外交官(外務省専門職)合格体験記

社会人経験者の皆様へ

中根 雅貴さん

DATA BANK

研修語 スペイン語
出身校 慶應義塾大学 商学部(卒業)
合格年度 2023年度
選択科目 経済学
志望理由:日本企業が国際社会で活躍するための土台を形成したい

 私は、日本企業が国際社会で活躍するための土台を形成したく思い、外務省専門職を志望しました。
 このように思ったのは、現職において、日本企業が海外で事業を展開していくことの難しさを痛感したためです。私の担当している石油製品販売店が、海外へ潤滑油を輸出するビジネスを新規事業として始めたのですが、海外企業の一方的な支払い拒否により頓挫し、販売店の経営状況が悪化する事態に直面しました。私は、このような事象は私の担当店に限った話ではなく、日本中の会社で起きうることだと思い、日本企業が国際社会で恐れることなく堂々と活躍できる環境を作っていく責務を感じました。
 また、大学在学時にイタリア留学を経験し、日本の信頼の高さを感じる機会が多々あり、それに対する喜びを感じる度に、自分を「日本人」として強く意識し、次第に日本に貢献したいという想いを強めました。 さらに、言語学習に加え、飽くなき人間的成長が求められる外交官こそが、私が生涯を捧げたい職業であると考え、外務省専門職を志望しました。

TAC・Wセミナーを選んだ理由:合格実績の高さ

 圧倒的な合格実績の高さ故に、TAC・Wセミナーを選択しました。私が受験する前年の2022年度採用試験では、98%の合格者がTAC・Wセミナー生(55人中54人がTAC・Wセミナーからの合格)であり、外務省専門職試験を受験するにあたり、TAC・Wセミナー一択でした。実際にTAC・Wセミナーでの受験対策を通し、外務省専門職試験に精通した講師の方々や、過去の受講生から受け継がれてきた情報量・ノウハウなど、TAC・Wセミナーがこれだけ高い合格実績を長年に亘り維持している理由を実感しました。

専門科目選択:経済学受験のすゝめ

 外務省専門職試験の専門科目は、必須の国際法に加え、憲法・経済学のどちらか一つを選択することとなります。私の体感では、憲法を選択する方が90%程度、経済学を選択する方が10%程度であり、ほとんどの方が憲法を選択されるイメージです。私は経済学を選択したのですが、下記2点の理由から、皆さんにも経済学受験をぜひ検討していただければと思います。
①暗記量が少ない:
経済学は憲法に比べて、暗記量が少ないと言われています。一度、基本となる理論を理解してしまえば、あとはそれをいかに深く正確に詳述できるかが勝負となります。外務省専門職試験は、国際法・基礎能力試験など膨大な量の暗記が必要です。私は国際法の暗記だけでいっぱいいっぱいであり、また社会人受験ということで学習時間も学生の方に比べて圧倒的に劣る中で、比較的暗記量の少ない経済学を選択しました。
②差別化ができる:
上述のように、ほとんどの方が憲法受験であるため、経済学受験はマイノリティです。しかし、マイノリティであるが故に、周りの受験生と差別化が可能であると考えています。実際に、2次試験の面接において面接官の方々から経済学受験であることを触れていただけましたし、私の志望分野が経済外交であったため、受験科目と志望分野との一貫性も出すことができました。周りの優秀な受験生と同じ土俵で勝負するのではなく、敢えて差別化し、自分のキャラクターを打ち出していくことも一種の有効な戦略ではないかと思います。

2次試験対策:社会人経験を通して身に着けた力が武器になる

 社会人経験者へのメッセージとなってしまいますが、社会人経験者は1次試験を乗り越えさえすれば、2次試験は日々の仕事の成果を発揮できる場であると思います。例えば、2次試験のグループ討議では、「相手の意見を尊重し、相手の面子を潰すことなく、ロジカルに自分の意見を述べること」が求められますが、これは日頃の会議でも求められることかと思います。また、面接での立ち振る舞いや話し方は日々の社会人生活で身についているかと思いますし、面接で質問される内容もある程度想定することができるため、比較的対策も行いやすいのではないかと思います。実際、今年度も多くの社会人経験者の方が最終合格を勝ち取っています。
 このように、社会人生活を通して身に着けた力は決して外務省専門職試験で無駄になることはなく、むしろ武器になるかと思います。日々の業務に忙殺され、受験を思い留まっている社会人経験者の方がいらっしゃれば、ぜひ一歩踏み出してみてください。

社会人生活との両立

 社会人生活と外務省専門職試験対策を並行して行うことは、正直かなりしんどいです。実際、仕事のストレスを抱えながら、月150時間ほどの学習を8か月以上続けることは、体力的にも精神的にも辛い時期もありました。しかし、上述のように、社会人としての経験を存分に活かすことができるのが外務省専門職試験であると私は思います。時間がないという制約は変えられないので、選択と集中を行い、自分の得意な部分を試験の弱いところに当ててリソースを全振りする。綿密に戦略を立てるとともに、熱い想いを持ち続けて挑めば、社会人生活とも十分に両立可能な試験であると思います。

最後に:社会人経験者の方へ

 主に社会人経験者の方に向けて、外務省専門職試験受験を決意いただく励みとなれれば、また学習が苦しい時の励みになれればと考え、合格体験記を執筆しました。繰り返しにはなりますが、この試験は社会人経験が非常に役立つ試験です。皆様の受験生活が悔いのないものとなるよう心からお祈りしております。

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