外交官（外務省専門）合格体験記

　高校時のアメリカへの交換留学中に、原爆投下の是非について、日本の代表としてクラスメートとの認識の齟齬を解消した体験から、日本と諸外国との国家間関係構築に携わりたいと考えるようになりました。当初は「外交官」という明確な職業像は持っていなかったものの、国家の営みである外交に対し、何かしらの形で貢献したいという気持ちは、その頃からずっと持ち続けていました。その後大学において、講義では中東・アフリカ地域を中心に政治外交の知識を深め、課外活動では模擬国連という、一人ひとりの参加者が一国の大使として、過去に国連で議論された国際問題をシミュレーションするサークルに所属し、多数の利害関係者と共に、一つの合意を形成することの難しさを体験しました。それらを経験し、現状混迷を極める国際政治で日本がさらに活躍しプレゼンスを高めるという最高難度のミッションを遂行する一員となれる外交官以上に、やりがいと成長が得られる職業はないと思い、受験を決意しました。

　受験を決意してから、インターネットや合格した知人の話を聴くなどして、どの予備校が一番合格に近いだろうと情報収集をする中で、最早TAC・Wセミナー以外の予備校の名前を聞くことはなく、私も先人の知恵に従ってTAC・Wセミナーを受講しました。結果として、やはり過去の合格実績の分だけ、教材の量も質も非常に洗練されていると感じました。特に専門科目の論文対策として、何度も演習の機会があったお蔭で、効率的に学習を進められたと感じています。予備校に通うメリットは学習の効率化だと思うのですが、TAC・Wセミナーでは、担任の井能講師の担任カウンセリングを受けられるため、受験期間の学習ペース配分を毎月客観的に評価してもらえます。なんといっても、同じように外交官を目指す他の受講生と一緒に面接の特訓や、本番のグループ討議のメンバーと事前に練習できることが、TAC・Wセミナーに通う最大のメリットだと思います。また受講生同士切磋琢磨しあうので、二次試験中も程よい緊張感がありつつ、皆積極的に情報交換を行うため、受験を団体戦にできる強みがあると思います。

　私は大学3年生の春から、外務省専門職試験に対するリスクヘッジとして、民間への就職活動を行っていました。民間との併願は難しいと言われがちですが、やはり外務省の試験は一度きりの大ゲームなので、それまでに就職先があるという心理的安全性は非常に大きなアドバンテージになると思います。しかし、外務省専門職試験が本腰を迎える12月までに民間就職を完了していないと、試験直前期と民間就活の両立は学習時間が取れず、どっちつかずになってしまいます。そのため、自分の中で外務省専門職と民間就職の優先順位をしっかり決めたうえで、ここまでは民間に力を入れる、この時期からはもう何が何でも外務省専門職試験の学習に集中する、といったようにしっかり期限を設けて実行できるのであれば、民間就活との両立は十分可能だと思います。幸い現在民間就職の内定早期化が進んでおりますので、大抵の会社が春夏のインターンシップに参加した学生に優先的に内定を出します。となれば、その時期までにしっかりインターンに参加し高評価を貰うことができれば、年内に内定を貰うことは難しくないはずです。私はスロースターターが過ぎて非常に合格が危ぶまれたので、皆さんには外交官という自分の夢に対して、しっかり計画を立てて安全に合格してほしいと思います。

　試験直前期には答練と呼ばれる、専門科目の論文演習が６回あります。その答練では上位30位が毎回公開されるのですが、私は終ぞ掲載されたことがありませんでした。半分となる第三回までは、まだまだ!!と思えるのですが、後半になってくると流石にマズいんじゃないかという不安でいっぱいになりました。そんな時に、「外交官を目指す人のコミュニティ」という外務専門職講座の受講生専用サイトに合格アドバイザーの先輩が掲載される記事が、大真面目な試験対策方法から、笑える失敗談など様々で私にとって何にも代えがたい激励となりました。是非皆さんもそれをモチベの糧にして頑張ってください！

　私は自主ゼミを結成する際には、ほとんど知り合いがおらず、不安でした。しかし、実際に話してみると、経歴、受験動機、人柄、専門分野のどれをとっても多種多様で、今まで自分が会ったことがないような人達と戦友と呼べるような強い絆を結ぶことができました。この自主ゼミメンバーとは、試験前後でご飯や旅行に行くほど仲良くなるので、今TAC・Wセミナーに知り合いがいなくて不安という方も、必ず自主ゼミで戦友を見つけることができると思います。そしてその戦友との出会いは今後の人生においても大きな財産となると確信できるほどに、大きな成長機会になると信じています。
　外務省専門職員の仕事は、人生の大半を自分が行ったこともない外国で過ごしますし、公務員である以上、本省勤務でも大きなプレッシャーがかかります。一方で、外専でなければ経験できない貴重な体験ややりがい、面白さもたくさん詰まった非常に魅力的な職業だと思います。前途が困難な分、それを乗り越えた合格の達成感もまたひとしおなので、語学が好き、日本の外交に携わりたいという方には是非挑戦していただきたい職業です。