弁理士合格体験記|堀 敬香 さん

自分で限界を決めない

堀 敬香 さん

堀 敬香さん(33歳)
慶応義塾大学大学院 社会学研究科社会学専攻 修士課程 修了

一発合格

DATA BANK

受験回数 1回
受講講座 1年本科生
その他 民法トータルパック・口述模試
得意科目とその理由 意匠法
独特の制度があって覚えやすかったため
不得意科目とその理由 著作権法
細かい内容が多かったため
ズバリ合格の秘訣 自分に厳しく諦めないこと
1日の平均学習時間 入門期~基礎期 平日5時間 休日3時間
直前期 平日4.5時間 休日8時間
スケジュール
弁理士を目指した理由

 特許事務所で事務をしているため、知財検定の2級を受けました。なかなか合格できなかったのですが、合格した後に、次は1級を目指そうかと考え、その時に初めて弁理士試験に挑戦しようかと思ったのがきっかけです。知財検定の1級もとても難しいと思いますが、受かっても自己満足で終わってしまうかもしれない、知財の世界で生きていくなら弁理士試験に挑戦するのがいいのではないかと思いました。元同僚や信頼している事務所の弁理士に相談したり話を聞いたりして、改めて難しい試験だと思いましたが、幸い、夫も、私の両親も子育て中であるにもかかわらず資格挑戦に好意的だったのが後押しとなり、目指すことに決めました。
また、合格して弁理士として仕事ができるようになれば、いずれ在宅勤務も可能になるかもしれないということも、子供がいる身としてはとても魅力的でした。

TACの講師、教材、カリキュラムで良かった点

【カリキュラム】
最初に基本講義でおおまかな四法の内容を流した後に短答⇔論文ハイブリッド講義で細かくやり、その後に論文解法マスター講義が始まるという流れは非常に良かったと思います。基本講義を受けているから短答⇔論文ハイブリッド講義で細かくやるときも内容が頭に入りやすかったし、短答⇔論文ハイブリッド講義を終えた後なので論文の講義でも、最初から書けないにしてもどういうことが必要なのか、手掛かりをつかみやすかったです。

【講師】
・小松先生:論文が突破できたのは小松先生のおかげです。講義後の質疑応答では、先生の時間の許す限り受講生に付き合ってくださり、受講生を受からせたいという小松先生の熱意がすごく伝わってきました。講義も受講生がモチベーションを維持できるように考え抜かれた雑談を随所にちりばめてくださっており、面白かったです。オリジナルの語呂もとても役に立ちました。
短答⇔論文ハイブリッドテキストは、短答・論文双方を意識して作られており、網羅的に勉強することができました。講義中、小松先生は、条文の重要箇所を覚えるよう、色分けして必要最低限に線を引くよう指示をくださいました。そして条文の説明や趣旨等については、論文でインプットが必要な箇所について別の色で線を引くよう指示をくださり、復習時に読み返すことで、短答だけでなく、論文に必要な趣旨を含め包括的に学ぶことができました。

・松宮先生:真夏の松宮ゼミから口述直前期まで大変お世話になりました。毎日のように質問に答えてくださり本当に感謝の気持ちでいっぱいです。あまりにも質問をしすぎて、先生にメールをしない日はもやもやするようになりました。質問の答え方もとても的確で、深く理解する必要があるのかそこまで求められていない=脱線していく恐れがあるのかよくわかってありがたかったです。
過去問の解き方もとても参考になり(先生に教わったのは論文が終わった後だったのですが・・・)、もし今年だめだったら松宮ゼミを絶対に受けようと思っていました。また、ゼミで配布された先生オリジナルの問答集はお守りで、口述の待合室でも読み返しました。最後の最後まで面倒をみてくださりました。

・田畑先生:民法は田畑先生の講義のみで合格できました。民法合格テキストは、弁理士試験の民法合格に必要なことに絞って、必要なこと全てが網羅されていたように感じます。講義では、随時場面を板書して説明してくださったのでイメージしやすかったです。最初はこれだけで大丈夫なのか不安でいっぱいでしたが、結果的に合格できてよかったです。

