令和6年 二級建築士 設計製図試験
観光客向けのゲストハウス(簡易宿所)
【総評・答案プラン例】
令和6年 設計製図試験に関する情報[観光客向けのゲストハウス(簡易宿所)]を、随時更新していきます。
総評・ポイント解説
全体講評
RC造の設計課題は、過去3回に渡り「狭い敷地に3階建て」のパターンが続きましたが、今年の出題は「2階建て」でした。RC造の2階建ての場合、法的な規制が緩くなり法のチェックは簡単になる一方、1階あたりの床面積が大きくなるため、柱や廊下形状と部屋の配置などプランニングは逆に難しくなる傾向があります。
さらに、今回求められた設計条件は、主題となる「ゲストハウス」の用途に加え「近隣住民との交流」「災害発生時への対応」が求められたため、一層プランニングの難易度が上がっています。これらのことから今回の設計課題の難易度は、「標準的~やや難しい」であったと思います。
しかし、TACでは2階建ての出題を想定した構造グリッドとゾーニングの仕方をしっかり学習しましたので、落ち着いて条件を整理していけば、十分合格レベルに達する図面を書きあげることが出来たのではないでしょうか?
今回の合格ポイントは、
・屋外広場の配置(災害発生時に南側の公園と一体的に活用)
・複数の動線をしっかり整理(利用者の動線、厨房の動線、宿泊客の避難動線)
・図面をしっかり書きあげる(バルコニーの部分詳細図を含めて)だと考えます。
以下、それぞれのポイントを見ていきます。
ポイント解説
(1) RC造2階建て
平成24年から12年ぶりの2階建てです。建築基準法的には3階建てに比べて注意すべき項目はグッと少なくなります。竪穴区画は不必要で、道路斜線もまずかかりません。延焼ラインも不必要になるケースが多いのですが、こちらは設計条件の中で「延焼のおそれのある部分には所定の防火設備を設ける」と要求がありますので、延焼ラインと丸防の記号は忘れずに書き込む必要がありました。
構造グリッドとしては、3階建ての場合は奥行が8mの単スパンで済むことが多いのですが、2階建ては階あたりの面積が大きくなるので、奥行が10m~12m、柱スパンは5m~6mの組合せとなり、建物内部に柱が生じることになります。階高はとくに指定がありませんので、1階3500㎜2階3000㎜程度で設計すれば良いでしょう。すると階段は幅2m×奥行3m程度のスペースで納まります。
(2) 南側の公園(防火上有効な公園)と屋外広場
令和4年・5年に続き、3回連続で隣接地に公園がある敷地条件が出題されました。今回は冒頭の設計条件で「非常発生災害時には地域の支援を行うことができるように屋外広場を南側公園と一体的に活用できるようにする」と示されましたので、これを外すと大きな減点になりると思われます。屋外広場は敷地南側にある程度の大きさを確保して幅広く接するように配置する必要があるでしょう。
また、この公園は防火上有効な公園ですので、建築基準法2条六号によりこの面には延焼ラインは生じません。平面図に南側の延焼ラインをうっかり書き入れないように注意が必要です。TAC生はこの設定については課題の中でしっかり学習済みでしたね。
(3) 通用口のある喫茶スペース
要求室の中で最もキーとなるのは1階の喫茶スペースです。座席総数で16席とそこそこの大きさであることに加えて、災害時にも使用できる厨房や喫茶スペースの従業員用の通常口も求められました。また、駐車スペースは1台分(搬入用)とありますので、この通用口への動線を利用者用としっかり分けて確保するべきと考えられます。
TACでは、厨房への動線確保の必要な類似の喫茶スペースについて課題の中でしっかり学習いただきましたので、これも問題なく対応できたかと思います。
(4) 客室に設けるバルコニーと避難経路
客室は5室、そのそれぞれにバルコニーを設ける条件です。さらにこのバルコニーが道路に面しない場合は、バルコニー前面に空地を設けて避難経路を確保することが求められました。これは、東京都建築安全条例などで定められている内容と同じです。簡易宿所の客室は道路に面するように配置するか、敷地のアキの広い方に面するように配置して避難経路が確保できるようにする必要があります。このため、なるべくゾーニングをシンプルにし、建物の片側に客室ゾーンをつくるようにすればプランニングしやすかったはずです。
TACでは、繰返し構造グリッドとゾーニングの整理については学習しましたので、プランニングしやすかったのでないでしょうか?
(5) 部分詳細図(バルコニーの出入口)
令和3年と同じ、「バルコニーの出入口を含む」出題でした。令和5年の木造の矩計図では「多目的室(土間床)を含む」が出題されたように、近年の流れとして詳細図は標準的なものを単純に暗記すればよいものではなく、ある程度の納まりの知識を問う出題になってきています。
このことからTACでも「はね出しのバルコニー」や「ルーフバルコニーの納まり」などに取り組んでいただきましたので、多くの方が対応できたのではないでしょうか?
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[観光客向けのゲストハウス(簡易宿所)]
2024年9月15日(日)に実施された令和6年 二級建築士 設計製図の試験【観光客向けのゲストハウス(簡易宿所)】のTACオリジナル答案プラン例を公開します。本試験の振り返りにご活用ください。
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