外交官(外務省専門)合格体験記
最後まで勝敗はわからない
内藤 将平さん
DATA BANK
研修語 | アラビア語 |
---|---|
出身校 | 国際基督教大学 教養学部 (在学中合格) |
合格年度 | 2021年度 |
選択科目 | 憲法 |
- 受験動機:大学での学びを職業に
-
私が外務省専門職を本気で目指し始めたのは大学3年生の春です。元々高校の時から外交官は憧れの職業でしたが、試験が難関なため敬遠しており、民間就職をずっと考えていました。しかし、企業説明会やワンデイインターンに参加していくうちにやはり、自分の強みである英語力を最大限に活かせる職業につきたいと強く思うようになりました。また、中学時代は父の仕事の関係により中東で過ごした経験から、中東と日本の架け橋になれる存在になりたいと思い、外務省を目指すようになりました。
- TAC・Wセミナーを選んだ理由
-
外務省専門職を目指すと決めたのは、比較的遅い方だと思います。TAC・Wセミナーは合格者占有率が高く、春に受けた無料ガイダンスでモチベーションが高まったことから、入学を決めました。受験科目である国際法や憲法は全く初めて学習する科目でしたが、TACの講師が基礎から丁寧に教えてくださるので、安心して学習ができました。とはいえ、論文マスター講義が終わった1月ごろになっても、自分が一から論文を書き上げるところを想像できませんでした。2週間に1回、本番形式で行う論文答練を6回こなすことで、ようやく4月頃に、基礎が固まりつつあることを実感しました。
- 私の試験対策
-
専門科目の学習方法としては、主に暗記ペンを活用していました。国際法の論文マスターテキストに載っている模範答案や憲法の論証カードの重要箇所を暗記ペンで塗りつぶし、その上から赤シートで隠して音読することで、とにかくアウトプットする回数を多くするようにしました。1回確実に覚えたと思っていても1週間後には忘れていることが多いので、暗記と忘却の作業の繰り返しが大事です。もちろん、学習をしていく中で暗記だけに頼るのはNGであり、全体像の理解や自分で考える作業も重要ですが、かといって重要単語や基本となる論証は絶対に覚える必要があるので、暗記作業はできるだけ早い段階から取り組むことをおすすめします。
さて、1次試験には専門試験の他にも、時事論文試験、基礎能力試験、外国語試験があり、どれも要領良くこなす必要があります。まず、時事対策としては、日々のニュースが肝心になります。私は論文を書くのが苦手だったので、頻出テーマをまとめている参考書を読んだり、合格者の文章の書き方を分析したりしました。基礎能力試験に関しては個人差があると思いますが、時間がよっぽど余っていない限りは捨て科目を作った方が良いでしょう。数的処理、現代文、英文は絶対にやっておく必要がありますが、その他の科目は担任カウンセリングで相談しつつ、自分の得点源にできる科目だけを受講することをおすすめします。外国語試験に関しては、膨大な量を訳す必要があるため、英語に自信がある人でも最初は時間切れになることが多いと思います。過去問をこなすことで、時間内に訳しきれるペースを自分で掴めるといいと思います。
- 先入観を持たない
-
本試験の専門試験で出題された問題は事前にTACで学習したことがあったため、無事1次試験を突破することができましたが、それでも予想を裏切られることは多々ありました。例えば、国際法では過去問と全く同じ問題は2度出ないだろうと高を括っていましたが、まさかの3問とも過去問とほぼ同じ問題が出題されました。時事論文も、過去10年間、国内問題に関するテーマが出ていましたが、2021年度は国際問題が出題されました。要するに、過去の出題傾向を参考にすることはもちろん大事ですが、そればかりに山をはるのは危険です。2次試験の個別面接も過去と全く違った傾向の質問をされ、頭が一瞬空白になったため、満遍なく備えることがベストだと思います。
- 最後に:小さいことは気にしない
-
外務省専門職試験は自分との勝負でもあります。本試験までの間に様々な出来事があるでしょうが、一つ一つの出来事に気を取られるのではなく、合格をめざしてコツコツ学習することが重要です。私自身も、本試験1か月前の公開模試がD判定であり、とても合格できる姿を想像できませんでした。また、唯一受けていた併願先も落ちてしまい、自分に対する自信を失いつつありました。1次試験突破後も急いで提出した面接カードに4箇所も記入ミスがあったことに気づいたときには、情けなさに涙が出ました。それでもなんとかなると信じて希望を捨てなかったため、今の自分があると思います。試験は最後の最後まで勝敗がわからないので、小さなことで落ち込まず、悔いがないように頑張ってください。