FPの気になるところをまるっと解説! FP(ファイナンシャルプランナー)の仕事内容・年収は?
インターネットやSNS、テレビや新聞でもよく目にする「FP(ファイナンシャルプランナー)」という言葉。「お金の専門家」と言われますが、FP資格を取得するとどんなことができるのでしょうか。
今回はFPの仕事内容や年収について、講師と受講生の会話でわかりやすく解説していきます。
登場人物のご紹介
陽葵(ヒマリ)さん
最近のお金に関するニュースから、将来に不安を感じているものの、何をすればよいかわからない状態。そのような中、FP(ファイナンシャルプランナー)という資格に興味をおぼえている今日この頃。
宅久(タック)先生
現役のファイナンシャルプランニング技能士1級、CFP®として実務の世界で活躍中。また、とある受験指導校で講師として登壇し「FPの魅力と将来性」を伝えるべく日々奮闘中。
FP(ファイナンシャルプランナー)の必要性
「FP(ファイナンシャルプランナー)」って、いまいち何をやっている人たちなのか、よくわからないのですが。
陽葵(ヒマリ)さん
宅久(タック)先生
FPは職業の名称であって、FPを養成・認証する特定非営利活動法人(NPO法人)「日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(以下、日本FP協会)」のホームページよると、FPとは「一人ひとりの将来の夢や目標に対して、お金の面で様々な悩みをサポートし、その解決策をアドバイスする専門家」と説明されています。
FPは「個々人や家族のライフプラン(人生設計)に基づく将来の収支の見通しを立て、最適な資産設計・資金計画を提案、アドバイスを行い、その実行をサポートする」役割を担うため、「お金の面から家計の改善を図る『家計のホームドクター®』」とも呼ばれています(日本FP協会ホームページ)。
FPは「お金に関する悩みに答えてくれる専門家」みたいなものですか。
そうですね。その意味では相談に乗ってくれる「カウンセラー」でもありますが、「将来の収支の見通しを立て、最適な資産設計・資金計画を提案、アドバイス」をするという点では「コンサルタント」という側面も持っています。
「お金の面から家計の改善を図る」とありますが、具体的にはどんなことをするのですか。
具体的には、就職・結婚・出産・マイホーム購入・退職などの、人生の節目(ライフイベント)におけるお金の流れを見越して、顧客の家族構成、収入、支出、住宅、資産など、計画のもととなる情報を聞いて、個人のバランスシートを作成して現状を把握し、ライフイベント表を作ります。
そして、ライフイベントごとの収支を算出してキャッシュフロー表を作成、将来の問題点と改善方法をまとめた「提案書」に沿って顧客の夢や目標に向けてサポートすることです。
自分の家計のことですから、自分でできそうな気もするのですが。
いやいや、簡単そうでなかなか難しいですよ。さまざまな環境の変化が訪れてから、「いざお金の流れを見直そう」ではまず間に合いません。
また、将来のプランを立てるためには、金融、税制、不動産、住宅ローン、生命保険、年金制度などの幅広い知識が求められますし、何より法改正等で制度内容が変化しますので、常に最新の情報をキャッチしておく必要があります。
だからこそ、「暮らしのお金の専門家」であるFPの存在意義はますます高まっているといえるでしょう。
企業内FP(ファイナンシャルプランナー)と独立系FP(ファイナンシャルプランナー)
FP(ファイナンシャルプランナー)は、事務所を開いている人が多いのですか?
