令和5年度より変更
電気工事士試験にCBT方式導入!
CBT試験とは?メリット・デメリットを解説
2022年12月1日、一般財団法人電気技術者試験センターより令和5年度電気工事士試験日程が発表され、同時にCBT方式でも受験が可能となることが公表されました。
受験者は従来の筆記方式と新しく導入されるCBT方式いずれかでの受験することができるようになります。
このページでは、そもそもCBT試験とは何なのか?メリット・デメリットも含めて解説していきます。
令和5年度から電気工事士試験にCBT方式が導入!
まずは、現在公表されている情報を確認してみましょう。
試験実施日程について
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第二種電気工事士
上期 / 下期
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第一種電気工事士
申込期間と試験日|2023年度(令和5年度)上期 / 下期 第二種電気工事士試験
まずは現在公開されている、第二種電気工事士試験令和5年度の、試験の申込期間と試験日の確認です。次のように発表されています。
2023年度 (令和5年度) |
申込期間 | 試験日 |
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上期試験 | 2023年3月20日(月)~4月6日(木) | 【学科試験:CBT方式※1】2023年4月24日(月)~5月11日(木) 【学科試験:筆記方式※2】2023年5月28日(日) 【技能試験】2023年7月22日(土)または7月23日(日) |
下期試験 | 2023年8月21日(月)~9月7日(木) | 【学科試験:CBT方式※1】2023年9月25日(月)~10月12日(木) 【学科試験:筆記方式※2】2023年10月29日(日) 【技能試験】2023年12月23日(土)または12月24日(日) |
申込期間と試験日|2023年度(令和5年度) 第一種電気工事士試験
まずは現在公開されている、第一種電気工事士試験令和5年度の、試験の申込期間と試験日の確認です。次のように発表されています。
申込期間 | 試験日 |
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2023年6月19日(月)~7月6日(木) | 【学科試験:CBT方式】2023年8月24日(木)~9月10日(日) 【学科試験:筆記方式】2023年10月1日(日) 【技能試験】2023年12月10日(日) |
申込期間と試験日|2021年度(令和三年度) 第一種電気工事士試験
まずは現在公開されている、第一種電気工事士 令和三年度試験の、試験の申込期間と試験日の確認です。次のように発表されています。
申込期間 | 試験日 |
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2021年6月14日(月)~7月1日(木) | 【筆記試験】2021年10月3日(日) 【技能試験】2021年12月12日(日) |
学科試験は、CBT方式または筆記方式でのいずれかの受験となります。CBT方式の試験を欠席した場合、筆記方式の試験は受験できません。
- CBT方式:所定の期間内に受験場所、試験時間を選択することが可能です。
- 筆記方式:一部の会場を除き、午前・午後の2回に分けて実施します。受験者は、午前・午後の選択をすることはできません。
CBT試験導入の背景
令和5年度の試験から、現行の電気工事士試験の学科部門において、新たに「CBT試験」が導入することが正式に決定されました。ここでは、電気工事士試験にCBT試験方式の導入が決定された経緯を紹介しましょう。
電気工事士試験にCBT制度が採用されることとなった背景には、年ごとに高まっている少子化による人口減少問題があります。社会インフラには必要不可欠とされる「電気保安技術者」の人材が、現代日本の社会に不足しているという現状です。
CBT試験制度の導入により、電気工事士試験の受験機会が増すこととなり、同時に合格者の増加につながり、結果的に電気工事士の有資格者数も例年よりも多くなると予想されます。すなわち、電気工事士試験でのCBT試験導入には、不足している電気工事技術者を増やす目的があります。
CBT方式導入の目的
受験者の利便性向上
- CBT方式での開催期間(3週間程度を予定)内で、曜日、時間を選択して受験可能
- 試験会場は、全国に約200箇所を予定しており、その中から選択可能
- CBT方式は、試験日の3日前まで試験会場及び試験日時の変更が可能
つまり、これまでは指定された日時での受験が難しければ受験自体を延期または諦める必要もありましたが、今後は学校や仕事などの都合に合わせて受験計画を立てることも可能となります。また、受験会場の数も増えるため、さらに受験をしやすくなることが想定されます。
なお、試験センターの資料にもある通り、CBT方式での受験希望の場合でも、試験会場の状況によっては、希望の日時を選択できない場合や、満席等の理由によりCBT方式を選択できない場合もありますので注意が必要です。
CBT方式申込の流れ
- 従来の筆記方式とCBT方式のどちらかを選択して受験することが可能
- 受験申込期間は、CBT方式、筆記方式ともに同じ
- 受験申込には、従来通り「インターネット申込」または「郵便(書面)申込」が利用可能。
- CBT方式を希望する場合は、受験申込確定後、指定された会場申込期間内に、別途CBT会場申込手続(試験会場及び試験日時の選択手続き)を行う必要があり、期間内にCBT会場申込手続を行わなかった場合は、これまでの筆記方式での受験となる
- CBT会場申込手続は、マイページから試験日時・試験会場を選択することで行う
このため、CBT方式を希望する場合、郵便(書面)申込を行った場合でも、オンライン環境でのマイページ作成が必須となりインターネットを使用してCBT会場申込手続を行う必要があるので注意が必要 - CBT会場申込の取り消し、変更は、会場申込期間中であればマイページからCBT会場申込の取り消しを行い、筆記方式での受験に変更が可能だが、期限を超えた場合の取消はできない
CBT会場申込で選択した試験会場・試験日時は、試験日の3日前までに限り、変更が可能。ただし、変更先が選択可能な場合に限るため、試験会場の状況によっては希望の会場・日時を選択できない場合がある
最新の情報・詳細は必ず最新の受験案内にてご確認ください
一般財団法人 電気技術者試験センター ホームページ
CBT試験の特徴とは?どんなメリット・デメリットがある?
