LET'S GO TO THE NEXT STAGE 資格で開いた「未来への扉」 #03
竹内 義博氏
竹内総合法務事務所 代表
司法書士
1992年8月生まれ。東京都出身。日本大学法学部法律学科卒業。司法書士事務所勤務を経て、2018年9月に独立。司法書士の範疇に留まらず、自らのスキルや資格を活用して社会に貢献することをめざし、日々業務に取り組んでいる。
【竹内氏の経歴】
2011年(22歳)大学入学。同年11月に宅地建物取引士試験に合格。
2016年(24歳)大学卒業。同年10月に司法書士試験に合格。12月には高橋法務事務所に入所。
2017年(24歳)行政書士試験に合格。
2018年(26歳)独立。司法書士竹内総合法務事務所を開業。
資格は自己実現のためのツール。
資格取得をゴールにせず、資格の「意味」を考えた目的を。
資格取得をめざすときに、司法書士や行政書士など特定の士業に就くことを目標にすることは一般的なことです。しかし、司法書士の竹内義博さんは、「司法書士になることそのものが目的ではなかった」と話します。
めざしているのは、自分が身につけたスキルを社会に還元・貢献すること。資格を持つことは、ただ安定した職業に就くだけでなく、より大きな目標を達成するための手段になると指摘する竹内さんに、資格への思い、独立への歩みを語ってもらいました。
「なりたいから」ではなく、「やりたいことがあるから」
自分自身のスキルを、社会に対して役立てたいという思いから、法曹(弁護士、検察官、裁判官)をめざし法学部へと進んだ竹内さん。大学でさまざまな資格取得のフォローアップが行われており、自身も資格に興味があったことから、入学直後から宅地建物取引士(宅建士)試験の勉強を始めました。
11月には合格したものの、改めて本格的に法曹の勉強に取り組もうと同級生たちの状況を見てみると、自分が大きく出遅れていることに気がつきました。
「周りは4月からフルスロットル/アクセル全開で法曹をめざして勉強を始めている中、私は数ヵ月間を宅建士試験のために費やしたことで、気づけば埋めることができない圧倒的な差が生じていると感じました。今から勉強を始めても、法曹の道に進むのは難しいのではと迷っていたとき、大学の資格窓口からすすめられたのが、司法書士試験の受験だったんです」
タイミングよく11月から司法書士試験の講座が開設されており、受講を提案されたのです。周りの仲間とは別の、司法書士への道をめざすことになったものの、それによって勉強や今後のキャリアに対するモチベーションが低下することはなかったと、竹内さんは話します。
「自分が法曹をめざしたのは『法曹になりたいから』ではなく、社会に貢献したいという思いがあったからです。司法書士という資格を自分のキャリアの目的と、どうすれば一致させることができるのか、と考えながら取り組む資格の勉強は、むしろ楽しかったですね」
勉強を進めていく中で、キャリアプランもより具体的になり、地元の出身中学校でコーチとして教えているサッカーチームのために、ファンドを設立したいと考えるようになりました。
「司法書士だからこそ出会える人や、見える景色があり、それを自分の中に吸収することで、ファンド設立のための大きな助けになるのではないかと考えました。実際に、現在司法書士として活動する中で、多くの優秀な経営者の方々とお会いする機会をいただき、素晴らしい環境で仕事をさせてもらっていると感謝しています」
そんな自身の経験から、竹内さんは何のために資格を取得したいのか、資格の目的や意味を考えることが大切だと話します。
「私は単純に『司法書士になりたい』と思って資格を取ったわけではありません。司法書士になったその先に、なりたい自分があったからこそ取得しました。資格があれば一生食べていけるから、と資格取得そのものを人生の目標のようにしてしまうと、いつまでも自分の満足するゴールにはたどり着かないのではないでしょうか」
資格は自己実現の助けとなる強力なツール。大切なのは、資格を得たあとの目標です。それがはっきりとしていれば、たとえ迷ったときでも原点に立ち返り、自分のすべきことが明確になるはずだと竹内さんは考えています。
資格は自分に刺激を与えてくれる存在
司法書士という立場に留まらない飛躍をめざす竹内さんですが、日々の業務、特に企業の誕生から成長までの各段階で必要になってくる商業登記の業務について、司法書士という仕事の魅力を強く感じています。
「一般的に経営者の方が最も気にするのはお金のこと。次が事業のことで、登記など書類関係の形式的なことは後手に回りがちです。けれどもこうした書類は会社が続く限りは使い続ける、とても重要なもの。そして、司法書士はそんな重要な部分に大きく関わる存在です。たとえ目立たないことでも、こだわりぬいて仕事をするのは楽しいものです」
また、法律に則った上で法務局などの関係機関とやりとりし、依頼してきた経営者のニーズに合わせて手続きをスムーズに行うという、実務家の役割そのものにもおもしろみがあるといいます。
「経営者からすると司法書士の仕事はよくわからないものかもしれませんが、法的な手続きを一つひとつクリアして依頼を達成したときの達成感は、とても大きいものです。経営者の右腕として企業を支援している充実感がありますね」
そんな中、竹内さんがなによりも司法書士の魅力であると感じているもの。それは、司法書士は商業登記業務を遂行するにあたり、「必ず」経営者に会うことができるという点です。
司法書士に限らず、経営者と接する機会のある資格はありますが、法的な義務として経営者に必ず会うことが決められている資格は多くありません。
「企業の規模を問わず、自分にとっては独立の先輩とも言える経営者に会い、その人が何を考え、何を実現しようとしているのか、間近で見ることができる。私自身もそれに刺激を受けて、さらに高い目標を達成したいと考えるようになります。司法書士は単なる資格ではなく、私に刺激を与えてくれる存在でもあるのです」
[TACNEWS 2018年11月号|連載|資格で開いた「未来への扉」]