悪の組織
悪の組織の統領 会計に目覚める
~悪の統領 Episode0~
「悪の組織の統領 会計に目覚める ~悪の統領 Episode0(ゼロ)~」は、悪の秘密結社「ZAIM」の統領が、まだサラリーマン「戦闘員Z」だった頃、会計の重要性に目覚めていく物語です。
第6話 戦闘員Z 悪の統領に就任す
<あらすじ>
ついに最終話!「悪の組織ZAIM」の歴史がいま始まるっ!
戦闘員Zのもとに突然の来訪者が訪れる。
(ピンポーン)
戦闘員a はい!どちら様でしょうか?(こいつ何者だ?)
謎の男 ここが戦闘員Zのアジトだな…。
戦闘員b はい…そうっすけど?(やばい強そう)
謎の男 これはお土産の銘菓「怪しい恋人」です。どうぞ。
戦闘員c ご丁寧にどうも。いまリーダーを呼ぶから待ってな。(土産おいしそう)
謎の男の発するただならぬオーラに(cを除いて)臆する戦闘員たち。そして、戦闘員Zとの緊張の対談が始まる。
謎の男 端的に言おう。我々が新たに作る悪の組織の「統領」を貴様に任せたい。会計資格を武器にした「数字の分かる経営陣」が必要なのだ。
戦闘員b すげえ!ヘッドハンティングじゃないっすか。
戦闘員Z しかし…一介の戦闘員である私には統領などまだまだ。
謎の男 貴様には大きな組織買収の仕事などもやってもらう予定だ。企業価値計算もできるビジネス会計1級まで進むがよかろう。
戦闘員Z 私自身は2級くらいまで進めれば十分かなと思っているのですが…。
謎の男 …。
煮え切らない戦闘員Z。謎の男はテレビ電話をつなぐのであった。
(ピコン!)接続音とともに、プロジェクタに映し出されるドクロ姿。
謎の男 このお方こそ、100を超える悪の組織に出資をしておられる、我々のオーナー「ミスターX」様だ。
戦闘員a ものすごい威圧感だ…。
謎の男 頭が高~い!!
戦闘員abcZ ははーっ!
Mr.Xは言葉少なに語り始める。
Mr.X 貴様が戦闘員Zか…貴様が目指すべきものは国家資格だ。
戦闘員Z こ…国家資格?
Mr.X 資格取得は「終わり」ではない「始まり」なのだ。貴様の就任を待っておるぞ。
(ピコン!)プロジェクタ画面は消えた。
謎の男 Mr.X様の期待は相当なものだな。貴様には「税理士」や「公認会計士」をねらえと言っておるのだ。
戦闘員b 税理士とか会計士ってめちゃくちゃ難しい資格じゃないっすか。
説明しよう!税理士とは確定申告や税のアドバイスを行う独占業務資格であり、公認会計士とは、大会社に義務付けられた会計監査を行う独占業務資格である。ともに簿記資格からのステップアップで目指すことができる専門職である。
戦闘員c さすがに無理だろ!
戦闘員Z いや…知識のベースは簿記やビジネス会計で学ぶ内容と同じだと聞いたことがある。
戦闘員a 会計資格ってそんなに関連しているんですね。
謎の男 これからの時代は「肩書き」が最強の兵器なのだ。税法や会計に精通した国家資格で、悪の組織を拡大させることも夢ではない。
戦闘員Z 国家資格…終わりではなく始まり…。
1話から始まった「回想シーン」はここで終わるのであった。
統領 …というわけで、ワシは悪の組織「ZAIM」の統領に君臨することとなった。
戦闘員B 会計資格をきっかけにしたサクセスストーリーっすね!
戦闘員C ちょっと待て、そのあんたがなんでこんなに落ちぶれてるんだよ?
統領 この話には続きがあってな…。就任してみたら、ろくな戦闘員がおらんし、「名ばかり経営者」のブラック企業だし、「騙されたー」と後で気づいたわけじゃ。
戦闘員A 数字は読めても人は読めなかったってことですね。
統領の話によると、そこからは組織間の裏切りと謀略の連続で、ZAIMは末端の地方組織に落ちぶれてしまったのであった。
統領 しかし、どんなに落ちぶれた組織におっても「資格は一生」ということを再認識した。
戦闘員A 統領は簿記1級、ビジネス会計1級、中小企業診断士、税理士など、数々の国家資格に合格してこられましたもんね。
戦闘員B なにがあっても資格は本人について来るっす。
統領 おかげで、日本商工会議所でもワシの連載が載ることになり、資格啓発の講演会に出向くことも増えた。ゆえに…我が生涯に一片の悔いなしッ!(ドゴーン!!)
戦闘員C なんだか知らねえけど、強引に終わっちまったよ。
これにて連載終了!統領の活躍は日商検定WEBサイトにて!
「商工会議所の検定試験」
連載「悪の組織の原価計算」
https://www.kentei.ne.jp/genkakeisan
[TACNEWS 2019年2月号|連載|悪の組織の統領会計に目覚める]
鈴鹿大学 准教授 髙見 啓一氏
日商簿記1級、販売士検定1級、税理士、中小企業診断士など数多くの資格に合格。
日本商工会議所のネット小説「悪の組織の原価計算」の作者でもある。