電験二種2次試験 合格発表! 合格基準点・合格率・講師による試験傾向分析
令和6年度 電験二種2次試験の
合格基準・合格率
電気技術者試験センターより、令和六年度 第ニ種電気主任技術者試験の2次試験結果が発表されました。
合格基準点は100点満点換算で60.0点以上(実得点180点満点で108点以上)、かつ各科目ともに平均点以上と決定されました。
[二次試験]受験者数・合格者数・合格率
受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|
2,922人 (昨年2,682人) |
553人 (昨年474人) |
18.9% (昨年17.7%) |
令和6年度 第ニ種電気主任技術者試験
2次試験 講師による試験分析
電力・管理科目 講評|令和6年度2次試験
計算問題は問3、問4のみでいずれも昨年の問題に比べ取り組みやすい問題であったかと思います。論述問題は問1、問2、問5、問6と出題され、難易度が高めの問題が多く、特に問1と問6の難易度が高かったです。したがって、問2、問3、問4、問5を選択した受験生が多かったと予想されます。
問1は汽力発電所の機器である復水器と復水器真空ポンプ及び脱気器に関する論述問題でした。
例年火力の問題は難易度が高い印象がありますが、本問も火力発電プラントを運転する方が理解するべきレベルの専門性の高い内容で、電験の参考書にはほぼ掲載のない内容でした。
TACでは脱気器や復水器の概要を講義で解説していたため、TAC受講生は部分点狙いで選択された方もいらっしゃったかもしれませんが、一般の受験生で選択される方はほぼいなかったと予想されます。
問2は油入変圧器に使用される保護リレーに関する論述問題でした。
電気式リレーである比率差動継電器に関しては比較的多くの受験生が理解していると思いますが、機械式リレーである衝撃圧力リレーやブッフホルツリレーまで学習が進んでいる受験生は少なかったかと予想されます。
一種令和元年電力科目問2に類題が出題されていましたので、一種の過去問まで学習していた受験生は完答できた可能性があります。
問3は1線地絡事故時の電磁誘導に関する計算問題でした。
平成18年問3や平成9年問3に同じような問題が出題されており、計算量もさほど多くないため、令和6年度の電力管理科目の中では、最も取り組みやすい問題でした。
このような問題で確実に完答できることが合格への近道となります。
TACの講義でも扱った問題なので、TAC受講生は自信を持って取り組めたかと思います。
問4は配線線のループ系統に関する計算問題でした。
(1)と(3)は計算量もそれほど多くなく、落ち着いて問題文を読んでいけば答えられる問題です。(2)に関しては計算量がやや多めですが、ループ系統の計算パターンを理解されている方であれば解法は容易に見つかったと思います。
問題文の長さに圧倒されそうな問題ですが、落ち着いて読み解けば十分に対応できる問題です。
問5はガス絶縁開閉装置で扱うSF6ガスに関する論述問題でした。
工場等で電気主任技術者を担務しており、実際に取り扱っている方が有利な問題で、そうでない受験生には厳しい問題であったかと思います。特に(1)のガス絶縁に影響を及ぼす項目を3つ挙げられる受験生は少なかったと予想されます。
(2)に関してはSF6ガスが温室効果ガスであることを手掛かりに記述すれば、ある程度部分点は取得可能でしょう。
問6は近年の課題である分散型電源の大量連系に関する論述問題でした。
(1)は調相設備の知識がある方であればある程度解ける問題かと思いますが、(2)に関してはこれまで出題されたことがない難易度が高い問題でした。負荷とは異なり分散型電源は解列すると電圧や周波数が下がる方向となるため、その辺りを起点に解答を記載すれば高得点が狙える問題であるかと思います。
機械・制御科目 講評|令和6年度2次試験
これまで出題割合の少なかった同期機が3年連続で出題され、昨年に引き続き誘導機の出題がありませんでした。近年の新傾向である可能性があるので注意が必要です。
問1と問2が比較的取り組みやすい問題、問3もパワーエレクトロニクスの中では難易度が低め、問4のみが例年よりも難易度が高めの問題でした。したがって、多くの受験生が問1と問2を中心に選択されたと予想されます。
また、問1で機械制御科目には珍しく、論述問題が出題されたのも特徴的です。
問1は同期発電機に関する論述問題及び計算問題でした。
論述対策をしてきた受験生は少ないと思いますが、無負荷飽和曲線や三相短絡曲線は電験のテキストにはほぼ記載があり、3種の頃からも学習してきた内容なので、選択した受験生も多かったと思います。また、後半の計算問題も短絡比と同期インピーダンスが逆数の関係があることを知っていれば計算も多くなく解けるので、完答も十分に目指せる問題です。
問2は単相変圧器の無負荷試験と短絡試験に関する計算問題でした。
難易度自体は決して低くはありませんが、ほぼ同じ問題が平成28年問2に出題されており、平成28年の問題に比べ計算量も少なかったので、多くの受験生が選択し、完答できた問題であるかと思います。
二次試験の受験生のレベルを考えるとこの問題は選択し、確実に得点しておきたいところです。
問3は降圧チョッパに関する計算問題でした。
難易度の高い例年のパワーエレクトロニクスの問題から比べると比較的易しい問題で、設問数は多いですが、計算量も多くないため、知識があれば十分に時間内に対応できる問題です。
TACの受講生はチョッパ回路をかなり丁寧に学習しているので、多くの方が選択し、高得点を取得できたかと思います。
問4は問題に与えられたブロック線図を用いる計算問題でした。
(1)と(2)はそれほど計算量が多くありませんが、(3)以降は部分分数分解や逆ラプラス変換が絡んでくる計算量が多めの問題でした。計算が得意な方であれば時間内の完答も目指せるかもしれませんが、計算間違いのリスクや他の問題の難易度を考えると本問は選択しない方が無難であったかもしれません。
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担当:尾上健夫講師<TAC電験二種講座講師>
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0:23 2次科目の計算と論説の割合と対策方法
1:56 過去問+αの勉強が一番合格に近い?
