タックスファンタスティック Tax Fantastic!!第41回テーマ 士業も横の連携が大事?

襟 糸 「昨日」と「今日」っていうのはこんなにも違うとは…!なぁ、税太君!


税 太 襟糸先輩、突然どうしたんですか?!「違う」って、何の話ですか?


襟 糸 昨日まではあんなに順調だったのに、今日はこんなにも苦しいんだ。あぁ、私が信じるのは昨日のほう


税 太 あれ?その不自然な感じの言い回しはもしかして…?


監 子 ビートルズの『イエスタディ』の歌詞でしょ?ビートルズの歌詞を冒頭で引用するの、先月号までの私の真似ですよね?


襟 糸 その通り、お見事だ。真似をしたのはすまなかった、監子君。


監 子 糸先輩にしてはやけに素直でしおらしい反応ですね。私、なんだか嫌な予感が…。


税 太 そういえば『イエスタディ』は失恋ソングだったような…。これを引用するということは、ま、まさか!?


襟 糸 なぜ彼女は行かなきゃいけないのか?彼女が言おうとしたことが僕には分からない…。


監 子 あのぉ、回りくどく歌詞を引用しないで、素直に「失恋したから話を聞いてくれ」って言えばいいじゃないですか!


税 太 まぁまぁ監子さん、襟糸先輩にもメンツがありますから、直接的には相談できないんですよ。それにしても恋愛には興味なさそうな、孤高を貫く襟糸先輩も人の子だったってことですね。


襟 糸 なんだ君たち、勘違いをするな。その「彼女」というのはあくまで私の以前の同僚の女性税理士で、恋愛関係にはないぞ。彼女は私と同じく相続に強い税理士だったが、今朝久しぶりに連絡が来ていて、「夫の転勤でイギリスに行くことになった」と。それで仕事で張り合えるライバルが減って憂いていただけだし、イギリスを代表するアーティストってことでビートルズの名曲を引用したまでだ。


監 子 本当なのか強がっているのかわからないけど、その女性には夫がいるってことで失恋ではないってこと、しぶしぶ信じてあげるわ。


税 太 まぁまぁ、監子さん。それにしてもイギリスとは結構遠いですね。


田久巣 いきなり乱入して悪いが、プラス思考で考えればチャンスだぞ、襟糸君。わかっているね?


襟 糸 お言葉ですが所長、「チャンス」とはどういう意味でしょうか?彼女とは決して恋愛関係ではないと先ほど申し上げたのですが…。


税 太 襟糸先輩、所長は恋愛ネタで悪乗りしているわけではないと思いますよ!おそらく「仕事の広がり」って意味じゃないですか?


田久巣 エクセレント!さすが税太君、その通り。横恋慕している女性がイギリスにいれば、むしろイギリスの税務情報を仕入れやすくなって勉強になるだろうし、ビジネスにつながることもあるかもしれない。襟糸君、これからは同業との連携の時代だ。しっかり「恋慕」、…じゃなかった。「連携」してくれたまえ!


監 子 あのぉ、所長。税太君がフォローしたそばから、恋愛ネタでかなり悪乗りしてますが…


【今回のポイント】

士業の人数は多いようで少なく、また扱う業務の範囲は狭いようで広い。こういう業界で大事なのは「いかに情報を集めるか」だ。例えば、お客様から自分の不得意分野に関する相談があった場合は、その分野を得意とする知り合いがどれだけいるかで勝負が決まる。つまり、士業にも人脈やネットワーク作りが必要ということだ。これは、士業以外のビジネスでは当たり前に言われていることだが、士業には「専門家」としてのプライドがあるので、できる限り自力で調べて解決しようとしがちだ。しかしこの方法ではミスを起こしやすく、お客様に迷惑をかけてしまいかねない。したがって、お客様から相談を受けて対応するために「家で勉強(→家でスタディ→イエスタディ)」するよりも、その分野に強い人に「助けて!(ヘルプ!)」と聞いてお任せするのが、士業界においても今後主流な考え方になるだろう。


[『TACNEWS』 2022年1月号|連載|タックスファンタスティック]

Profile

筆者 天野 大輔(あまの だいすけ)

1979年生まれ。公認会計士・税理士。税理士法人レガシィ代表社員パートナー、株式会社レガシィ常務取締役。慶應義塾大学卒業、同大学院修了(フランス文学を研究)。情報システム会社でシステムエンジニアとして勤務。その後公認会計士試験に合格、監査法人に入り、会計監査・内部統制監査・IPO準備監査に従事。また事業再生、M&A支援等のコンサルティング業務も行う。その後日本で最大級の相続税申告数実績のある税理士法人レガシィへ。現在は相続・事業承継対策コンサルティングを担当。また情報戦略本部長としてプラットフォームの構築も担当し、2019年7月「Mochi-ya」をリリース。
主な著書:『改訂版 はじめての相続・遺言100問100答』(2017年、明日香出版、共著)
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