電気工事士試験の合格を目指す受験予定者にとっては、CBT試験方式の導入によって、電気工事士試験の内容がどう変わるのか、そして受験者は事前にどう対応すべきなのかが気になる点です。ここでは、CBT試験制度の特徴と内容について解説します。
紙の試験と並行実施される
令和5年度から、電気工事士試験の学科試験では、従来のマークシート式の筆記解答方式に加えて、新たにPC画面を操作するCBT方式との並行実施が大きな変更点です。受験者は両者どちらかの方式を選択して受験します。
なお、電気工事士試験には、学科(筆記)試験と実際に作業をする技能試験があり、CBT試験制度は学科試験のみで実施されます。
パソコンで問題の解答を選択
CBT試験方式では、従来の筆記マークシート方式とは異なり、出題・解答・採点がすべてコンピューターで一括管理された状態で実施されます。とはいっても、試験の解答方式が「紙に鉛筆でマーキングする」か「PC画面にマウス(キーボード)で入力するか」の違いであり、問題自体に両者の違いはありません。
試験終了後、画面には設問に対する正答数が表示されますが、合否は表示されません。
CBT試験とは?CBT方式ってどんな試験?
CBT(Computer Based Testing)方式=コンピュータを利用して実施する試験方式のこと
PC・英語などの資格試験の他、企業内試験でも採用
CBT方式は文系資格やPCスキル試験では取り入れられているものも多く、最近では日商簿記がCBT方式を採用したことで話題になりました。
・所定の期間内に受験場所、試験時間を選択して予約を入れ、当日テストセンターに行って試験を受けます。
・問題は紙ではなく、画面上に映し出されます。試験によっては別途メモ用紙・計算用紙が支給され、メモしたり、計算した回答をPC画面の選択ボタンで解答していきます。
試験は解答が始まったところから時間がカウントダウンされ、時間いっぱいになると解答できなくなる仕組みです。
CBT試験のメリット・デメリット
令和5年度よりスタートする電気工事士試験の学科試験は筆記方式とCBT方式の二者選択制になっており、従来のマークシート方式か新たに導入されるCBT方式のいずれかを受験者は選択します。受験者にとっては、どちらにすればよいのか悩むことでしょう。
選択する基準として、CBT試験方式におけるプラス面とマイナス面の両面を正確に知っておく必要があります。ここでは、CBT試験方式のメリットとデメリットを検証してみましょう。
メリット
受験会場が増える
CBT試験方式では、試験を運営する側が試験会場に問題用紙や解答用紙を持ち込む必要がありません。運営側が用紙を配布し回収する作業が不要です。これによって、従来の試験方式に比べて試験会場が増えます。
元来、CBT試験方式導入の目的が「受験しやすくして合格者を増やす」ことにあるため、CBT試験方式の会場は、筆記方式の受験会場と比べて増加します。受験者にとっては、受験会場が増えることで移動距離が短縮となるメリットはかなり大きいといます。
複数の日程と時間帯を選択できるようになる
CBT試験方式により、試験会場が増えることと同時に、これまでの固定化された試験の日時も幅が広がります。半年に1回程度だった試験スケジュールの日程が増えることによって、受験者は自分の都合のよい日時を選択して受験できるようになるわけです。
特に、仕事の都合で試験日程が合わずに受験を断念することもあった社会人にとっては、受験日の日程と時間帯の選択肢が増えることはありがたいことです。これは受験制度自体が受験者への受験ハードルを下げる意味があるため、受験の推進効果につながるといえるでしょう。
マークのための時間を短縮できる
受験会場、日程・時間帯の増加に加えて、CBT試験方式で実際に受験をする際にも時間短縮のメリットがあります。
筆記方式では、マークシートを塗りつぶしたり消したりする作業を50問分繰り返すのに対して、CBT方式では解答の選択や変更をワンクリックで行うことができるので、解答にかける時間の短縮が可能といえます。
デメリット
受験者にとって、メリットが大きいCBT試験制度ではありますが、一方でデメリットもあることも理解しておきましょう。CBT試験制度のデメリットは以下の3点に絞られます。
