タックスファンタスティック Tax Fantastic!!第30回テーマ 税理士にとってロケって大事?

監 子 税太君、Web画面越しだからかもしれないけど、ひょっとして太った?


税 太 あ、バレちゃいましたか。そうです、テレワーク太りで3kg増です。


監 子 やっぱりね。と言いつつ私も増加中!はぁ~、おせち料理やお雑煮もいっぱい食べちゃったし。お正月休みがさらに追い打ちをかけたわ…。


税 太 でも監子さんは企業の会計監査も多く仕事していたから、棚卸の立ち会いとか現金の実査確認とか、このテレワークでも実際に足を動かして体力使わないといけない仕事もあったんじゃないですか?


監 子 もちろんあったけど、それ以上にクライアント先がテレワークになって実際に訪問できなくなった影響が大きいわ。先々月号で話したダメ男君のせいでお金にも悩まされて、暴飲暴食しちゃったのも原因の1つかも。


襟 糸 『大抵の恋は愚かさでしかない』 byシェイクスピア。昔の文豪はよく言ったものだ。


監 子 またいきなりWeb会議に入ってきて!しかも3話連続で文豪の名言でもって効率的にツッコミしないでくれる?愚かで悪かったわね~。


襟 糸 それはさておき、税太君、急遽仕事が入った。前回に続いて相続の話だ。3年前に知り合いの税理士に申告してもらったようだが、どうやら土地の評価を誤ってしまったらしく、相続税を払いすぎてしまったみたいなんだ。その土地は東京の西エリアで丘陵に近い山も含まれるのだが、そこまで見に行って写真を撮ったり土地を調べたりしてほしいんだ。


税 太 襟糸先輩、わかりました!って言いたいんですが…テレワークの慣れすぎかもしれないんですが、外出の必要性が気になってしまいます。わざわざ現地でロケする必要がなさそうと判断できれば、Googleアースやストリートビューで代用してはだめですか?


襟 糸 絶対だめだ!文明の利器に頼ることは許さん!必ず歩いて汗をかいて苦労してこないとだめだ!そうしないと税太君のためにもならん。これは君への友情のためにも言っているんだ。


税 太 文明の利器を使えないのはおかしいですよ!時間も有限ですし効率的にやりたいです。それに、君への友情のためって仰ってましたけど、さっきの名言には前段があって、確か『大抵の友情は見せかけである』ではなかったですか?


田久巣 おーい、君たち、またくだらん喧嘩はやめんか!監子君からヘルプのLINEがあって何かと入ってきたらこのざまだ。


襟 糸 代表、注意してください。さぼる発言としか言いようがありません!


税 太 代表、注意してください。頭が固いとしか言いようがありません!


田久巣 いいか、今回の場合は文明の利器もロケも、両方使うんだ。文明の利器で徹底的に調査したうえで、なおかつ感染対策に気を付けながら現地調査をして、注意深く念入りに評価額を減らせるポイントを確認してくるんだ。これは襟糸君のためでも税太君のためでもない。お客様のためだ。払いすぎてしまった税金を少しでも取り戻すためには、あらゆる手段を駆使することが必要なんだ。私だって今の奥さんと結婚できたのは、ポケベルという当時最先端の利器と、足しげく通うという努力の汗、両方によるものだ!


監 子 さすが代表。「ロケ」重視のたとえにおノ「ロケ」を使うとは!

【今回のポイント】

今回はロケの話。なじみを持ってもらいたくて「ロケ」という表現を使ったが、「土地の現地調査」というのが正確な表現だ。コロナ禍でもあまり省略ができない仕事の1つだ。特に今回のように相続税の還付を請求するにあたっては、金額的にも大きくなることがあるので、外せない。税太君の言うように、もちろん文明の利器で効率化することは大事だし、文明の利器のほうがよくわかることもある。しかし、例えば騒音やにおいがあるかないかは、モニターの画面を見るだけで判別できるだろうか?インターネット上の写真が古かったり、実際はすぐ近くで工事が始まっていたりすることもある。だから少なからず影響がありそうな場合は必ず現地調査をしていくんだ。これはあくまで税金に苦しむお客様の負担を少しでも軽減するため。ちなみに私はロケに行く際はいつも外食をすることを楽しみにしている。え、何を食べるのかって?もちろんコ「ロッケ」だ!(笑)


[『TACNEWS』 2021年2月号|連載|タックスファンタスティック]

Profile

筆者 天野 大輔(あまの だいすけ)

1979年生まれ。公認会計士・税理士。税理士法人レガシィ代表社員パートナー、株式会社レガシィ常務取締役。慶應義塾大学卒業、同大学院修了(フランス文学を研究)。情報システム会社でシステムエンジニアとして勤務。その後公認会計士試験に合格、監査法人兼コンサルティング会社に入り、会計監査、事業再生、M&A支援等を行う。その後日本で最大級の相続税申告数実績のある税理士法人レガシィへ。相続・事業承継対策の実務を経て、プラットフォームの構築を担当。2019年7月には会計事務所向けWebサービス「Mochi-ya」をリリース。2020年8月にはシニア世代向けWebサービス「相続のせんせい」をリリース。主な著書『改訂版 はじめての相続・遺言100問100答』(2017年、明日香出版、共著)。

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