2024年11月10日(日)2次試験 電験二種 試験速報!2次本試験講評

令和6年度2次本試験講評公開中!

令和6年度 第ニ種電気主任技術者試験
2次試験 講師による試験分析

令和6年度 第二種電気主任技術者 2次試験 講評 公開中!

電験二種二次試験が、11月10日に実施されました。
受験生の皆さま、お疲れ様でした。

本年の問題は、電力管理科目は例年よりやや高めの難易度、機械制御科目は例年より易しめの難易度でした。
本年度の特徴としては、電力管理・機械制御共に計算問題で過去問からの類題が1問ずつ出題されていたこと、電力管理の論述問題が6問中4問と例年に比べ多めであったこと、両科目共に比較的時間には余裕をもって取り組める内容であったこと、等があります。
両科目ともに制限時間切れという心配が少なかったため、日々コツコツと知識習得をされていた受験生が合格点に到達しやすい問題であったかと思います。
以下、科目別にみていきましょう。

電力・管理科目 講評|令和6年度2次試験

計算問題は問3、問4のみでいずれも昨年の問題に比べ取り組みやすい問題であったかと思います。論述問題は問1、問2、問5、問6と出題され、難易度が高めの問題が多く、特に問1と問6の難易度が高かったです。したがって、問2、問3、問4、問5を選択した受験生が多かったと予想されます。

問1は汽力発電所の機器である復水器と復水器真空ポンプ及び脱気器に関する論述問題でした。
例年火力の問題は難易度が高い印象がありますが、本問も火力発電プラントを運転する方が理解するべきレベルの専門性の高い内容で、電験の参考書にはほぼ掲載のない内容でした。
TACでは脱気器や復水器の概要を講義で解説していたため、TAC受講生は部分点狙いで選択された方もいらっしゃったかもしれませんが、一般の受験生で選択される方はほぼいなかったと予想されます。

問2は油入変圧器に使用される保護リレーに関する論述問題でした。
電気式リレーである比率差動継電器に関しては比較的多くの受験生が理解していると思いますが、機械式リレーである衝撃圧力リレーやブッフホルツリレーまで学習が進んでいる受験生は少なかったかと予想されます。
一種令和元年電力科目問2に類題が出題されていましたので、一種の過去問まで学習していた受験生は完答できた可能性があります。

問3は1線地絡事故時の電磁誘導に関する計算問題でした。
平成18年問3や平成9年問3に同じような問題が出題されており、計算量もさほど多くないため、令和6年度の電力管理科目の中では、最も取り組みやすい問題でした。
このような問題で確実に完答できることが合格への近道となります。
TACの講義でも扱った問題なので、TAC受講生は自信を持って取り組めたかと思います。

問4は配線線のループ系統に関する計算問題でした。
(1)と(3)は計算量もそれほど多くなく、落ち着いて問題文を読んでいけば答えられる問題です。(2)に関しては計算量がやや多めですが、ループ系統の計算パターンを理解されている方であれば解法は容易に見つかったと思います。
問題文の長さに圧倒されそうな問題ですが、落ち着いて読み解けば十分に対応できる問題です。

問5はガス絶縁開閉装置で扱うSF6ガスに関する論述問題でした。
工場等で電気主任技術者を担務しており、実際に取り扱っている方が有利な問題で、そうでない受験生には厳しい問題であったかと思います。特に(1)のガス絶縁に影響を及ぼす項目を3つ挙げられる受験生は少なかったと予想されます。
(2)に関してはSF6ガスが温室効果ガスであることを手掛かりに記述すれば、ある程度部分点は取得可能でしょう。

問6は近年の課題である分散型電源の大量連系に関する論述問題でした。
(1)は調相設備の知識がある方であればある程度解ける問題かと思いますが、(2)に関してはこれまで出題されたことがない難易度が高い問題でした。負荷とは異なり分散型電源は解列すると電圧や周波数が下がる方向となるため、その辺りを起点に解答を記載すれば高得点が狙える問題であるかと思います。

機械・制御科目 講評|令和6年度2次試験

これまで出題割合の少なかった同期機が3年連続で出題され、昨年に引き続き誘導機の出題がありませんでした。近年の新傾向である可能性があるので注意が必要です。
問1と問2が比較的取り組みやすい問題、問3もパワーエレクトロニクスの中では難易度が低め、問4のみが例年よりも難易度が高めの問題でした。したがって、多くの受験生が問1と問2を中心に選択されたと予想されます。
また、問1で機械制御科目には珍しく、論述問題が出題されたのも特徴的です。

問1は同期発電機に関する論述問題及び計算問題でした。
論述対策をしてきた受験生は少ないと思いますが、無負荷飽和曲線や三相短絡曲線は電験のテキストにはほぼ記載があり、3種の頃からも学習してきた内容なので、選択した受験生も多かったと思います。また、後半の計算問題も短絡比と同期インピーダンスが逆数の関係があることを知っていれば計算も多くなく解けるので、完答も十分に目指せる問題です。

問2は単相変圧器の無負荷試験と短絡試験に関する計算問題でした。
難易度自体は決して低くはありませんが、ほぼ同じ問題が平成28年問2に出題されており、平成28年の問題に比べ計算量も少なかったので、多くの受験生が選択し、完答できた問題であるかと思います。
二次試験の受験生のレベルを考えるとこの問題は選択し、確実に得点しておきたいところです。

問3は降圧チョッパに関する計算問題でした。
難易度の高い例年のパワーエレクトロニクスの問題から比べると比較的易しい問題で、設問数は多いですが、計算量も多くないため、知識があれば十分に時間内に対応できる問題です。
TACの受講生はチョッパ回路をかなり丁寧に学習しているので、多くの方が選択し、高得点を取得できたかと思います。

問4は問題に与えられたブロック線図を用いる計算問題でした。
(1)と(2)はそれほど計算量が多くありませんが、(3)以降は部分分数分解や逆ラプラス変換が絡んでくる計算量が多めの問題でした。計算が得意な方であれば時間内の完答も目指せるかもしれませんが、計算間違いのリスクや他の問題の難易度を考えると本問は選択しない方が無難であったかもしれません。

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