電験二種とは? 三種との違い、仕事・試験概要・合格率などを徹底解説!
電験二種とは?
電験は正式名称を「電気主任技術者試験」といい、第三種から第一種に分類されている国家資格で、中でも電験二種は、主に電圧17万ボルト未満の発電所や変電所, 工場やビルなどに設置されている電気設備の保守・監督を行うための資格です。
電気設備の保安監督は、電気主任技術者の「独占業務」です。電気設備を正確な方法で運用しないと、自身のビルが原因で周囲の地域を停電させてしまうこともあります。そのため、国家試験を合格した電気のプロである電気主任技術者が、電気設備を適切に運用するよう法律で定められています。
年齢問わず、ニーズの高まりと安定収入が最大の魅力!
電験二種を取得する3つのメリット
1
電験二種は収入アップの他、定年後も職のある安定した資格です!
電験二種まで取得していると、資格手当や昇進があるケースがみられます。電気主任技術者にも選任されやすく、周りからも一目置かれる存在となります。また、ビルメンテナンス業や発電事業では電気主任技術者の確保が必要不可欠であり、その需要は非常に高く、定年後に活躍している方も多いです。
そのため、これらの業界への就職・転職を有利に進めることができます。
2
独立開業も目指せる!
電気主任技術者として一定期間の実務経験を積み、法律に規定されたいくつかの要件を満たすと、電気管理技術者という、ビルオーナーから電気設備の管理を受託する自営業を営むことができるようになります。
独立開業して個人事業主となった場合は、自分の体力が続く限り仕事を続けることができます。
3
抜群の将来性!
電気は工場やビルなど様々な施設で、動力や照明・情報通信のインフラとして利用されています。近年ではオール電化住宅が普及したり、メガソーラーなど再生可能エネルギーの発電設備も大きく増加しています。また、爆発的に増加する情報通信量に伴うデータセンターの増加など、電気主任技術者の活躍する場所はますます増えています。電験二種まで取得していると、未経験でも将来を見据えて即採用されるケースがあります。
電気主任技術者の業務を徹底解剖!
電気主任技術者の業務
電気主任技術者の業務は、発電所や変電所、工場やビルなどに設置されている電気設備の保安・監督です。
電気事業法では、事業用電気工作物を設置している事業主に対して、工事・保守や運用など保安の監督者として電気主任技術者を選任しなければならないと定められています。
電気設備の管理は、電気主任技術者の資格を有していなければ行うことができない「独占業務」です。
第一種~第三種は、扱う対象となる電気工作物が違います。
また試験内容も、電験二種は電験三種と比べ、一次・二次試験とステップが増え、試験範囲は広くなり、難易度の高い試験です。
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第三種
電圧が5万ボルト未満の事業用電気工作物(出力5千キロワット以上の発電所を除く)
例:ビルの管理を前提とした受電設備 -
第二種
電圧が17万ボルト未満の事業用電気工作物
例:発電所や変電所や配電所などの施設 -
第一種
すべての事業用電気工作物
電気主任技術者と電気工事士の違いって?
電気に関する資格には電気主任技術者とは別に、電気工事士というものがあります。
2つは学習内容で重複するところもありますが、電気主任技術者は保安・監督のための資格、電気工事士は工事現場で電気工事を行うための資格です。
電気工事士試験は電験と比べると難易度が低いので、電気工事士試験の学習をしてから電験をめざす人もいます。
電験二種試験について詳しく知ろう!