問題を持って帰れない
CBT試験制度は、出題・受験から採点までの全工程がコンピューターにて一元管理されるペーパーレス化された試験システムです。すなわち、試験は紙を一切使わずパソコン画面で実施されるため、試験会場では問題用紙も解答用紙も配布されません。
従来のマークシートタイプのペーパーテスト方式では、試験問題用紙と解答用紙が別々に配布されていました。この際、受験者は試験時間が終了すると、解答用紙のみを提出し、問題用紙を持ち帰ってよいことになっていました。
紙を使わないCBT試験制度で問題の持ち帰りができず、試験問題・解答の公表がないため、帰宅後に試験問題を再チェックしたいという受験者にとって、問題持ち帰りができない点は、CBT試験のデメリットといえるでしょう。
答え合わせができない
CBT試験制度では、試験問題の持ち帰りができず、試験問題・解答の公表もされません。したがって、従来のペーパーテスト方式のように、受験後に持ち帰った試験問題を自宅で再読して、当日の自分の解答と照らし合わせての「答え合わせ」ができないというデメリットがあります。
筆記方式を選択した場合は全員が同一の日程で一斉に受験し試験問題を持ち帰ることができ、翌日には解答が公表されますが、CBT方式では試験終了後の画面に正答数が表示されますが、試験問題・解答の公表はないため、受験後に試験問題を確認して答え合わせをしたいと願う受験生にとっては、CBT試験制度はこの点において不便さや不満を感じるかもしれません。
画面上の問題を見ながら解答するための練習が必要
CBT試験方式では、画面上に表示される問題や回路図を見ながら解答を導き出す必要があるため、慣れないと見落としや間違いが起こりやすい点には注意が必要です。同様に、問題用紙がないため、配線図の問題での書き込みも画面上で行うか、画面を見ながら計算用紙に書き写すなどの工夫が必要となります。※
これらの点は練習をして慣れることができるため、デメリットとはいえませんが、本試験でいきなり取り組むとなると時間を取られたり、ケアレスミスにつながる可能性もありますので、CBT方式での受験を検討している方は事前に練習をしておくと安心です。
2022年度のパイロット試験実施時には、画面上の配線図にマウスを使っての書き込みが可能でしたが、正式な仕様については受験案内等にてご確認ください。
CBT方式が導入されても試験内容や基本的な勉強法は変わらない!
筆記方式とCBT方式、どちらで受験するのがいいの?
本記事では、令和5年度から導入が決定している電気工事士試験のCBT試験制度の内容と注意点、メリットやデメリットなどについて解説しました。従来型の筆記方式と新たに導入されるCBT方式の、どちらの方式で受験するのがよいのか、有利・不利があるのかも気になります。
記事で紹介したように、CBT試験制度は、あくまでも同試験の学科試験での従来のマークーシート筆記式との併用で選択制です。電気工事士はあくまで国家資格ですので、受験方式によって出題される問題自体の難易度や、合格に求められる基準が変わることは考えられず、合格に必要な知識や学習内容には変わりはありません。
したがって、パソコン操作に不安がある受験者は、従来の方式を選択すればよく、記事で紹介したCBT試験制度のデメリットが気になる受験予定者は、従来のマークシート式試験を選択すればよいわけです。試験で問われる内容は同じなため、受験者にとって大きな混乱は起きないでしょう。
むしろ、CBT試験制度導入によって試験日程のスケジュールに余裕ができると、受験者が増えて合格者人数も増加することが想定されます。社会インフラの工事に必要不可欠な、多くの電気工事士の有資格者が日本全国で活躍するのは大変望ましいことだといえるでしょう。
まとめ
- CBT方式の導入でこれまでよりも受験しやすくなる
- 所定の期間内であればCBT方式での受験を取り消し、筆記方式での受験に変更が可能
- 同一の資格を得られる国家試験のため、筆記方式とCBT方式で難易度が変わることは想定できない
- ただし、CBT方式での受験の場合、画面上で問題を見ながら解答するための練習は必要