2:12 1次の4科目の勉強は2次にどのくらい役に立つのか
3:28 1次と2次は同時に勉強したほうがよいのか
3:54 初学者の勉強期間は1年かかるのか
4:45 学習方法と学習計画の立て方
7:10 1次の理論・機械の選択問題、2次の問題選択方法
9:18 過去問への取り組み方
10:01 知識の増やし方、専門書は読むべきか
0:24 初見の問題に講師ならどう対応するか
1:24 機械制御のパワエレの勉強方法
3:08 独学でパワエレを勉強する場合の対応方法
3:51 1次は通るが2次で落ち続ける人の対処方法
6:01 計算力=数学力?
6:36 計算機の使い方が大事
7:16 数学力の上げ方
8:07 2次試験の記述答案は第三者に見てもらったほうがいいか
9:15 独学とスクールのメリット・デメリット
10:38 2次試験の総勉強時間
12:18 家庭や仕事との両立方法
14:23 完璧主義の解決方法
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令和6年度 電験二種1次試験の
合格基準点・合格率
電気技術者試験センターより、令和六年度(2024年度)第二種電気主任技術者試験の試験結果が発表され次第公開します。
[一次試験]受験者数・合格者数・合格率・科目合格者数・科目合格率
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 科目合格者数 | 科目合格率 |
---|---|---|---|---|
7,479人 (昨年6,318人) |
2,159人 (昨年1,545人) |
28.9% (昨年24.5%) |
3,416人 (昨年3,442人) |
45.7% (昨年54.5%) |
[一次試験]科目別 合格基準点・合格率
科目 | 合格基準点(90点満点の実得点) | 合格率 |
---|---|---|
理論 | 54点 (昨年54点) |
47.0% (昨年33.5%) |
電力 | 54点 (昨年54点) |
57.8% (昨年38.0%) |
機械 | 54点 (昨年54点) |
57.8% (昨年72.0%) |
法規 | 54点 (昨年54点) |
49.7% (昨年89.9%) |
※科目合格率は4科目合格者含む
TAC講師による試験傾向分析
理論 講評|令和6年度1次試験
本年の理論は、例年より比較的易しかったように思います。しっかりと基礎を押さえていた人は学習の成果が発揮出来たのではないでしょうか。
問1は三種でも学習する誘電体の電界の公式をしっかり使えれば、比較的容易に解ける問題でした。
問2も標準的な問題と思いますが、(1)で単純な公式ではないこと、磁界と電界が同時に問われている点がポイントでした。
問3の直流回路も落ち着いて丁寧に考えれば解ける問題であったと思います。
問4は過渡現象の問題ですが、例年の微分方程式の解法よりも各素子の現象が問われている出題でした。
問5は標準的な交流回路の問題でした。
問6でやや戸惑われたかも知れませんが、問題文をしっかりと読んで、粘り強く考えれば解ける問題であったと思います。
選択問題は、どちらも同等の難易度であったと思います。両問とも問題文をしっかりと読んで落ち着いて取り組むことが重要と思われます。全体的には、しっかり学習を積まれていた人は合格点が取れる内容だったと思います。
電力 講評|令和6年度1次試験
本年の電力は、発電、送電、変電など各テーマにおける問題数は例年と同様でした。
問5のフェランチ効果をはじめ、問1の石炭火力発電、問3の各水車の効率、問4のCVケーブルなど、基礎的な知識を問う問題が多かったと思います。
一方で、問2の変電機器の内部異常を発見するための診断手法のように、知識がないと解答が難しい問題もありました。しかし、時間をかけて問題文をしっかりと理解し、解答群を慎重に絞り込むことで正解にたどり着ける問題でもありました。
したがって、日頃から関連する技術分野に関心を持ち、お手持ちのテキストなどを通じて幅広く知識を吸収していた方にとっては、合格レベルに達することはそれほど難しくはなかったと思います。
機械 講評|令和6年度1次試験
本年の機械は、ほぼ例年並みの難易度であったと思います。基礎をしっかりと身に付けながら、幅広く教材を読み込まれていた方は、学習の成果が出たのではないでしょうか。
問1は電機子反作用の問題で標準的と思いますが、細かい現象を丁寧に理解することが求められました。
問2の電動機駆動の問題は基本的な問題であったと思います。
問3の交流遮断器の問題も類題も多くありますが、遮断器の特徴を深く理解しておく必要がありました。
問4の昇圧チョッパは回路動作と基本公式の理解が必要となります。
問5の燃料電池も(5)以外は正答したいと問題だったと思います。
