事や数値自体を知らなくても解けるように出題されていることもあります。

その他

1.経営学

経営学では、経営管理学説、経営組織論、経営戦略論などが出題されます。出題内容としては平易で、内容理解の難易度が高い科目ではありません。しかし、学習範囲が多岐にわたるため、薄く広いタイプの学習が必要な科目です。研究者名と内容との対応や経営用語の意義を覚えていく必要があります。

2.会計学

会計学では、会計基準に関する問題が出題されます。簿記の仕訳問題や計算問題が出題されることもあります。会計学を理解する上では、前提として、簿記3級レベルの知識が必要となります。会計学は、学習には時間がかかりますが、出題範囲が明確で、過去問と類似の問題が多いので、まじめに学習すれば比較的得点はしやすい科目といえます。

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