特集
2022年度 国家総合職
政治・国際区分 1位合格者インタビュー Part2
2022年度国家総合職講座を受講し、政治・国際区分1位で合格、外務省に内定が決まった山本愛さん(東京大学公共政策大学院 在学中合格)にインタビューを行いました。Part2は、具体的な1日の学習スケジュールやおススメの学習法など受験に役立つ情報が満載です。最後までぜひご覧ください。
学習時の一日の過ごし方
時期にもよりますが、1週間のうち約35時間を学習時間に充てました。午前中は、基礎能力試験の対策や新聞記事の整理、政策に関する勉強を、午後からは、専門試験の対策をしていました。大学の授業等、予定がある日には、あまり時間が取れず、新聞記事の整理とTACの受講程度にとどめていました。1日に、3~5つのタスクを決めておいて、その半分は必ずやりきり、できなかった分は週末に設定している予備日にまわすという感覚で、無理せず長く集中力が保てるような過ごし方を意識していました。
オススメの学習方法
多くの場合、自分自身のタイプを分析した上で、配点等を考慮しながら、各科目の優先順位を決めることになると思います。
私の場合、幼小中高一貫校の出身で、大学も推薦入試(小論文と面接)だったので、受験勉強をしたことがなく、その上、基礎能力試験にはほとんど自信がないタイプでした。そこで、教養試験は半分程度得点できればよいと割り切り、多くの時間を専門試験対策にかけました。以下では、専門試験に向けて行った対策を、オススメの勉強方法としてご紹介したいと思います。
対策をするにあたっては、予備校の教材は、基本書のエッセンスを体系的にまとめ、学習手順を示したものだと捉えたうえで、教材以外にも多くの文献に目を通すようにしました。主要科目については、各科目、及び科目内のテーマごとに、基本書や関連書籍 5,6 冊程度を何度も読み込みました。また、日頃から、新聞や新書、シンクタンクや省庁の資料などに意識的に触れておくようにしました。一つの科目や分野について、様々な視点からアプローチする経験を少しずつ増やすことで、知識を螺旋状に積み上げ、膨大な範囲を意図的に覚えるというより、体に慣らせていく、というイメージで取り組むと、定着しやすいと思います。
苦手科目とその攻略方法
1)苦手科目を得意科目で補える方法を考えること、2)苦手科目に取り組むハードルを下げること、かと思います。
例えば、数的処理に苦戦している場合には、一次試験合格に向けて最低何問正解できればよいか、それ以外の正答数はどこで確保できるかを考えます。そのうえで、最低目標分は正解できるように、演習の箇所を絞って、少しずつこなしていきます。毎日3問だけ解く、であったり、間違えてしまっても解法が理解できればよい、であったり、ラフに考えて、自分自身の小さな一歩一歩を大切にし続ければ、攻略できる日がやって来ます。
暗記科目の学習方法
1)全体的に覚えなければいけない量を減らすこと、2)インプットとアウトプットを何度も繰り返すこと、3)様々なアプローチ方法でインプットすること、かと思います。
限られた時間と労力をいかに効率よく割くかを考えれば、目の前の教材を隅々まで覚えようとするのには無理があります。このテーマは、この箇所だけを覚えておいて、後は論理的に引き出せば自ずと全体が分かる、であったり、よく入れ替えて覚えてしまう人物名と業績についてはどちらか一方だけは確実にしておこう、であったり、出来るだけ覚えなければならない量を減らす方向で勉強をすると暗記しやすいと思います。そして、過去問等で何度もやりこみます。この時、暗記したい内容について書かれている過去問や基本書、関連書籍等、色々な資料に目を通し、様々なアプローチ方法で暗記したい内容に触れれば効果的な演習が出来ると思います。
試験勉強中に生じる不安な気持ちとどう戦っていたか