電験二種 試験ガイド
ここでは、電験二種のアレコレをみていきます。
電験二種試験の概要と受験資格
試験は一次・二次試験に合格する必要があります。一次試験の受験資格は特に必要ありません。
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試験方式
【一次】マークシート(多肢選択式)
【二次】記述式 -
試験会場
【一次・二次】全国10か所
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試験日
【一次】8月中旬~下旬
【二次】11月上旬~中旬 -
受験資格
【一次】特になし
【二次】一次試験合格者
電験二種(一次試験)の試験科目と問題形式
電験二種の試験科目は4科目で、それぞれ次のような範囲と問題数で出題されます。
理論
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出題範囲
電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測に関するもの
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試験時間
90分(9:15~10:45実施)
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問題数・配点
A問題4問×1問題あたり小問各3点,計15点
B問題3問(選択問題含む)×1問題あたり小問各2点,計10点
電力
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出題範囲
発電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気材料に関するもの
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試験時間
90分(11:25~12:55実施)
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問題数・配点
A問題4問×各3点
B問題3問×1問題あたり小問各2点,計10点
機械
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出題範囲
電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、電気加工、自動制御、メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送及び処理に関するもの
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試験時間
90分(14:15~15:45実施)
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問題数・配点
A問題4問×1問題あたり小問各3点,計15点
B問題3問(選択問題含む)×1問題あたり計10点
法規
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出題範囲
電気法規(保安に関するものに限る)及び電気施設管理に関するもの
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試験時間
65分(16:25~17:30実施)
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問題数・配点
A問題4問×1問題あたり小問各3点,計15点
B問題3問×1問題あたり計10点
科目合格制度
一次試験は科目ごとに合否が決まります。
4科目すべてではなく、一部の科目にのみ合格した場合は、科目合格となり、以降2年間は申請により試験が免除されます。
→ つまり,3年以内に合格すればOK
電験二種(二次試験)の試験科目と問題形式
電力・管理
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出題範囲
発電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気施設管理に関するもの
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試験時間
120分(10:00~12:00実施)
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問題数・配点
6題中4題を選択×1問題あたり各30点
機械・制御
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出題範囲
電気機器、パワーエレクトロニクス、自動制御及びメカトロニクスに関するもの
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試験時間
60分(13:20~14:20実施)
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問題数・配点
4題中2題を選択×1問題あたり各30点
一次試験免除制度
二次試験には科目別合格制度はありませんが、
一次試験が合格した年度の二次試験に不合格になった場合は、翌年度の一次試験が免除されて二次試験から受験できます。
→ ただし翌年度の二次試験に不合格になった場合は、翌々年度は新たに一次試験から受験。
2024年度(令和6年度) 電験二種試験のスケジュール
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受験案内配布
5月上旬頃
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受験申込受付期間
2024年5月20日(月)~6月6日(木)
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試験日
【1次】2024年8月18日(日)
【2次】2024年11月10日(日) -
合格発表
【1次】Web公表:9月2日(月)
結果通知書の発送:9月30日(月)
【2次】Web公表:2025年1月24日(金)
結果通知書の発送:2025年2月3日(月)
2025年度(令和7年度) 電験二種試験のスケジュール
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受験案内配布
5月上旬頃
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受験申込受付期間
2025年5月19日(月)~6月5日(木)
-
試験日
【1次】2025年8月31日(日)
【2次】2025年11月16日(日) -
合格発表
【1次】Web公表:例年9月上~中旬頃
結果通知書の発送:例年9月下旬頃
【2次】Web公表:例年翌1月下旬頃
結果通知書の発送:例年翌2月上旬頃
電験二種試験の申込方法
電験二種試験の申込手続は、郵便、もしくは、インターネットにて行います。
申し込み時に必要なもの、受験手数料、支払い方法、締切日などの手続きを確認しておきましょう。
正確な実施スケジュール・申込手続きは公式サイトをご参照ください。
合格基準
電験二種の合格基準は、合格発表時に公表されます。
一次試験の合否は科目別に判定されます。
4科目すべてに合格すれば一次試験合格となります。
目安としては、一次・二次試験ともに、各科目60点以上ですが、試験が難しい場合は合格点が引き下げられることもあります。
電験二種 これも知っておこう!
デジタルパンフレットを閲覧する
紙と同じ内容のパンフレットを、パソコンやスマートフォンから、郵送を待たずにいますぐご覧いただけます。
お申込いただいた場合、個人情報の取り扱いにご同意いただいたものとして取り扱わせていただきます。
電験二種の合格率・受験データ
受験者数・合格者数・合格率
電験二種の過去5年の受験者数,合格率などは次のとおりです。
年度 | 一次試験 受験者(人) | 一次試験 合格率 | 二次試験 受験者(人) | 二次試験 合格率 |
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2019年 | 6,915 | 23.6% | 2,513 | 22.8% |
2020年 | 6,235 | 27.2% | 2,512 | 27.9% |
2021年 | 5,979 | 25.7% | 2,407 | 17.2% |
2022年 | 6,189 | 35.2% | 2,904 | 24.0% |
2023年 | 6,318 | 24.5% | 2,682 | 17.7% |
受験者・合格者率の推移
一次試験の合格者割合については、約25%の合格率になっています。受験者数、合格率の推移をグラフに示すと次のとおりです。
つづいて二次試験の合格者割合については、近年では20%を下回る合格率になっています。受験者数、合格率の推移をグラフに示すと次のとおりです。
受験者の年齢構成・受験回数・職業別属性
受験者の年齢構成
幅広い年齢層の方が受験していますが、なかでも20 〜50 代以上の方の割合が多いといえます。
受験者の受験回数
3 回以上の方も多い傾向がうかがえます。
受験者の属性
就業者が多く、電力業界以外の方も多く受験されています。
まとめ
1
電験二種とは、電気設備の保守・監督を行うための資格
2
第三種から第一種に分類されている国家資格。電気設備の保安監督は電気主任技術者の「独占業務」
3
高い専門性を証明できて、就職、転職・収入アップに有利
4
試験は1次試験はマークシートで多肢選択式で4科目。2次試験は記述式で2科目ある。
一次試験には科目合格制度があり、一次のみ合格した翌年度は一次試験免除制度で二次試験から受験できる。