そのような方もいらっしゃいますが、お勤めの企業内でFP資格を活かしている方の方が多いですね。企業内で活躍されている方を「企業内FP」、事務所を開いて活動されている方を「独立系FP」と、業務形態からFPを大きく二つに分けることができます。
企業内FPにはどんな業種が多いのですか。
銀行、証券会社、生命保険会社、損害保険会社などの金融機関に所属している方が多いですね。また、不動産会社や協同組合、官公庁、自治体に所属する人もいらっしゃいます。
それ以外の業種ではFPの資格は役に立たないのですか。
いいえ、一般企業においても、FPの資格は役立ちます。たとえば、人事部や総務部に配属される場合です。人事部や総務部では、給与計算を行う上では給与から差し引く所得税、社会保険の知識が業務で必要となります。
また、会社で加入する生命保険や損害保険の知識も必要となります。したがって、一般企業の就職や転職においても、FPの資格は有利となります。
なるほど。一方、独立系FPはどのような仕事をされていますか。
たとえば、個人や企業からの家計管理や教育資金、住宅ローン、老後の生活設計、資産運用、介護・医療費など、お金に関する相談業務が中心となります。保険や家などの販売を斡旋して報酬を受け取る方もいれば、単純にライフプランニングについての相談料をいただいている方もおり、さまざまな業態で活動されています。
また、自身の得意分野を活かしてセミナーの講師をしたり記事を執筆したりすることもありますし、独立して保険代理店業務を手掛ける方もいらっしゃいます。
独立系FPの方々は、事務所を開業している方ばかりですか。
事務所を開業している方もいらっしゃいますが、お勤めの企業でFP資格を活かしていなくても、たとえば、週末に限って副業としてFP業務に携わっている方もいらっしゃいます。副業解禁の流れが高まっている昨今、今後「副業FP」で活躍される方が増えてくるかもしれません。
FP(ファイナンシャルプランナー)の年収はいくら?
ズバリ!FP(ファイナンシャルプランナー)の年収っていくらですか。
FP単独の年収を調査した最新のデータがほとんどなく回答しづらいのですが、参考例として厚生労働省「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」で公表されている数字をご紹介します。
なお、FPが該当する職業分類の「その他の経営・金融・保険の専門的職業」には、FPの他に経営コンサルタント、中小企業診断士、経営指導員(商工会議所又は商工会に属するもの)、品質システム審査員なども含まれるため、厳密にはFP単独の数字ではありませんので、ご注意ください。
就業者数(出典:令和2年国勢調査の結果を加工して作成)全国 | 賃金(年収)(出典:令和5年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成)全国 | ハローワーク求人統計データ 求人賃金(月額)(令和4年度) 全国 | 有効求人倍率(令和4年度) 全国 |
---|---|---|---|
82,920人 | 947.6万円 | 29万円 | 0.77 |
[出典]厚生労働省「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」より
企業内FPの年収の具体的な内訳はどうですか。
企業内FPの場合、勤務先から毎月給料が支払われますので、各社の給与体系に沿う形で給与額が決まります。たとえば、営業職の場合、成約数に応じて給料が変動するところが多く、年齢や役職関係なく、成果を出せば出すほど収入がアップします。
また、企業によってはFP資格を保持していれば資格手当が付く場合もあり、基本給に加えて月に1万円~3万円程度上乗せされるケースが多いです。
独立系FPの場合はどうですか。
独立系FPの場合、相談料の他、改善策を記載した「提案書」の作成料や顧問料などが収入源となります。相談料に関して、一般的に1時間あたり5,000円~10,000円程度に設定されている場合が多いです。もちろん、金額は独自に設定することができますので、どれだけ多くの個人や法人と顧問契約を結ぶことができるかによって収入が変わってきます。
また、教育機関や地域の公共施設などで講義や講演活動における講師料、原稿の執筆料などで収入を得ることもできます。
要は自分次第で収入は変わってくるということですね。
はい、その通りです。自分自身で営業活動を積極的に行わなければならず、どれくらい契約できるかによって収入は大きく変動します。軌道に乗れば年収1,000万円を超える場合もありますし、契約がほとんど取れない場合は月に10万円も稼げない場合もあります。
FP業務に必要なお金の知識だけでなく、顧客に対する接客力や相談力、提案力も試されます。その意味ではやりがいのある仕事といえるでしょう。
「FP(ファイナンシャルプランナー)の仕事内容・年収」のまとめ
- FPはお金の面から家計の改善を図る「家計のホームドクター®」とも呼ばれます。
- FPは企業内で活躍されている「企業内FP」、事務所を開いて活動されている「独立系FP」とに大別されます。
- 年収は年収1,000万円を超える場合もあれば10万円を切る場合も。どのように資格を活用するかで収入は変わってきます。
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