合格者が残した『合格までの道のり』 【家庭裁判所調査官補】人物(面接)試験対策、面接内容について
私は家庭裁判所調査官補の試験に合格し、内定を頂きました。試験合格の最終関門は人物試験、つまり面接になりますが、家裁の場合は1回の集団討論と、2回の個別面接が実施されます。ここではその詳細について、私が実際に受けて感じたことも含めてご紹介したいと思います。
①集団討論
集団討論は人物試験の最初に行われます。3~5人くらいの受験者で、1つのテーマについて30分ほど話し合います(私のときは3人でした)。
試験官は3人いますが、討論中は特に口出しされず、黙って討論の様子を見守っています。ちなみに、この3人は後述する1回目の個別面接の試験官と同じ人たちです。
集団討論を始める前には、試験官から以下のような説明があります。
- 机上の紙に討論のテーマが書いてあるので、開始の合図でめくって確認する
- 開始後はテーマに対する自分の意見をまとめる時間を5分与えられる
- 机上の紙や鉛筆を使ってメモを取っても良い
- 5分経ったら合図があるので、そこから30分、時間いっぱい討論を続ける
- 結論を出す必要はない
- 司会を置いてはいけない
ここで特徴的なのは、やはり「結論を出す必要はない」ということと、「司会を置いてはいけない」ということかと思います。他の自治体や民間企業の集団討論では、司会やタイムキーパー等の役割を決め、出た意見をまとめて最後に発表するという流れが一般的なイメージですが、家裁では結論を出さなくても大丈夫なので、その点は焦らずのびのびと話し合いができるかもしれません。一方、司会を明確に決めてはいけないので、一人一人の受験者が積極的に発言したり、あまり話せていない受験者にも話を振るといった働きかけを意識したりする必要があるという点は、人によっては少し大変な部分かもしれません。
また、30分間討論を続けるというのもなかなか大変でした。幸い私のときには最後まで話し合いが途切れることはありませんでしたが、もし無言の時間が続いてしまうと、試験官に評価してもらえるポイントも少なくなりますし、それが試験合格の足を引っ張ってしまう恐れもあります。そのような事態を防ぐためには、討論前の5分でテーマに対する意見をできるだけ多く用意したり、一人一人の意見に対して深堀りをしたりすることが重要だと感じました。
私自身は大学3・4年時のゼミやTACの集団討論練習で毎週話し合いをしていたので、その経験を活かして集団討論でも落ち着いて話し合いを進めることができました。あまりそういう経験が無いという人は、話し合いができる環境に意識的に身を置いたり、試験前に練習したりすることをお勧めします。
なお、テーマについては、非常に簡単な内容という訳でもありませんが、専門的で高度なテーマでもありませんので、知識がなくて発言できないかも…という心配はいらないと思います。
②個別面接(1回目)
集団討論が終わると、1度退室してから1人ずつ集団討論と同じ部屋に呼ばれ、集団討論と同じ3人の試験官による個別面接が始まります。時間は15~30分で、私のときの試験官はやや年配の方々でしたが、全員穏やかな雰囲気で、集団討論を通して緊張もほぐれていたので、落ち着いて普段通りに近い自分の姿を表現できたかと思います。
3人の試験官には以下のような質問(一部抜粋)をされました。
- 家庭裁判所調査官補の志望理由、併願先との違い
- 心理学を学ぼうと思ったきっかけ
- 力を入れて取り組んだこと
- ゼミでのエピソード
志望理由や力を入れて取り組んだことなどは、事前に提出するエントリーシートにも書いてあり、試験官もそこに記載の内容を踏まえた上で質問を投げかけ、内容を深掘りしてくれます。この段階の個別面接では専門的知識を問われることもなく、完全に受験者自身の人となりを見ているといった印象を受けました。
また、これらの質問は俗にいう定番質問のため、TACの模擬面接で何度も練習を重ねていたため、どんな深堀りにも耐えうる自信を持っていました。
③個別面接(2回目)
1回目の個別面接が終わると別の場所に移動し、2回目の個別面接を受けます。このときの試験官も3人ですが、これまでの試験官とは別の人です。私のときは一人だけ少し圧を感じる試験官もいましたが、それでも基本的には和やかな雰囲気の面接だったと思います。
2回目の個別面接は大きく2つのフェーズに分かれており、1つ目のフェーズでは最初に1枚の紙を渡されます。紙に書かれているのは「2人の登場人物のやり取り」で、2人の関係性に関する描写もあったかと思います。一通り内容を読んだ後、登場人物の心情や人間関係の問題点、改善点などを色々と質問されます。私は1度質問に対してずれた回答をしてしまって、同じ質問を繰り返しされてしまいました。次々と質問が投げかけられるため、結構頭の回転の速さが必要かもしれませんが、長々と話しながら考えていると自分が何を言いたいのか、質問が何だったかわからなくなってしまう恐れがあるので気を付けてください。
2つ目のフェーズでは人間関係に関するトラブルについて尋ねられ、このとき、話す内容にも事前に制限が設けられます。そして、話したエピソードについて、自分はどのような立場にいたのか、そのトラブルを解決するために何をしたのか、といったことを質問されます。
1つ目のフェーズ同様に淡々と深掘りされていくので、面接の基本かもしれませんが、訊かれた質問に的確に答えていくというスタンスが大事だと感じました。
これらについても、WEBカウンセリングや模擬面接を通じて、事前に複数パターンの深堀りへの回答を用意していたため、臆することなく面接に臨めました。
このように、2回目の個別面接では人間関係に関する質問が多く、家庭裁判所調査官として職務に従事する上で大切になる何かを測っているのではないかという印象を受けました。
以上が家裁の人物試験の概要と実際に私が受けて抱いた感想です。
面接はやっぱり緊張すると思いますし、不安に思う部分も多いかと思います。
とにかく他者の目線を意識した練習を繰り返すことがカギ、たとえ緊張や不安でいっぱいでもありのままの自分の言葉や姿勢を伝えることが一番大切かと思います。
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