外交官(外務省専門職)合格体験記
合格体験記に力入れすぎてポエムみたいになる男の物語
鴻野 直人さん
DATA BANK
研修語 | アラビア語 |
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出身校 | 天理大学 国際学部(卒業) |
合格年度 | 2023年度 |
選択科目 | 憲法 |
- 志望理由:I am Japanese.
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私は、高校生の時からぼんやりと「世界で活躍したい!」と思っていました。海外経験もないくせに。ただの憧れでした。そのぼんやりとした憧れにピントが合ったのがまさに大学入学時に入講した「外交官養成セミナー」でした。このセミナーは、私の通う大学が外務省専門職員を輩出しようと意気込んで始めたプロジェクトでした。そこへの入講を機に、外交官という職業に興味を持つようになりました。しかし、先述の通り、私には海外経験がなかったので、本当に外交官としてやっていけるのかと思い、留学を決意しました。この留学で、外交官になりたいという思いを確固たるものにしました。それはニューヨークの9.11メモリアルを訪れた時の体験です。テロの犠牲者を慰霊するモニュメントに日本人の名前がありました。もちろん、日本人が多く犠牲になったことは知っていました。しかし、これを見た瞬間、無辜の日本人が海外の地でテロリストによって命を落とすという事実に心痛の思いを抱きました。その時、今まで日本で生まれ育ってきて持つことのなかった「私は日本人なのだ」というアイデンティティに目覚めたのです。海外で活躍する日本人を守りたい。そんな思いはニューヨークのある昼下がりに突如現れたのでした。
- TAC・Wセミナーの良かった点:“経験”というこの上ない強さ
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TAC・Wセミナーの素晴らしい点は、これまで多くの合格者を輩出してきたという“経験”です。受験生は目の前のことに必死で、なんとか食らいついて学習を進めていると思います。そんなときに自分で合格ラインまでどのくらいなのか分析し、評価し、先見することは困難です。しかし、TAC・Wセミナーの担任講師は、受講生一人ひとりの学習の進度を的確に評価し、その上で合格への道筋をつけてくれます。私も担任講師とのカウンセリングを通して、どこが足りていないのか、どの程度で合格ラインに乗るのか、今後どう学習を進めるのか、など冷静に“今の自分”を測ることができました。そして最終合格するまでずっと支えてくれます。これがどれだけ心強いか。皆さんもぜひTAC・Wセミナーの“経験”に頼ってみてもいいのではないでしょうか。
- 2次試験対策:そのあだ名の裏には…
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多くの合格者が1次試験の学習法について触れていると思いますし、受験される皆さんも1次試験の対策の方が気になると思いますが、ここはあえて2次試験について触れたいと思います。突然ですが、私のあだ名は「酵素(英訳:enzyme)」です。このあだ名は1次試験後に結成される自主ゼミというグループ内で主に使われています(現在進行形)。2次試験対策はこの自主ゼミのメンバーと共に行っていきます。2次試験対策では、例えば面接カードの作成や相互添削をやります。記入する項目が多くあるのですが、その中に「自己の性格判断」という欄があります。受験生は皆多種多様なキャッチコピーをつけて自分の性格を表現して、面接官の印象に残るように努力します。私はその中でも一際目立つキャッチコピーを作りました(と、自分で勝手に思っているだけですが)。それが「組織内の熱にも強い酵素役」です。初めてこれ見たら、全く何言ってるかわかりませんね。少し解説すると、人間の体内には多くの酵素が存在していて、人間の生命維持に不可欠ですよね。それと同様に、私も組織内で、時には利害関係者間の調整をしたり、時には全体の士気を上げるようなことをしたり、時には縁の下の力持ち役に回ったり、と組織が正常に機能する上で欠かせない存在だと言いたかったんです。ですので酵素というのはかなりいいキャッチコピーだなと納得しましたし、なんならあだ名にもなりました。念には念をと思い、カタラーゼやアミラーゼの働きなんかも調べて臨んだ2次試験では、1回も酵素に触れられることなく私は外務省の門を出ました。2次試験ではこういうことはよくあります。思ってもみなかったような質問をされる面接や、聞いてほしいことを聞いてくれない面接もあります。ですが、2次試験対策で行った自己の分析を徹底的にやるかやらないかでその面接の質は変わってくると思います。どんな会社員も自社の商品を知らずにプレゼンには挑まないでしょう。それと同じです。まずは自分を知ること。これが2次試験対策の本質です。
- 結びに
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私は結婚式場でバイトしていたこともあって、「終わる」とか「切る」とかいう縁起の悪い言葉、通称忌み言葉を使うのに抵抗がありますので、「結びに」としました。“結ぶ”というのはよくよく考えると外交を行っていく上で非常に重要なワードだと気づかされます。他国との関係や人脈を簡単に切ったり、終わらせたりするのではなく、粘り強く“結ぶ”役割を外交官が担っているようにも思えます。 さて、本当に結びになりますが、皆さんの中には、あまりの不安から机に向かえない人や、学習についていけず悩んでいる人、ゴールが見えてこず諦めかけている人、などなど様々な思いでこの体験記を見ているかと思います。私がひとつ偉そうにアドバイスするなら、「絶対に目標から目を離すな」です。どんなに不安に駆られてもいいんです。どんなに学習法で悩んだっていいんです。どんなに遠回りしたと後悔してもいいんです。目標から目を離さずにさえいれば。最後、合格して自分が辿った道を振り返ってみてください。そこには外交官となった自分に向かって一直線に伸びる足跡があるはずです。自分が遠回りしたと思っていてもそれは遠回りなんかじゃないんです。苦しんだ経験、不安に駆られた夜、そんなすべてがこの合格のためにあったのだと思えます。ですので、どうか目標からは目を離さずにいてください。心の底から応援しています。