タックス ファンタスティック! 第73回テーマ 試験超直前期!一夜漬けって有効?

田久巣会計事務所の代表の田久巣だ。公認会計士・税理士受験生にとって8月は受験月。正直これを読むどころではないだろうが、非常にありがたいことにお読みいただいている方もいるかもしれないので、まだ受験前だと仮定して、試験直前期には何をやるべきか、一夜漬けは意味があるのか?自分の受験を思い出しながら書いてみるとする。


税 太 監子さん、こんにちは!事務所に来ちゃいました!


監 子 税太君、なになにどうしたの?試験前でお休み中だったよね?


税 太 そうなんですけど、少し息抜きしたいと思いまして…。


監 子 え、仕事が息抜き?それとも私とのおしゃべりが息抜き?それともここで私がお説教して息苦しくなることが息抜き?


襟 糸 フフフ。監子君、わかってないなぁ。税太君の気持ちが。吾輩はわかる。


税 太 襟糸先輩はエリートなのでたぶんわかってくれません!


襟 糸 ムムム。お、おい税太、どうしたんだ。そんな反抗は今まで一度もなかったのに…。いや、これはデジャブか?そういえば前回もこんなセリフを言ったような…。


税 太 おふたりの言いたいことはわかります。こんなところにいないでコンディションを整えながら最後まで気を抜かずに勉強しろ!ですよね。わかっています。でも…。


監 子 でも?


税 太 できないんです!自習室でテキストを見れば見るほど不安になっていくんです。あ、ここも全然覚えていなかった。あ、これは頻出論点じゃないけど出たらどうしよう?あのときもっと勉強しておけばよかった。そればっかり思い出すんです!そしてそんなときに限って妻からLINEが来て「こどもが熱出た!勉強中悪いけど手伝ってくれる?」って。もちろん家族は優先なので、行きますけど…。


監 子 あー、前段のことだけどわかるわかる。特に計算問題とか解いていても集中できないわよね。それより暗記に時間使いたいと思うし。でもさぁ。


税 太 でもさぁ?


監 子 こっからお説教始まって息苦しくなるよ。それでもつべこべ言わずやれ!


税 太 ううっ。後段の奥さんからのLINEについては?


監 子 それはやらない理由づけ。それでもやれ!他のことをしていても勉強はできる!


襟 糸 監子君、まあそんなに厳しいこと言わなくても。僕らとは違って家庭を持っているんだからそれは酷だよ。えー、でも僕からも一言。その通り、とりあえずやれ!


税 太 うううっ…。ふたりの先輩からここまで言われてしまうとは!でも具体的には何をやれば?


襟 糸  吾輩はエリートだからほぼ完ぺきに準備は済んでいたが、それでも前日は一夜漬けだ。テキストや問題集を高速でめくって頻出論点の確認をした。


監 子 私は結構遅れ気味だったから余裕がなくて、前日は朝早くから自習室にこもって夜中までこの日のためにまとめていたファイルを見まくったわ。眠くなったらとにかく書いた。今日見たもの書いたものが明日試験に出ると念じながら。


税 太 そうだったんですね。で、次の日の試験に出ました?


襟 糸 それが不思議と出たんだ。前日見ていなかったら少し焦った問題も正直あった。


監 子 私もまさに出た!問題見た瞬間「ラッキー!受かった!」って思ったわ。


税 太 いいなぁ、運がいいんですね…。


襟 糸 いや、違うと思うぞ。頻出論点を高速で見るから必然的に出る確率が高い。運ではなく、必然だ。


監 子 そうよ。覚えていない論点もあったけど前日は覚えるというより見ることにしたの。確かに覚えていないと次の日の試験で書けないかもしれないけど、前日に見た論点だ!って、問題を見た瞬間すごくうれしいから、覚えていなくても書けちゃうんだよね。


税 太 う~、おふたりとも、やっぱり好きです!厳しいこと言いながらも励ましてくれるんですね!一夜漬けをする意味もわかりました。


監 子 アツい日が続くけど、テキストと最後まで「イチャイチャ」してあげてね!

【今回のポイント】

試験の前日何をやるか、という話題は結構盛り上がる話題だ。体調管理に気をつける、いつもよりセーブする、いつもと同じことをやる、特別なことをやる、めちゃくちゃ勉強する。それぞれだろう。必勝法はない。ただ言えることはとりあえず「やる」というのが共通だと思われる。まったく “ノー勉” というのは聞いたことがなく、私の経験からしても前日は結構勉強したほうがうまくいくことが多い。そして、不思議なことに資格試験に限らず、前日勉強したことが翌日の試験に出ると必ず合格している。筆者の天野さんもそうだという。前日に気合いが入っていると神様が助けてくれるというのもあるのかもしれないが、襟糸君が言うように必然なのだろう。今月受験される皆様、努力が報われ無事に合格されることを祈ります!


[『TACNEWS』タックス ファンタスティック!|2024年8月|連載 ]

Profile

筆者 天野 大輔(あまの だいすけ)

1979年生まれ。公認会計士・税理士。税理士法人レガシィ代表社員。慶應義塾大学・同大学院修了(フランス文学を研究)。情報システム会社でSEとして勤務。その後公認会計士試験に合格、監査法人等で会計監査、事業再生、M&A支援等を行う。その後相続専門約60年の税理士法人レガシィへ。相続・事業承継対策の実務を経て、プラットフォームの構築を担当。2019年に士業事務所間で仕事を授受するWebサービス「Mochi-ya」、2020年にシニア世代向けの専門家とやりとりするWebサービス「相続のせんせい」、2024年に士業のためのSNS「サムシナ」をリリース。主な著書『相続でモメる人、モメない人』(2023年、講談社/日刊現代)。2023年、YouTubeチャンネル「相続と文学」配信開始。

▶YouTubeチャンネル「相続と文学」はこちら

X(Twitter)にてフォロー&ご感想をお待ちしております!

おススメ記事

「TACNEWS」に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

取材は感染防止対策に配慮した上で、写真撮影時のみマスクをはずして実施しております。