人事担当者に聞く「今、欲しい人財」 第47回 株式会社ラクス
坂井 勇太 氏
経営管理本部 総務人事部
採用マーケティング課 課長
大学卒業後、就職情報会社2社を経て、2019年、株式会社ラクスに入社。総務人事部採用課にて採用マーケティング業務に従事。その後、採用マーケティング課課長として、採用マーケティング、採用広報分野を手がける。
2000年に創業した株式会社ラクスは、クラウドサービスを提供することでこれまで多くの企業のDXを推進してきた。コロナ禍で加速度的に進む企業のDX化にともない、ラクス自体もここ数年、飛躍的に成長している。高い成長目標を掲げるラクスでは、どのような人材採用方針を打ち立てているのだろうか。
経営管理本部 総務人事部 採用マーケティング課 課長の坂井勇太氏に、ラクスの求める人物像や採用方針などについてうかがった。
開発からサポートまですべて内製化
──最初に、株式会社ラクスについてご紹介ください。
坂井 ラクスは、『楽楽精算』のテレビCMでお馴染みの「楽楽シリーズ」を展開しているクラウドサービスを提供する企業です。中小企業を中心に多くの企業のデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)を推進するサービスを提供することで、日本を代表する企業をめざしています。
プロダクトとしては、交通費・経費精算システム『楽楽精算』、電子請求書発行システム『楽楽明細』、販売管理業務システム『楽楽販売』、勤怠管理システム『楽楽勤怠』の「楽楽シリーズ」以外にも、問い合わせ管理システム『メールディーラー』、社内向けAIチャットボット『チャットディーラーAI』、メールマーケティングサービス『配配メール』、コールセンター/ヘルプデスク向けCRMシステム『楽テル』といったサービスを複数展開しています。
このように経費精算や販売管理などのバックオフィス業務、またお客様からのお問い合わせ対応やマーケティングなどのフロントオフィス業務を支援する複数のサービスを展開している点が、ラクスの特徴のひとつです。事業の中には『楽楽精算』のようにすでに広く認知されているものもあれば、まだ生まれたばかりの新規事業もありと、多種多様なフェーズで展開しています。失敗をおそれずにチャレンジする企業風土こそ、ラクスの強みなのです。
こうした事業展開の中でラクス最大の特徴と言えるのは、企画・開発から販売後のサポート体制まで、すべての機能を自社内に備えている点です。一般的に、開発は外部委託する企業が多いと思いますが、ラクスではあらゆるサービスの開発に社内のエンジニアが携わっているので、「自分たちで作った製品が、たくさんの人たちの役に立っていることを実感できるのがうれしい」と、エンジニアから声が上がっています。そこがラクスの大きな魅力と言えるでしょう。
年間500名をキャリア採用
──採用方針についてお聞かせください。
坂井 2022年度は約500名のキャリア採用を行う方向で動いており、多様な職種を採用しています。来年度も引き続き積極的なキャリア採用を想定しています。
一方、新卒採用はエンジニアのみの採用で2022年4月入社11名、2023年も10~15名予定で、圧倒的にキャリア採用が多いのが特徴です。
──新卒採用・キャリア採用に共通するラクスの「求める人物像」を教えてください。
坂井 ひと言でいうと「成長したい方」になります。
ここ数年、世の中でDX推進が謳われるようになり、ラクスのサービスも加速度的に浸透してきています。顧客ニーズに応えるため、そしてより社会に貢献していくためには、会社や事業自体が成長していかなければなりません。このように成長をめざしている会社なので、挑戦できる環境は潤沢に用意されています。
社内では「どうしたらより良いサービスになるのか」を常にみんなで試行錯誤しているので、改善思考の方は楽しみながら働けると思います。
──キャリア採用は営業職が中心ですか。
坂井 営業職も多く採用していますが、お客様をサポートするカスタマーサクセスや、プロモーションやマーケティング、プロダクトを開発するエンジニアなど、多くの職種で人材を採用しています。ラクスは、SaaSといわれるクラウド型サービスのジャンルに含められることが多々あります。SaaSの中にはプロダクトを提供後、担当営業もサポートもつけない形のビジネスモデルがある一方で、当社は1社1社に対してしっかりとサポートに入るビジネスモデルです。そのため、それぞれのお客様にしっかりと寄り添う営業やカスタマーサクセスという職種は、お客様が増えれば増えるほど必要になってきます。