モチベーション維持の方法

 受からなかった場合の自分の生活がどうなるか想像して、このままではだめだと自分を奮い立たせました。小松先生もおっしゃっていましたが、世の中には勉強したくてもできない人がたくさんいます。屋根のある家で寝ることができない子供たちや、紛争・内戦下で暮らしている人たちもたくさんいます。そんな中で、自分は自ら勉強することを選択して勉強をすることができる、これが当たり前のことではなく、どれだけありがたいことなのかと頻繁に考えていました。
また、高校時代の友人が別の資格ですが、育休中に資格取得に挑戦したと言っていました。育休中にこうやって努力している人がいるんだということが衝撃で、子供がいるからというのは自分の言い訳にしかならないということを身をもって示してくれた友人です。また、事務所の女性弁理士が更なる活躍の場を求め、ドイツへ旅立ちました。更に、以前大変お世話になった女性が、大臣秘書官として家に帰れない日が続くような想像できない激務を勤められました。こうやって、大変な状況の中でも挑戦し続ける女性がまわりにいたことが精神的な支えになり、辛い時は彼女たちのことも思い出しました。
更に、私はラグビー好きなので、オールブラックスのスーパースター・ダン・カーターの言葉"hard work pays off”や、ジャパンの大野均選手の「灰になってもまだ燃える」という言葉もよく思い出し、来年のW杯を心から楽しむために今年頑張ろうと思いました。
モチベーション維持のために、今しかできなことはするようにしました。例えば、出産前の友人に会う(産後はなかなか会いにくい)、安室奈美恵さんの引退ライブに行く(もう見られない)、子供の行事(その時はもう帰ってこない)などです。いい刺激になったと思います。

オリジナル学習法

 オリジナル学習法は特に特別なことはしませんでした。短答は、過去問を何度も何度も回しました。小松先生のアドバイスに従い、短答で聞かれた条文の箇所を四法対照条文にチェックを入れ、条文を読み返したときに一目で何度も聞かれている条文がわかるようにしました。そして短答の事例問題を論文的に、根拠条文を挙げて論文的に解説して解く練習もしました。
出勤時に混雑した電車の中で勉強できるように、iPhoneのボイスメモに条文や趣旨を録音して、家を出た瞬間から聞いて時間を有効活用しました。また、単語カードに趣旨を書きこみ、車内やお昼休みに利用しました。

活用したフォロー制度

【スクーリング制度】
選択肢の中から正解を選ぶ短答とは違い、論文は自分で文章を書かなければならないので、論文解法マスター講義はできるだけ教室で受けようと思っていました。最初は同じ言葉を私が知っていた論文の書き方とは全然違うので論文の書き方にとても戸惑いました。講義の後に先生に直接質問することができ、他の受講生がどのような疑問を持っているのか知ることができ、参考になりました。その後は、1日中TACで講義を受けるのは家庭の事情で難しかったため、短答の答練を校舎で受けるようにしました。先生が、受講生が間違えた問題を中心に解説をしてくれたため、事前収録のweb講義と異なり、疑問をその場で解決することができてとても助かりました。

直前期の学習方法

【短答前】
直前期はちょうど仕事に復帰したばかりで(5/9に復帰)部署も変わってしまったので、新しい仕事のある生活に慣れるのに必死でした。毎日全科目に触れることを意識して、平日で勉強できる時間のうち、特実2時間、意匠30分、商標1時間、条約1時間、不著30分を目安に考えて過去問や条文・テキストの読み込みをしました。今までつけていた勉強時間の記録も、どんなに頑張っても平日5時間以上できることはなく、それがストレスになってしまうので、復帰と同時にやめました。

【論文必須前】
趣旨は覚えていないと書けないので、趣旨のインプットに力を入れました。TACの論文解法マスター補助レジュメは薄くて軽いので、通勤時間に読むには最適でした。

【論文選択前】
必須科目が終わった翌日から、田畑先生の講義を2倍速で1日に2コマ朝、通勤時間を利用してテキストを見ながら2周しました。先生がAランク以上つけたところは特に重点的に読みました。また、聞き終わったらファイナルチェックの問題の先生の答案を何度も読みました。

【口述前】
論文が終わってから、真夏の松宮ゼミの受講を通してゼミ仲間と問答をし始めました。論文発表後から口述までは土曜日はTACで受験仲間と問答をしたり、自習室でインプットに励み、朝8時から19時までTAC近辺で勉強をしました。通勤の電車では、小さな法文集を読みました。

これから受験する人へのアドバイス

 勉強しようと思っても時間の確保がうまくいかなかったり、自分の気分が乗らなかったり、辛いことはたくさんあると思います。気分が乗らないときは、集中力も欠けるので「こんな日もある」と言い聞かせてその状況を受け入れるしかありません。でもみんなそういう日はあるから大丈夫です。なぜこの資格が欲しいのか、真剣に向き合えって考え、試験の日に自分はできることをやりきった、これ以上はできなかったという気持ちで迎えられるよう努力し続けることが大切だと思います。頑張ってください!

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