不安には大きく分けて2種類ほどあると思います。一つ目は、周りの噂話等、確証のない情報に惑わされて感じる余計な不安、二つ目は、机に向かうこの日々は報われるのだろうかという、内定するまでぬぐえない不安です。私は、これらの不安に、日記を書いて不安を言語化し客観視すること、試験勉強とは全く異なる空間に身を置いて気を紛らわすこと、で対処していました。特に、不安の言語化は、余計な不安を削ぐ意味でも、ぬぐえない不安をいなす意味でも有用だと思います。また、読書を通して、様々な表現を仕入れることも効果的でした。私は、読書を通して出会った言葉を、スマホのメモに入れていて、不安になったら、目を通すようにしていました。なかでも、気に入っていた言葉は、「万事相働きて益となす」、「力は弱さの中で完全に現れる」といった言葉です。不安に押しつぶされそうになった時には、これらの言葉をこっそりつぶやいて、不安という感情さえも、自分自身の糧となると言い聞かせ、目の前の課題に取り組んでいました。
いろいろな感情を一つ一つ受け止めて対処し続けたことで、本番には、「もうこれ以上はどうにもならない」と前向きな諦めがつきました。
省庁の説明会・インターンに行った回数
志望省庁に関しては、学部3年時にインターンに行き、それ以降、説明会には出来るだけ参加していました。23年卒向けの説明会には20回くらい参加したと思います。情報収集の観点からして、省庁の役割や政策、人を知る意味で、参加することのメリットは大きいと感じています。説明会には、特に「外交官とは何か」を考える目的で参加していました。様々な職務の局面で、何を考えどう動くのか、どのような資質がカギとなるのか、お話しくださる方々のご経験を、分解し概念化して捉えた上で、これらの情報を官庁訪問対策に反映させていました。最近はオンラインでの実施もありますので、無理のない程度に参加することは、ご検討されてみても良いと思います。
公開模試の結果と分析方法
一次試験に向けて2回実施される公開模試までに、全ての対策を仕上げることはなかなか難しいと感じていました。そこで、1回の公開模試につき、それぞれ仕上げる範囲を各科目1/2に分けて取り組むことにしました。敢えて分けることで、取り組んでも尚できない部分と取り組んでいないからできない部分とを区別できるので、効率的に学習できます。なお、それぞれの公開模試に応じて分割して対策するとはいえ、公開模試前日には、その公開模試の対策としては中心に据えないことにしたもう片方の範囲についてもざっと目を通すようにしていました。そうすることで、公開模試2回分共に過去5年間の合格点を上回る結果が出たので、一喜一憂することなく落ち着いて対策を続けることができました。
二次試験に向けた公開模試対策は、正直間に合いませんでした。まだまだ論証も覚えきれておらず、若干焦ったのを覚えています。少なくとも、この公開模試では問題となっている論点を一通り挙げられて、確実に覚えたい論証は暗記できているくらいにまで仕上げておけば安心だと思います。
最後に、国家総合職を目指す方へのメッセージを
国家総合職を目指す道のりでは、筆記試験対策に官庁訪問対策と、精神的にも労力的にもそれなりに多くを割くことが想定されます。また、コツコツと準備してきたとしても、時には、心痛い思いをして歩みが進まないこともあると思います。それでも冷静に、自分自身の立ち位置と目標との間にある距離感や方向性の違いを捉えて、試行錯誤しつつ戦略を立て実行し続ければ、筆記試験も官庁訪問もその道筋が徐々に明らかになっていきます。
就職活動中、弱気になる自分に何度も言い聞かせていた言葉が、「万事、相働きて益となる」でした。 試験対策が思うように進まなかったり、何かとやらかしている気がして落ち込んだり…。「万事」という「万事」が上手くいかないことばかりだった時、それでも、「万事」が、未来の自分の糧になると信じて、多くの方々に支えられつつ、目の前の課題に、出来ることからひとつひとつ取り組んでいきました。
今後、目指す中で、悩むことがあっても、ご自分の未来を信頼して、歩みを進めていただければと思います。人間的な(あるいは、日本社会の一般的な就職活動の)時間の流れから取り残されているような心地がしても、焦らず、自分の歩幅で着実に踏みしめて歩んだ方が断然強いです。いざ、勝負に出る時、後ろに続く自分自身の濃く深い足跡の存在が支えになるはずです。 心より応援しています。
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