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vol3【現役外交官インタビュー】国際協力局国別開発協力第二課 岩森智子さん

みなさんこんにちは!
例年Diplomat Newsでは、現役外交官の方への突撃インタビューを敢行しています。 今年の第一弾では、外交官であり一児の母でもある国際協力局の岩森さんにお話を伺いました!

岩森智子(いわもりともこ)さん
国際協力局国別開発協力第二課

<プロフィール>
研修語:英語
略歴:
H13: 外務省入省
北米局北米第二課
14: 在カナダ日本国大使館
    (在外研修:マギル大学法科大学院:平成14年-平成16年)
18: 在ブルネイ日本国大使館
21: 北米局北米第一課
24: 国際情報統括官付(第四国際情報官室)
27: 出産・育児休業
29: 復職・国際協力局国別開発協力第二課
(現在に至る)

Q. 外務省を目指されたきっかけを教えてください。

私は幼少期をカナダで過ごしました。いろんな民族・人種が住んでいる都市に滞在していたためでしょうか、通学していた現地学校では「あなたは日本人だから嫌い」と言われたこともあれば、「日本って素晴らしい国だよね」と絶賛してくれる人もいました。このように、「日本人」として見られる環境で育ったことで、国際社会の中での日本というものを当時から自分なりに意識していたのを覚えています。それが私の外交官としての原点です。
日本に帰国してからも外国と接するような仕事、特にカナダとの関係強化に貢献できる仕事につけたらいいな、と漠然と考えていました。具体的に外務省で働きたいと考え始めたのは、外務省で働く先輩方の影響が大きいですね。ものすごく女性が多く、みんな忙しいながらもとても活き活きと仕事をしていることが印象的で、「私の目指しているものはここにあるんだ」と感じました。

Q. これまでどのようなお仕事に携わってこられたのか、本省勤務と在外勤務に分けて教えてください。

本省では「日米桜寄贈100周年」という事業に携わったのをはじめ、米国、カナダに関する総合的な外交政策を企画・立案する部局等に所属し、米国及びカナダとの二国間関係の強化に従事してきました。また,2017年の育児休業からの復職後は、南西アジア班長として南西アジアにかかるODAの政策の企画・立案に従事しています。南西アジアは非常にポテンシャルが高く、経済成長も見込まれている地域であるものの、世界の貧困人口(1日1.9ドル以下で生活している人の人口)の約3割が集中しています。貧困はテロの温床にもなることから、ODAを通じて貧困等の開発課題を解決していくのが今の部署での仕事です。 在外はカナダとブルネイの日本国大使館を経験し、相手国との政治・経済にかかる交渉や広報文化活動を通じた対日理解の増進に従事してきました。大使の日程管理等も担当しました。特に当時の在ブルネイ日本国大使館は小規模で館員数が少なかったので一人の活動の範囲・分野は多岐に亘りました。心掛けていたことは,案内を受けた会合・社交には特段の事情がない限り必ず参加するということでした。会合で会った人の中には初めて日本人と話したという人もいました。社交の場で培った人脈が後々仕事に活かされたり、現地の方との会合に出席するだけでも日本のプレゼンスの向上に繋がりました。こういった小さな積み重ねが、やがて大きな国益につながることを意識して仕事をしていました。
その他に、日本からの閣僚をはじめとしたハイレベルの訪問がある際にその準備をするのも在外公館の重要な役目です。通訳を担当したり、いわゆる「ロジ」(後方支援的業務で,要人の出入国支援や配車支援など)に携わったりと、とにかく臨機応変に対応し、自分の持っている力をフルに活用することが求められました。

Q. 岩森さんは3歳のお子さんがおられるとのことですが、お仕事と育児をどのように両立されているのですか?

確かに本省では、結婚・出産前は仕事が終わるのは遅かったです。しかし出産・育児に際しては仕事との両立する制度がとても充実しています。ライフステージに応じた制度があるので安心して仕事に打ち込むことができ、それが仕事のモチベーションにもつながっていますね。例えば外務省には人事課の強いバックアップ体制の下,出産・育児を経験した女性省員の会合があって、お互いの悩みや経験を共有することができたりします。最近の外務省ではテレワークの活用も進んでいます。
現在私は育児のために時間を短縮して勤務しています。課の上司の理解もあり、育児中の職員にも働きやすい職場環境を整えてもらっております。子どもは突発的に熱を出したりするので、職場の理解が得られていることはとても心強いです。このように、外務省と言う組織全体で出産・育児に対する理解が浸透しているのは本当にありがたいなと思います。

Q. 入省後は、自分の希望する国や分野に関わる仕事ができるものなのでしょうか?

私の場合、確かに入省して最初に配属となった課や、在外研修もカナダの大学院だったので、そういった意味では希望通りだったのかもしれませんが、それはあくまでも外交官生活の第一歩でしかありませんでした。例えばブルネイへの赴任は想定外でしたが、交渉術・人間としてのタフさなどいろいろなことを身につけることができ、今まで未知だった世界を知ることができたという面でも外交官として大きく成長できた機会でした。
この経験から、私は希望していない国に行くのはむしろチャンスだと思っています。前向きに知らないことをどんどん吸収してやろう!というポジティブさが大切ですし、新しいことに挑戦するのが好きな人に向いている仕事だと思います。

Q. 今までの仕事の中で、一番思い入れのある仕事はなんですか?

天皇皇后両陛下(現上皇上皇后両陛下)のカナダ御訪問です。私は当時ブルネイの大使館にいたのですが、2か月間カナダへ応援出張しました。両陛下がカナダの日系人コミュニティと交流されるなどカナダ国内での注目度も非常に高く、相互理解が一層深まったイベントでした。裏方ではあったものの、この成功のために従事できたのはとてもいい経験になりました。

Q. 最後に、これから外務省を目指す人に向けてメッセージをお願いします。

勉強をしていると、自分を見失いそうになることもあると思います。そんな時は先輩省員の話を聞いたり、説明会に参加したりして「自分が本当にやりたいことはなんなのか」を見つめ直してみてください。勉強も外交も、なかなか目に見えた成果がでない中でコツコツと取り組まなければならないのは一緒です。今の頑張りが入省後に役立つ日が必ず来るので頑張ってください。
外務省でお待ちしております!


ワシントンDCの桜

~インタビュアーのひとこと~
外交という国を背負う大変な仕事をしながらも子育ても決して疎かにしない姿に、単純に「カッコいい!」と思いました。外務省が省庁の中でも特に女性の割合が多いのは、やはり育児・出産の制度が充実していることも大きいようです!

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