タックスファンタスティック Tax Fantastic!!第54回テーマ 士業の仕事にYouTubeはどう役立っているのか?
田久巣 えー、前回の年末スペシャル企画に続き、新年のスペシャル企画です!なんと、今回はBIGな特別ゲストをお招きしました!
税 太 えっ、まさかの2回連続で特別ゲストを招いたスペシャル企画とは!
襟 糸 ふん、税太君。前回も言ったが、これはもう間違いなくネタが尽きて締め切り間際で苦しんでいる作者の怠慢だ。“自信が確信に変わったよ”。
監 子 もう令和の時代なのに「平成の怪物」的な発言しないでくださいよ、襟糸先輩。もしかすると「税理士業界の怪物」が登場するかもしれませんよ。
襟 糸 「税理士業界の怪物」?いても悪い意味での「怪物」ではないのか?
田久巣 えー、静粛に。特別ゲストは税理士法人レガシィ代表の天野大輔さんのお父さんで、会長の天野隆さんです!
天野隆 お招きいただき光栄です。息子とも話していましたが、とてもいい事務所ですね。メンバーも素晴らしい人が多いですし。ひとりを除いては…。
襟 糸 ゲゲっ!作者のお父様じゃないですか!それは大変失礼しました!って、さっきのセリフを私に言わせたのも作者だから謝るのも変なのだが…。
監 子 襟糸先輩、今回も難しいことは考えないでください!
田久巣 今日も前回に続き「士業の仕事にSNSはどう役立っているのか」を教えてください。天野先生は『プラス発想応援チャンネル』というYouTubeチャンネルを運営していますよね。
天野隆 はい。4年以上動画を配信していますが、学びが多いですね。動画を作る際、裏付けを取るために正確なデータを探すので知識がつきますし、わかりやすくおもしろく伝えるために知恵を絞るからです。視聴回数が多い「相続と贈与の一体化」の税制改正のコンテンツは、2年配信を続けてきたので、より一層そう感じます。
田久巣 そういえば、天野先生は若い頃に落語を聴いて「話し方」を学んだとか。
天野隆 落語は昔から好きで、家族でよく観に行っていました。落語家が語る言葉によって、観客が大いに笑ったりほろっと泣いたりするのが興味深くて、この人たちから何か学べないかと思ったんですよね。YouTubeにはコメント機能があるので、視聴者の反応はそこでチェックしています。
監 子 71歳にもかかわらず自分で収録した動画を配信するってすごいバイタリティですよね。原動力は何なのですか?
天野隆 それはずばり「プラス発想」を広げたいという思いです。例えば、講師を務めるセミナーの会場へ行く道中で転んだとき「もう悪いことは起きない。今日のセミナーはうまくいく!」と考えられる人のほうが人生はうまくいくと思うんです。こういった「プラス発想」を身につけていきたいという人を応援するため、動画で情報を発信しています。
襟 糸 私からも質問です!相続では「感情(こころ)」と「勘定(財産や計算)」が大事とYouTubeでお話しされていましたよね。どちらがより大事なんでしょう?
天野隆 私は「感情」だと思います。二次相続での節税を狙って、一次相続で妻への相続額を減らした結果、妻が経済的に苦労してしまう…。そんなケースを度々見てきて、私は節税よりも家族を思いやる気持ちのほうが大事なのでは?と考えるようになりました。SNSも同じで、「勘定」重視で考えれば、動画制作は時間も労力もかかってお得とは言えませんが、「感情」重視で考えると、視聴者の皆さんのお役に立ててうれしいし、やりがいがあって病みつきになります。あ、「感情」だけに表現が「過剰」かな?
襟 糸 あ、オチがついて落語になってる!やっぱり良い意味での「怪物」ですね!
【今回のポイント】
SNSを使う士業は年々増えているが、特にYouTubeで動画を配信する士業は最近急激に増えてきているように感じる。まるでテレビのバラエティ番組を見ているかのようなクオリティの高い動画や、同じ士業の立場から見ても勉強になる動画もあってとてもおもしろい。今回のゲストの天野隆先生のようにコンセプトやテーマを持っていたり、本業での専門分野とその人の強みを掛け合わせたりするとオリジナリティが出て、ファンがついてくるだろう。噂によると、どうやら作者の天野大輔さんも「相続と文学」をテーマにしたYouTubeチャンネルを始めるらしい。どんな動画が配信されるのだろうか…。乞うご期待だ。
[『TACNEWS』 2023年2月号|連載|タックスファンタスティック]
筆者 天野 大輔(あまの だいすけ)
1979年生まれ。公認会計士・税理士。税理士法人レガシィ代表社員。慶應義塾大学卒業、同大学院修了(フランス文学を研究)。情報システム会社でSEとして勤務。その後公認会計士試験に合格、監査法人兼コンサルティング会社に入り、会計監査、事業再生、M&A支援等を行う。その後日本で最大級の相続税申告数実績のある税理士法人レガシィへ。相続・事業承継対策の実務を経て、プラットフォームの構築を担当。2019年に士業事務所間で仕事を授受するWebサービス「Mochi-ya」、2020年にシニア世代向けの専門家とやりとりするWebサービス「相続のせんせい」をリリース。主な著書『改訂版 はじめての相続・遺言100問100答』(2017年、明日香出版)、『「生前贈与」のやってはいけない』(2022年、青春出版)。
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