問6の光の問題は文章量も多く、初めの記述がやや難しいですが、(2)以降は標準的な内容になるため、集中して読むことがポイントとなります。
問7の誘導加熱も(4)がやや難しいかも知れませんが、他は学習の成果が出せたのではないでしょうか。
問8は基本的なメカトロニクスの問題であったと思います。
ほぼ例年並みの難易度ですが、過去問をしっかり解き、少し広い範囲まで丁寧に教材を読み込んでいた人は,合格に近づけたと思います。また、表皮効果など理論の問題と重なるところもあるように理論と合わせることで学習効果アップも期待できると思います。
法規 講評|令和6年度1次試験
テーマ別の問題数は、例年通りで、電気事業法に関する問題が1問、電気設備技術基準が4問、施設管理が2問出題されました。
問1は電気工作物に関する記述で、昨年改正された小規模発電設備については多くの方が出題を予想していたのではないでしょうか。問2の高圧架空電線と建造物との離隔距離に関する問題、問3は電路の対地電圧に関するやや難しい問題でした。問4は設備容量に関する問題で、計算問題の準備していた方は解けたのではないでしょうか。問5問6は問題文から解答を絞りやすい比較的易しい問題でした。問7は太陽光発電設備の点検に関する問題で、少し太陽電池発設備に関する知識があれば対応できたと思います。 全体としては、電気設備技術基準などをしっかり読み込んでいた方は対応可能である問題も多かったと思います。
【参考】電験二種1次試験 受験者数/合格者数/科目合格者数
実施年度 | 1次受験者数(名) | 1次合格者数(名) | 科目合格者数(名) |
---|---|---|---|
令和6年度 | 7,479 | 2,159 | 3,416 |
令和5年度 | 6,318 | 1,545 | 3,442 |
令和4年度 | 6,189 | 2,178 | 3,048 |
令和3年度 | 5,979 | 1,539 | 2,736 |
令和2年度 | 6,235 | 1,695 | 3,050 |
令和元年度 | 6,915 | 1,633 | 3,388 |
平成30年度 | 6,631 | 1,600 | 3,089 |
平成29年度 | 6,570 | 1,737 | 3,450 |
平成28年度 | 6,521 | 1,456 | 3,007 |
平成27年度 | 6,418 | 1,557 | 3,255 |
平成26年度 | 6,676 | 1,595 | 3,261 |
平成25年度 | 6,452 | 1,550 | 3,018 |
平成24年度 | 7,034 | 1,748 | 3,522 |
平成23年度 | 6,659 | 1,047 | 3,542 |
平成22年度 | 6,786 | 1,549 | 3,395 |
【参考】電験二種1次試験 全科目合格率/科目合格率
実施年度 | 合格率 | 科目合格率 |
---|---|---|
令和6年度 | 28.9% | 45.7% |
令和5年度 | 24.5% | 54.5% |
令和4年度 | 35.2% | 49.2% |
令和3年度 | 25.7% | 45.8% |
令和2年度 | 27.2% | 48.9% |
令和元年度 | 23.6% | 49.0% |
平成30年度 | 24.1% | 46.6% |
平成29年度 | 26.4% | 52.5% |
平成28年度 | 22.3% | 46.1% |
平成27年度 | 24.3% | 50.7% |
平成26年度 | 23.9% | 48.8% |
平成25年度 | 24.0% | 46.8% |
平成24年度 | 24.9% | 50.1% |
平成23年度 | 15.7% | 53.2% |
平成22年度 | 22.8% | 50.0% |
【参考】電験二種1次試験 各科目合格基準点
実施年度 | 理論 | 電力 | 機械 | 法規 |
---|---|---|---|---|
令和6年度 | 54 | 54 | 54 | 54 |
令和5年度 | 54 | 54 | 54 | 54 |
令和4年度 | 54 | 54 | 54 | 54 |
令和3年度 | 54 | 51 | 54 | 54 |
令和2年度 | 54 | 54 | 54 | 54 |
令和元年度 | 51 | 53 | 53 | 50 |
平成30年度 | 49 | 52 | 52 | 52 |
平成29年度 | 54 | 54 | 54 | 54 |
平成28年度 | 50 | 50 | 50 | 47 |
平成27年度 | 42 | 51 | 50 | 51 |
詳細は試験センターHPをご確認ください。
一般社団法人電気技術者試験センター https://www.shiken.or.jp/index2.html