この2職種は社内のどの事業領域でも必要とされるので、既存の大型事業に携わりたい方、新規事業に携わりたい方、どちらの希望にも合ういろいろなバリエーションのポジションがあります。営業経験者やカスタマーサポート経験者の方に興味を持っていただけるとうれしいですね。
──営業職を志望して応募してくる方は、営業経験のある方が多いのですか。
坂井 はい。ほとんどが別の企業などで営業を経験した方で、「もっとお客様に喜んでもらっていることを実感したい」「もっと営業スキルを高めたい」とご応募いただくケースが多いです。なお営業職が担当するのは基本的には契約するフェーズまでで、契約後はカスタマーサクセスがお客様のサポートを続けていきます。「自分の提案で、お客様の課題がさらに改善していくことを実感したい」という方には、カスタマーサクセスがおすすめです。営業経験者でカスタマーサクセスとしてジョブチェンジし活躍している方も多くいます。
──経理、法務、人事などのバックオフィス系部署でもキャリア採用を行っていますか。
坂井 はい。事業成長を支える人材の採用や育成、組織規模が拡大していく中で求められるガバナンス強化など、バックオフィス部門の人員強化にも積極的に取り組んでいます。
カジュアル面談で応募に関係なく話ができる
──キャリア採用の窓口としては、どのようなルートがありますか。
坂井 人材紹介会社や転職媒体などの一般的な応募ルートからはもちろんご応募いただけます。
同時に、自社について一番詳しいのは自分たち自身なので、最近では特に自社採用サイトからの直接応募をしていただきやすいように、しくみや体制を強化しているところです。直接ご応募いただければ書類選考の前に一度採用担当とフランクにお話しできるカジュアル面談ができます。応募の有無に関わらず、その機会にラクスのことを知っていただいて、ラクスに対してより正しい理解を持っていただければうれしいです。
カジュアル面談では、「自分のキャリアを踏まえて考えるなら、営業としてどのポジションが理想か」「カスタマーサクセスは、営業経験があれば活躍できるのか」といった、不安なことやわからないことを質問される方が多いです。このカジュアル面談を通して、採用担当者のほうからおすすめのポジションを提案するケースもあります。
また、オンラインのウェビナーによる会社説明会も開催しています。キャリア採用の選考フローとしては、書類選考、一次面接、最終面接という流れですが、面談の時間を割けない方でもできる限り不安を払拭できるように、求職者の方のスタイルに合わせてコミュニケーションがとれるように工夫しています。
「リーダーシッププリンシプル(行動指針)」がすべての判断基準
──キャリア採用者の入社にあたって、研修等は用意していますか。
坂井 すべての中途社員に、必ず受けていただく研修プログラムを用意しています。またそれとは別に各現場で用意している職種別研修もあるので、2段階構成です。
コーポレート部門で用意しているすべての中途社員向け研修は、入社時でいうと交通費の精算方法、ツールやシステムの使用方法、残業・勤怠系の取り扱いなど、いわゆる会社のルールやラクスで働く上で必要となる基本的な事柄を学ぶものが多いです。会社のしくみを素早く正確に理解できるようサポートし、本業での活躍を支援しています。その後も等級別研修など幅広い研修を用意しています。
──社内の研修制度で何か特徴的なものがあれば教えてください。
坂井 ラクスでは、「日本を代表する企業」になるために、マネジメント層が持つべき「リーダーシッププリンシプル(行動指針)」を定めています。
「自分自身の会社だと思う」「全体最適視点をもつ」「誠意をもって人と接する」「学習し成長し続ける」「小さく試して大きく育てる」「費用対効果を考える」「やるべきことを実行する」「他者の考えを受け入れる」「失敗を許容する」「考えている事を言葉で伝える」「結果にこだわる」という指針で、リーダーシップを発揮するための研修も用意しています。
