一級建築士試験の試験分析と効率的学習法

一級建築士の「学科試験」と「設計製図試験」について、試験分析データや効率的な学習法などをお伝えします。

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1.試験分析データ

「学科試験」と「設計製図試験」の受験者数・合格者数・合格率は、次のとおりです。

試験分析データ(学科)

一級建築士の学科試験の受験者数・合格者数・合格率の推移(過去5年間)

学科試験 実施年 受験者数 合格者数 合格率※
令和6年[NEW!] 28,067 6,531 23.3%
令和5年 28,118 4,562 16.2%
令和4年 30,007 6,289 21.0%
令和3年 31,696 4,832 15.2%
令和2年 30,409 6,295 20.7%

※学科試験の受験者数に対する合格者の割合

試験分析データ(設計製図)

一級建築士の設計製図試験の受験者数・合格者数・(総合)合格率の推移(過去5年間)

製図試験 実施年 受験者数 合格者数 合格率※1 総合合格率※2
令和5年 10,238 3,401 33.2% 9.9%
令和4年 10,509 3,473 33.0% 9.9%
令和3年 10,499 3,765 35.9% 9.9%
令和2年 11,035 3,796 34.4% 10.6%
令和元年 10,151 3,571 35.2% 12.0%

※1設計製図試験の受験者数に対する合格者の割合
※2学科試験および設計製図試験の延べ受験者数に対する合格率

2.学習時間・目安

一級建築士試験の学習時間の目安

試験種試験形式 学習時間 学習期間
学科試験四肢択一式(合計125問) 500時間程度 6ヶ月~10ヶ月
設計製図試験設計図書の作成(1課題) 100~150時間 2ヶ月

受験経験の有無や学校・実務における知識の習得などにより、個人によって異なります。あくまで目安として参考にしてください。

3.学科試験科目別・総得点の合格基準点

一級建築士の学科試験は、5科目計125問の四肢択一試験となります。科目別・総得点での合格基準点は、次のとおりです。

学科試験科目別・総得点での合格基準点の推移(過去5年間)

実施年  計画 
(合格基準点/出題数)
環境・設備
(合格基準点/出題数)
 法規 
(合格基準点/出題数)
令和6年[NEW!] 11/20 11/20 16/30
令和5年 11/20 11/20 16/30
令和4年 11/20 11/20 16/30
令和3年 10/20 11/20 16/30
令和2年 11/20 10/20 16/30
実施年     構造
(合格基準点/出題数)
施工
(合格基準点/出題数)
総得点
(合格基準点/出題数)
合格率
令和6年[NEW!] 16/30 13/25 92/125 23.3%
令和5年 16/30 13/25 88/125 16.2%
令和4年 16/30 13/25 91/125 21.0%
令和3年 16/30 13/25 87/125 15.2%
令和2年 16/30 13/25 88/125 20.7%

※各科目および総得点の合格基準点すべてに達している者が、合格となります。
国土交通省は、合格基準点について「各科目は過半の得点、総得点は概ね90点程度を基本的な水準を想定」と公表していますが、本試験において、想定していた合格率との乖離が生じた場合、補正が行われています。

4.学科試験突破のための学習法

学習の質を高める

近年は、実務に関わる啓蒙的な出題や、社会的に重要性の高いトピック的な出題が増えています。
また、過去に出題された内容を、一歩掘り下げたり、視点や論点を少し変えた応用的な問題も増えており、過去問題を丸暗記するような学習では対応できません。
個々の論点を正しく理解し、その周辺知識までさらに掘り下げた発展的な学習、すなわち「学習の質」が問われる試験になっています。

この「学習の質」を高めるには、無造作に学習範囲を広げるのではなく、試験の傾向や方向性を把握して非効率な学習を排除しなければなりません。
特に以下のテーマは、本試験で重要な方向性になると思われます。
TACでは、以下のテーマなどをさらに詳しく取り上げて、より具体的に「質の高い講義」を提供します。

一級建築士 学科試験 重要テーマ

(1) 設計・工事監理に関する啓蒙的な出題
(2) 社会的ニーズから「環境(省エネ・環境負荷低減)」関連の出題
(3) 大地震を想定した構造の安全性に関する出題
(4) 社会的ニーズから既存建築物の再生・活用に関する出題
(5) 社会的ニーズから生まれた最新の法令・基準・規格に関する出題

5.設計製図試験の課題・変更点・合格基準

採点結果の区分

採点区分 内容採点結果割合(令和5年度)
ランクI 「知識及び技能」を有するもの33.0%(合格)
ランクII 「知識及び技能」が不足しているもの6.1%
ランクIII 「知識及び技能」が著しく不足しているもの32.4%
ランクIV 設計条件・要求図面等に対する重大な不適合に該当するもの28.5%

一級建築士の設計製図試験は、ランクⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳの4段階区分で採点され、合格は採点結果における「ランクⅠ」のみです。

設計製図試験の過去5年間の課題一覧【令和6年7月26日(金)発表 ※NEW!

         

実施年 課題
令和6年[NEW!] 大学
令和5年 図書館
令和4年 事務所ビル
令和3年 集合住宅
令和2年 高齢者施設

6.一級建築士 設計製図試験突破のための学習法

プランニング(エスキスプラン)力を上げる

一級建築士の設計製図試験では、プランニング力が大きなウエイトを占めます。部門をどのようにゾーニングし、要求室のグルーピングや設置階の想定をどのようにバランスよく行うか、プランニングの手順を確実にマスターすることが必要です。

計画の要点等の記述力を上げる

課題の特色に応じた建築計画や構造計画、設備計画に関し、「要点等の記述」で表示した内容と図面とに不整合があれば、大きな減点要因となります。記述は、自分の描いた図面の説明であり、自身の設計の合理性、正当性を説明できる機会でもあります。

図面力を上げる

試験時間は6時間30分。プランニングに最低2時間、記述には10問出題として、1問5分で解答しても50分は必要です。したがって、作図に当てられる時間は3時間程度しかありません。確実に短時間で描き上げられる「作図スピード」は必要不可欠で、これがプランニングの余裕にもなります。

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