外交官（外務省専門）合格体験記

　私は、小学生の時に初めて海外に行って以来、将来は日本と外国の架け橋になりたいと漠然と考えていました。その後、高校時代に南米での交換留学を経験し、途上国において日本の存在感を向上させるためには、政府レベルでの開発協力と市民レベルでの文化交流が必要だということを実感し、その二つに関われる仕事をしたいと思うようになりました。
　そんな経験の中で、実際に外交という仕事に興味を持ったのは、大学時代に在外公館派遣員として２年間、在外公館で勤務したことがきっかけです。外交官の日々の仕事をサポートしながら自分自身も大使館の一人として忙しく働く中で、「より専門的な立場から外交に携わってみたい！」という思いを抱くようになり、外務省への道を考えるようになりました。

　私は、国際法も選択科目で選んだ憲法も初修だったこともあり、特に国際法の講義を視聴し始めた当初は、講義を聞いても講師が言っていることが日本語だとは思えず、頭の中は「？」で溢れかえっている状態でした。「自分には難しすぎる…」そんなことばかり考えていた一方で、井能講師の「外国語だと思って学びましょう」という言葉に背中を押され、とりあえず理解は十分にできていないまま通信講座で講義を何度も繰り返し、自分でもテキストの音読を繰り返していました。すると次第に聞き慣れた言葉が増え、井能講師の言葉も日本語として頭に入ってくるようになり、なんとなく理解ができるようになっていきました。確かに、法律科目初学の人であれば、法学部の人や大学の講義で触れたことのある人に比べると最初のスタートは大変かもしれませんが、一度慣れてしまえば、確実に既習者と同じ土俵に立つことができると思います。

　TAC・Wセミナーでは、一次試験が終わるとすぐに二次試験対策（自主ゼミ）が始まり、受講生同士で何度も面接やグループ討議の練習をしたり、一次試験の合格発表後には、英語面接を含めTAC・Wセミナーの講師陣も面接に加わる模擬面接が行われますが、これがTAC・Wセミナーの一番の醍醐味だと思います。私自身、自主ゼミが開始された当初は面接の質問にうまく答えられなかったり、グループ討議で周りの人たちの会話に全く付いて行くことができずに呆然としていたこともありました。しかし、同じ自主ゼミの仲間が何度も個別に練習してくれたり、面接本番の前夜まで励ましやアドバイスをくれたりしたおかげで、ベイビーステップながらも面接やディスカッションを上達させることができました。

　外務省専門職の一次試験が机に向かって今まで蓄えてきた知識を紙の上に書き出す試験であるのに対し、二次試験は、面接官に向かって自分をアピールする試験です。一次試験であれば、どんなに不安そうな態度や険しい顔をしていても、それが評価に結びつくわけではありませんが、二次試験では当然ながら、話し方や表情が合否を左右します。
　私は、自分の英語力に全く自信が無かったため、TAC・Wセミナーでの英語の模擬面接の際にも自分の英語を評価されることが凄く不安で、面接官の講師に「なんでそんなに自信なさそうにしているの？」と心配されてしまいました。模擬面接の最後に、あまりにモジモジしている私を見かねてか、その講師は「もっと自信を持ちなさい！」と優しく喝を入れてくれたのですが、私にはその言葉が強く心に刺さり、その後の練習でも「自信を持つこと」を意識して練習するようになりました。外務省の試験に限らず極当たり前のことかもしれませんが、日本語であっても外国語であっても、面接官は、目の前で不安そうにして話している人より自信を持って話している人の方の話をもっと聞きたいと感じるし、信頼できると思いますよね。私が思うに、外務省専門職の面接でも面接官の方々は、受験生が話している内容だけでなく、その受験生がどれだけ堂々と自信を持って話しているかという点は結構しっかりチェックしているのではないでしょうか。というのも、面接官は面接において、目の前にいる受験生が将来の外交官として活躍できるか否かを見定めているのですし、実際の外交の場面でも、自信を持って話せない外交官の話や交渉を相手は聞き入れてくれないと思います。だからこそ、面接において、自分の想いや意見を自信を持って伝えられることはとても重要ですし、自分に自信をつけたり、たとえ自信が無くても自信があるように振る舞うためには、同じ目的を持つ仲間や、これまでたくさんの合格者を送り出してきた講師陣との練習の積み重ねが重要なのではないかと思います。