管理職にはリーダーシップが特に強く求められるので、メンバーからリーダーシッププリンシプルの発揮状況を評価してもらいます。社内の会話の中でも「今の話のポイントは、リーダーシッププリンシプルの中のこの項目に関連しているね」といったように、日常的に判断基準として出てくるので、管理職は何かを指示したり、部下と話したりするときには必ずリーダーシッププリンシプルを意識しています。指針があることで、メンバーから何か相談されたときにも自信をもって判断できる物差しになっています。
このように、どういう意識でどのように行動すればいいのか、どういう思考や行動がラクスらしいのか、管理職・非管理職に関わらずオープンにしている点が、ラクスの特徴です。
──福利厚生面でユニークなものがあれば教えてください。
坂井 ラクスの社員は子育て世代が多いので、子育てに柔軟に対応するため、『ラクスマイル制度』という勤務時間と評価スタイルを選択できる制度を用意しています。
まず、勤務時間については、長さや、勤務開始時間・終了時間をそれぞれ選ぶことができます。ご家庭の事情により働き方の制限がある方は、それに合わせて勤務時間を変えられます。
さらに、評価スタイルについても柔軟性を持たせています。勤務時間を短くするスタイルを選んだ人が、目標や評価基準も調整できる点が特徴です。勤務時間調整に対応している企業は多いと思いますが、それに連動して評価基準も調整できる、つまり働き方に合わせて目標や難易度を調整できるのは、ラクスの魅力のひとつだと思います。
──勤務時間だけでなく評価基準も働き方に合わせて変化するのですね。
坂井 そうですね。他にも、福利厚生面では「有給休暇をいかにメンバーにポジティブに使ってもらうか」ということにかなり配慮しています。「有給休暇は、遊びでも、自分の勉強でも、家族との時間のためでもいい、とにかくポジティブなことのために使ってほしい。リフレッシュの時間があるからこそ、仕事でもしっかりと成果を出せる」という考え方です。自分や家族の体調不良のために有給休暇を取得しなくても済むように、『シックリーブ』という、私傷病の際の休暇制度も導入しました。体調不良のときはシックリーブを利用して、有給休暇は常にポジティブな時間を過ごすために使ってほしいというメッセージを社員へ発信しています。2021年は有給休暇消化率87%でしたが、これを90%にしていくことが目標です。
資格取得をめざす人は「自分を成長させられる人」
──資格について、社内で推奨しているものはありますか。
坂井 会社全体として推奨している資格は特にありませんが、各部署の判断で、業務上必要なものであれば会社負担で取得を補助するケースはあります。
基本的に資格は、取得した人自身を「自ら学んでいける人」「自分を成長させることができる人」と判断できるエレメントになるので、資格を持っている方は、ラクスの求める「成長したい方」という人物像にフィットすると捉えています。
例えば社内には、「もっとお客様のことを知るために、専門知識を身につけたい」という理由で簿記を勉強した会計系システム担当のエンジニアがいます。「自分たちが、いかにお客様の近くにあり続けるか」を常に考えているので、プロダクトをもっと良いものにするために社内でエンジニアが経理担当者にヒアリングを行っている光景もしばしば見かけます。
このように、「お客様目線」があって、なおかつ経理や会計などの知識や経験がある方なら、ラクスには活躍できる環境が豊富に用意されています。
──最後に、資格取得やキャリアアップをめざしている読者に向けてメッセージをお願いします。
坂井 ラクスは経理・会計、法務など、バックオフィス系部署の採用も毎年強化しているので、そうした分野の資格取得をめざしている方々がやりがいを感じられる環境が整っています。資格取得をめざしている方や資格を取得した方は、「成長したい」「一歩前に進みたい」という思いのある方だと思います。ラクスには成長をめざしているメンバーが大勢いるので、成長を継続していきたいとお考えの方はぜひラクスにご応募ください。お待ちしています。
[『TACNEWS 』2022年12月号|連載|人事担当者に聞く「今、欲しい人財」]
会社概要
社名 株式会社ラクス
設立 2000年11月1日
代表者 代表取締役社長 中村崇則
本社所在地 東京都渋谷区千駄ヶ谷5-27-5
リンクスクエア新宿7階
事業内容
企業の様々な業務の効率化、付加価値化に貢献するクラウドサービス事業(SaaS)、IT人材事業
従業員数
連結:1,890名 単体:1,067名(2022年4月1日現在)
URL
https://www.rakus.co.jp/