タックスファンタスティック Tax Fantastic!!第60回テーマ 士業の仕事は子育てに向いている?

税 太 監子さん、(声をひそめて)ちょっと相談なのですが…。


監 子 あら、税太君。また先月と同じセリフね。筆者の天野さん、またいつものコピペ癖が出てきたみたい。YouTubeチャンネル『相続と文学』で「犬神家の一族」の動画がバズったから、きっと意識がそっちに行っちゃっているのよ…って、こんな宣伝も、私に言わせてるし!


税 太 違うんです監子さん。こんなこと言いづらいのですが、最近妻と喧嘩してしまいまして…。


監 子 えっ、この試験直前の大事な時期に?まさか、浮気?それはゼッタイダメよ!


襟 糸 監子君。税太君だって一人の伊達な男なんだ。浮気の1つや2つ、大目に見たまえ。そしてそんなことを言う吾輩の粋で伊達な魅力も、世間にもっと広く知らしめたまえ。


監 子 あ、今のはレッドカード一発退場よ!今の世の中、そんな発言を広く知らしめたら、女性だけでなく男性からも猛烈に批判されて炎上決定だわ!


税 太 お二人とも違うんです!僕がそんなタイプじゃないのは知ってますよね?最近、僕が仕事と勉強にかまけて子育ての時間がとれていないことに、妻がストレスフルなんです。


監 子 そうね、ごめん!税太くんはそんなキャラじゃないし、仕事に勉強にがんばってるのよね。子育てかぁ。私も襟糸先輩も独身だしな…。でも、そんな相談もあるだろうと思って、実は特別ゲストを呼んでおいたのよ。フルタイムワーキングマザーでこのコラムの編集者のなわこさんよ!


なわこ こんにちは!みなさんとは連載初回からのおつき合いなので、やっとお会いできてうれしいです。


監 子 私たちもうれしいわ!いつも筆者の天野さんの暴走をうまく調整してくれて、大感謝よ!


税 太 なわこさん、同じ子育て世代として、実は切実な悩みが。僕も子育てに参加したいのですが時間のやりくりが難しくて。


なわこ そうですよね、子育てと仕事・勉強の両立は、男女問わず、悩みどころですよね。でも子育て中は、送り迎えなどで時間的な制約があるぶん逆に締切り意識が強く働いて、メリハリがつくのも事実。あとは、自分が得意な分野はどんどん前倒しで進めつつ、時間がかかる仕事は周りの人や仕組みに頼ることも、トータルで見るとムダが減るので大事だと思います。わが家も、家族との連携プレーで子育てと仕事の両立が成り立っていますよ!


税 太 なるほど、まずはムダを減らすことが大事ですね。僕も仕事では特にムダがありそうです。襟糸先輩の自慢話に付き合うとか。


襟 糸 ムムム。反論したいところだが、炎上すると思うと何も言えない…。


なわこ 襟糸さんも実は後輩思いの優しい先輩なんですよね。でも、後輩の時間をムダ遣いさせてしまうような自慢話はやめてあげてくださいね(笑)。あと税太さん、子育ての中にも、実はムダがあるかもしれませんよ。


税 太 子育てにもムダ?もしかして、子どもの面倒を見すぎていないか、みたいなことですか?


なわこ 大正解!ついつい勉強とか習い事とか、やらせたくなってしまうんですよね。でも昔の子どもはいい意味で今より放任だったし、それでも立派に育つんだと思うと気持ちも楽になると思います。何でも手をかければいいわけじゃないので、気負い過ぎず、メリハリをつけて子育ても仕事も楽しみましょうね!


税 太 元気が出ました!ムダだったりやりすぎだったり、確かに大いにありそうです。


監 子 私も話を聞いて、将来子育てしながら仕事が出来そうに思えたわ!特に士業は自由度が高いし、子育てに理解があって時短勤務や育休取得を本気で推奨する所長も多いし。さぁて、今度コソ、ダテ(伊達)な男性を見つけないと!コソダテ(子育て)だけに!(笑)


【今回のポイント】

子育てと仕事の両立問題は、当の本人も、一緒に働く同僚にとっても、悩ましい問題だ。しかし士業の仕事は、繁忙期があるとはいえ他の仕事よりも比較的自由にスケジュールが組みやすいし、よくよく見ればデジタル化できることもたくさんある。専門家ゆえにこだわりすぎてしまい、ムダが生じていることも多いからだ。イノベーションは、熱意には比例しても、かけた時間には比例しない。士業こそ、子育てを大事にできるウェルビーイングな仕事だと思うぞ。しかも「士業」という漢字の形をじっ~と見ていると…ほら、「コ、ソ、ダ、テ」が浮かび上がってくるではないか!(笑)


[『TACNEWS』 2023年8月号|連載|タックスファンタスティック]

Profile

筆者 天野 大輔(あまの だいすけ)

1979年生まれ。公認会計士・税理士。税理士法人レガシィ代表社員。慶應義塾大学卒業、同大学院修了(フランス文学を研究)。情報システム会社でSEとして勤務。その後公認会計士試験に合格、監査法人等で会計監査、事業再生、M&A支援等を行う。その後日本で最大級の相続専門約60年の税理士法人レガシィへ。相続・事業承継対策の実務を経て、プラットフォームの構築を担当。2019年に士業事務所間で仕事を授受するWebサービス「Mochi-ya」、2020年にシニア世代向けの専門家とやりとりするWebサービス「相続のせんせい」をリリース。主な著書『「生前贈与」のやってはいけない』(2022年、青春出版)。2023年、YouTubeチャンネル「相続と文学」配信開始。

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